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華やかで存在感のある花を咲かせるダリアは、花の色や形に多くのバリエーションがあり切り花として使用されることの多い花です。また、ダリアは鉢植えや花壇で栽培する花としても人気がありますが、寒さに弱いダリアをより長く楽しむためには「冬越し」がポイントになります。 この記事では、
- ダリアの特徴とは
- ダリアを冬越しするには
- 植えっぱなしでダリアを冬越しする場合
- 球根を掘り上げてダリアを冬越しする場合
- ダリアの冬越しで注意すべきポイント
- ダリアにはどんな品種がある?
について詳しく解説します。 この記事を参考にダリアを冬越しする方法を知っていただき、冬越しを成功させてより長くダリアの華やかな花を楽しんでみてください。「植えっぱなしで冬越しする場合」と「球根を掘り上げて冬越しする場合」にわけて、それぞれ冬越しの方法を丁寧に解説します。また、ダリアの多彩な品種もご紹介しますのでぜひ最後まで読んでみてください。
関連記事:ダリアの育て方|球根の植え付け方法から人気の品種まで徹底解説
ダリアとはどんな植物?
ここでは、ダリアという植物について解説します。冬越しについて解説する前に、まずはダリアという植物の特徴を知っておきましょう。メキシコやグアテマラに自生する多年草
ダリアは、メキシコやグアテマラに自生する多年草です。熱帯地域を原産とする植物ですから寒さには弱く、日本でダリアを冬越しさせるためにはちょっとしたコツが必要です。また、熱帯地域でも高地に自生するため暑さにもやや弱く、夏の時期に真夏日や猛暑日が続くと弱ってしまいます。ダリアの基本情報
ダリアは地下に球根を作る球根植物です。日当たりと風通しの良い場所を好み、用土は水はけの良い土が適しています。華やかな花を咲かせることから切り花としても利用されます。開花時期は6月から11月にかけてですが、暑い夏の時期には花が咲きにくく開花が遅れることがあります。また、ダリアは華やかな花を咲かせるために多くの栄養を必要とします。その分、肥料をたくさん必要としますから必要な時期に肥料を切らさないことが大切です。ダリアは園芸品種が豊富で草丈や花色、花の大きさ、形など様々な品種があります。草丈が20〜30cmほどの小型の品種から6mほどの大きさに成長する皇帝ダリアのような大型の園芸品種まであります。花だけはなく葉色も美しい「カラーリーフ」の品種も人気があります。鉢植えか地植えの2種類の育て方
ダリアは鉢植えと地植えの2種類の育て方ができます。ダリアは寒さに弱いため、地域によっては屋外で冬越しすることはできません。ただし、寒冷地であっても掘り上げた球根を寒さを避けて保管することによって冬越しすることができます。鉢植えの場合には、寒くなる前に室内に取り込めば冬越しすることができます。また、ダリアを美しい姿に仕立て上げるためには、わき芽かきが大切です。植えっぱなしにしてわき芽を放置するとわき芽に栄養を取られてしまいますからこまめなわき芽かきが必要です。ダリアの冬越しはどのように行う?
ここでは、ダリアの冬越しの方法について解説します。ダリアを冬越しするためには、- 球根を掘り上げる方法
- 植えっぱなしにする方法
ダリア球根は土中の凍結や過湿によって腐敗することもある
ダリアの球根は、土中の凍結や過湿によって腐敗することがあります。日本では寒さの特に厳しい地域でなくても、霜がおりたり雪が降ったりする地域は多くあります。霜がおりるとダリアの球根は腐敗することがありますから、霜がおりる可能性のある地域では冬の間もダリアを植えっぱなしにせず球根を掘り上げましょう。また、過湿は冬の時期に限らず病気の原因にもなりますから、過湿を避けることによって病気の予防にもなります。寒冷地では霜が降る前に球根を堀上げよう!
ダリアの球根は土中の凍結などによって腐敗することがありますから、寒冷地では霜がおりる前に球根を掘り上げましょう。気温が5℃を下回る地方で行う
目安としては、気温が5℃を下回る地方では球根の掘り上げが必要になります。気温が3℃〜4℃を下回ったときに霜がおりやすくなりますから、気温が5℃を下回る地域では霜がおりる可能性があります。霜がおりるとダリアの球根が腐敗してしまうかもしれませんから、気温が5℃を下回る地方では植えっぱなしにせず球根を掘り上げましょう。特に寒さの厳しい北海道や東北地方は注意
北海道や東北地方は特に寒さが厳しいですから、冬の時期の植えっぱなしには注意が必要です。北海道や東北地方は冬の時期には氷点下を下回る気温になって、頻繁に霜がおりる地域です。植えっぱなしでは冬越しすることは困難ですから、北海道や東北地方で地植えする場合には球根を掘り上げましょう。鉢植えの場合はそのまま保存するので、堀り上げの必要はない
地植えの場合には、寒冷地では霜がおりる前に球根を掘り上げる必要があります。しかし、鉢植えの場合にはそのまま保存しますから、球根を掘り上げる必要はありません。鉢植えを屋外に置いて栽培している場合には、霜がおりる前に鉢植えを室内に取り込みましょう。ダリアの冬越し:植えっぱなしの場合
ここでは、植えっぱなしの場合のダリアの冬越しについて解説します。冬でも気温が5℃を下回らない地域で地植えする場合や鉢植えで育てる場合には、冬でもダリアを植えっぱなしにすることができます。地植えの場合
地植えの場合、気温が5℃を下回る地域では植えっぱなしにせず、球根を掘り上げて冬越しすることが基本です。気温が5℃を下回ることがない地域ではダリアを植えっぱなしにすることができますが、植えっぱなしで冬越しする場合でも凍結を避けるための対策を行いましょう。盛り土をして土が凍結するのを防ぐ
土が凍結するのを防ぐために盛り土をしましょう。盛り土をすることによって土の層が厚くなり、冷たい空気がダリアの球根に伝わりにくくなります。盛り土を行う前にわらや落ち葉などを土の上に敷いておくとより高い効果が期待できます。土を盛るだけで簡単に凍結するのを防ぐことができますから、植えっぱなしで冬越しする場合には盛り土することをおすすめします。凍結の可能性も大きいため、掘り上げて保存した方が良い
土の凍結防止には盛り土が有効ですが、それでも凍結する可能性があります。いつもは気温が5℃を下回らない地域であっても、年によって気温は変動しますから気温が5℃を下回ることもあるでしょう。日本では沖縄などよほど暖かい地域でなければ土が凍結する可能性はありますから、球根を掘り上げて保存した方が無難です。鉢植えの場合
鉢植えの場合は鉢ごと置き場所を移動することができるため、植えっぱなしで冬越しをすることができます。凍結しない気温が5度を下回らない場所に移動させる
鉢植えの土が凍結しないよう気温が5℃を下回らない場所に移動させて管理しましょう。特に暖かい地域を除いて、冬は寒い屋外を避けて室内に取り込んで育てます。室内でも窓の近くは外気の影響を受けて気温が低下しますから注意が必要です。気温が5℃を下回らない場所であれば、ダリアは植えっぱなしで冬越しすることができます。水やりは、極力少なめに
ダリアは多湿な環境を嫌うため、水の与えすぎには注意が必要な植物です。特に冬の時期は水をあまり必要としませんから、水やりは極力少なめにしましょう。ダリアの水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えることが育て方の基本です。しかし、冬の時期に基本どおりの水やりを行うと水の与えすぎになりますから、冬には水やりを変えて極力少なめにします。ダリアの冬越し:球根を掘り上げる場合
ここでは、球根を掘り上げる場合のダリアの冬越しについて解説します。冬には気温が5℃を下回る地域では、植えっぱなしにせず霜がおりる前に球根を掘り上げる必要があります。①地上部が完全に枯れるまで待つ
球根を掘り上げるのは、地上部が完全に枯れるまで待ちましょう。ただし、地上部が枯れる前に気温が下がって霜がおりる恐れがある場合には、地上部が完全に枯れるまで待つ必要はありません。霜が降りて土が凍結する前に、球根を掘り上げましょう。②球根を傷つけないように優しく掘り上げる
地上部が完全に枯れたら、球根を掘り上げます。球根を掘り上げるときには、球根を傷づけないように優しく掘り上げましょう。特に、クラウンと呼ばれる茎に近く膨らんだ部分は繊細ですから、意識して慎重に掘り上げましょう。③発芽点を折らないように、軽く水洗いをして土を落とす
掘り上げた球根は、軽く水洗いをして土を落とします。水洗いして土を落とすときに発芽点を折らないように気をつけてください。発芽点は、球根が茎に接しているクラウンと呼ばれる部分にあります。掘り上げるときにも水洗いをして土を落とすときにも、繊細なクラウンを慎重に取り扱うことがコツです。④球根が増えていたら、芽を割らないように分球する
育成期の間に球根が増えていることがあります。球根が増えていたら、分球しましょう。分球するときには、芽を割らないようにすることがポイントです。発芽点はクラウンにありますから、クラウンを分割することになります。茎とクラウンをカットしますが、茎からクラウン、球根と球根の間にかけて縦にカットすることがポイントです。ダリアは「挿し木」でも増やすことができますが、分球すれば挿し木より簡単にダリアを増やすことができます。⑤日陰に数日おいて、乾燥させる
②〜④の作業が終わったら、水洗いして表面が湿っている状態の球根を乾燥させます。日陰で数日管理して乾燥させましょう。球根を保管するときには乾燥させすぎないことがポイントになりますから、完全に乾燥させる必要はなくやや生乾きの状態でも構いません。⑥ピートモスやおがくずなどを箱に詰め、その中に埋める
乾燥させたダリアの球根は、寒さを避けて保管します。ピードモスやおがくずなどを箱に詰めてから、ダリアの球根を箱の中に埋めましょう。ダリアの球根を保管するときには多湿や乾燥を避けて適した湿度で保管することがポイントです。ピートモスやおがくずなどを詰めることによって、多湿や極端な乾燥を防ぐことができます。 保存した球根は桜の花が咲く頃、植え付けを行います。植え付けは5cm〜10cmの深さで、小型品種は5cmほど、大型品種は10cmほどの深さに球根を植えます。ダリアの冬越しは油断すると失敗する?
ここでは、ダリアの冬越しで気を付けるべきポイントについて解説します。ちょっとした油断で冬越しに失敗してしまうこともありますから、冬越しの失敗を避けるため球根を扱うリスクや球根保管時のリスクを正しく理解しましょう。球根を扱うリスク
球根を扱うときには、冬越しを失敗するリスクが潜んでいます。次のようなポイントに気をつけることによって、球根を扱うときに冬越しを失敗するリスクは大きく下がります。繊細なクラウンを傷めないよう優しく扱う
球根には発芽点のある「クラウン」と呼ばれる部分があります。クラウンは球根が茎と接している部分にあり、やや膨らんでいます。クラウンは繊細ですから、クラウンを痛めないように優しく扱いましょう。土から掘り上げるとき、水洗いして土を落とす時などにクラウンを痛めてしまうことがありますから、どこにクラウンがあるかを意識して丁寧に掘り上げの作業を進めましょう。球根自体に傷がつかないように注意
球根を扱うときには、球根自体に傷がつかないように常に注意しましょう。繊細なクラウンを痛めないことは大切ですが、球根自体を雑に扱ってよいわけではありません。球根を放り投げたりせずに傷がつかないように丁寧に扱います。球根保存時のリスク
球根を保存するときにも、冬越しを失敗するリスクが潜んでいます。次のようなポイントに気をつけることによって、球根保存時に冬越しを失敗するリスクは大きく下がります。多湿に注意
ダリアの球根を保存する時には「多湿」に注意しましょう。冬は室内であっても気温が低くなります。もともと多湿に弱いダリアですが、気温が低い環境に「多湿」が重なると球根が腐りやすくなりますから、多湿を避けて球根を保存します。乾燥に注意
多湿に注意する一方で「乾燥」にも注意が必要です。球根はもともと内部に水分を蓄えているますが、乾燥しすぎる環境で球根を保存すると球根が乾いてシワシワになってしまうことがあります。しわしわになった球根でも植え付けた後に回復して元気に育つことはありますが、球根を保管する時に極端な乾燥を避けることが大切です。ダリアの様々な品種
ここでは、ダリアの様々な品種をご紹介します。ここで紹介するのは、- ハミングブロンズシリーズ
- 黒蝶
- 皇帝ダリア
ハミングブロンズシリーズ
ダリアで特に人気のある種類が「ハミングブロンズシリーズ」です。ハミングブロンズシリーズの中から「エタニティ」「トレゾラ」「ブルックフィールドデライト」の3つの品種をご紹介します。重厚感を感じさせる銅葉で落ち着いた雰囲気を演出するシリーズ
ハミングブロンズシリーズは、重厚感を感じさせる銅葉で落ち着いた雰囲気を演出するシリーズです。シリーズに共通するのは、ブロンズリーフとも呼ばれる銅葉です。銅葉は黒みを帯びた葉色が美しく、植物でありながら金属のような重厚な質感を感じさせることから人気があります。ダリアとしてはコンパクトなサイズですから、鉢植えや花壇での栽培に適しています。シリーズ品種①エタニティ
ハミングブロンズシリーズを代表する品種が「エタニティ」です。サーモンピンク色の花がパッと開いて咲く花姿がとても美しく、落ち着いた雰囲気の銅葉が美しい花をより一層引き立てます。花の美しさと葉の重厚感のバランスが素晴らしい品種です。シリーズ品種②トレゾラ
「トレゾラ」の花は、淡いピンク色の花が特徴です。丸みを帯びた花姿と相まって淡いピンク色の花は柔らかくふんわりとした雰囲気です。重厚感のある銅葉によって、柔らかで優しげな花の魅力がさらに強調されます。シリーズ品種③ブラックフィールドデライト
「ブルックフィールドデライト」は、鮮やかな赤い色の花が特徴です。デライト(大喜び)の名前どおり、明るい色合いの花は陽気な雰囲気です。鮮やかに咲く明るい色の花を、黒みを帯びた銅葉が引き立てます。黒蝶
直径15cmほどにもなる大輪の花を咲かせる「黒蝶」。花の大きさに加えて強く黒みを帯びた紅色の花色はもち、花姿はゴージャスで存在感があります。草丈は60cm〜120cmほどまで成長しますから、支柱を立てて育てます。大輪の花は切り花にも適しています。皇帝ダリア
「皇帝ダリア」は6mほどの大きさに成長することもある大型の品種です。ダリアですから多年草の一種ですが、茎が木質化することからツリーダリアとも呼ばれています。茎が木質化するとはいえ、大きく育てる場合には丈夫な支柱を立てて育てる必要があります。ピンクや紫色の花を咲かせます。【まとめ】ダリアは冬越しできるの?適した2つの方法から注意点まで徹底解説!
ここまで、ダリアの冬越しについて「植えっぱなしで冬越しする場合」と「球根を掘り上げて冬越しする場合」に分けて詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか。最後に、ダリアの多彩な品種についてもご紹介しました。 この記事のポイントは、- ダリアはメキシコやグアテマラに自生する多年草で、日当たりと風通しのよい環境を好む植物。華やかな花が人気の球根植物で、鉢植えでも地植えでも育てられるが寒さには弱い
- ダリアの球根は寒さで腐敗することがあるため、寒冷地では霜がおりる前に球根を掘り上げる。鉢植えの場合はそのまま場所を移動できるため、掘り上げる必要はない
- 植えっぱなしでダリアを冬越しするには、地植えの場合は凍結防止のため盛り土するとよいが球根を掘り上げてしまった方が無難。鉢植えの場合は気温が5℃を下回らない場所に移動させ、水やりを極力少なくする
- 球根を掘り上げてダリアを冬越しするには、①地上部が完全に枯れるまで待つ、②球根を傷つけないよう優しく掘り上げる、③発芽点を折らないよう注意しながら球根を軽く水洗いして土を落とす、④球根が増えていたら芽を割らないように分球する、⑤日陰に数日置いて乾かす、⑥ピートモスやおがくずなどを詰めた箱の中に球根を埋めて保存する
- ダリアの冬越しで注意すべきポイントは、①球根を扱う時にはクラウンや球根自体を傷つけないように丁寧に扱う、②球根を保存する時には「多湿」と「乾燥」に注意する
- ダリアには多彩な品種があり、「ハミングブロンズシリーズ」「黒蝶」「皇帝ダリア」など魅力のある品種が揃っている