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アフリカのサバンナに生息する「バオバブの木」。バオバブの木は「逆さまの木」とも呼ばれ、木を引っこ抜いて逆さまに植えたような特徴的な姿を思い浮かべる方も多いことでしょう。乾季に葉を落とした姿が有名なバオバブの木ですが、雨季には葉を茂らせて白い花を咲かせることはご存知でしょうか。
この記事では、
- バオバブという植物について
- バオバブの花の特徴は
- バオバブに花言葉はある?
- 日本でも屋外で花が咲いた浜名湖花博
- さまざまな方法で活用されるバオバブの実
- バオバブの木にまつわる神話や伝承
バオバブってどんな植物?
はじめに、バオバブという植物について解説します。アフリカのサバンナに生息するバオバブはどんな特徴をもった植物なのでしょうか。アフリカやマダガスカルを原産とするアオイ科の植物
バオバブはアフリカやマダガスカルを原産とするアオイ科の落葉高木です。学名はAdansonia digitataで「アフリカバオバブ」の別名を持ちます。オーストラリアにもバオバブは生息していますが「オーストラリアバオバブ(学名:Adansonia gregorii)」と呼ばれており、「アフリカバオバブ(学名:Adansonia digitata)」とは別の種類です。バオバブは熱帯地域に生息するため、暑さや強い日差しに強い性質をもっています。木を引っこ抜いて逆さまに植えたような特徴的な形をしている
バオバブは木を引っこ抜いて逆さまに植えたような特徴的な姿をしています。特に枝の形に特徴があり、あたかも空中に根を張っているように見えます。「逆さまの木」という別名をもち、その特徴的な姿から多くの神話や伝承が残されています。成熟すると高さ30メートル、直径10メートルを超える
バオバブは成熟すると高さ30メートルにもなります。幹の太さは直径10メートルを超えるものもあり、世界最大級の大きさを誇る植物です。バオバブの自生地では雨季と乾季がはっきりと分かれているため、乾季に備えて太い幹の中に大量の水分を蓄えています。樹齢が長く、5000年を超えるバオバブの木が存在した
バオバブはゆっくりと成長しますが、樹齢は長い植物です。樹齢が数千年に達するバオバブの木もあり、中には5000年を超えるバオバブの木が存在したそうです。観葉植物にもなり、盆栽型に仕立て育てることも出来る
バオバブは熱帯地域に生息する巨木ですが、成長がゆっくりですから観葉植物として育てることができます。ただし、寒さには強くないため日本では屋外での冬越しは難しいため冬場は暖かい室内に取り込んで育てる必要があります。また、バオバブの特徴的な幹や枝のかたちを活かして盆栽型に仕立てて育てることもできます。バオバブは街の花屋さんや通販で買うことが出来る
バオバブは街の花屋さんや通販で買うことができます。ただし、寒さに弱いバオバブは日本では地植えで育てることが難しい植物です。バオバブは鉢植えで栽培して寒くなったら暖かい室内へ取り込むことが基本です。鉢植えで管理する場合には自生地ほど大きく育ちませんから、日本で大きく育ったバオバブを見るなら植物園がおすすめです。沖縄県の沖縄熱帯ドリームセンター(海洋博公園)や山口県のときわ公園など温室でバオバブを栽培している植物園はたくさんあり、管理が行き届いているため開花時期にはバオバブの花を見ることができます。バオバブの花はいつ開花する?その特徴を紹介
ここでは、バオバブの開花時期や花の特徴について解説します。バオバブの花は、いつ開花しどんな特徴をもっているのでしょうか。バオバブは7~9月に開花時期を迎える
バオバブの開花時期は、7月から9月にかけてです。乾季と雨季にはっきり分かれる自生地では、雨季に葉を茂らせて花を咲かせます。日本では暑い夏の時期にバオバブの花が開花します。白色の大きい花で、幹から垂れ下がるように下向きに咲く
バオバブは、白色の大きな花を咲かせます。大きな花は、幹から垂れ下がるように下向きに咲きます。そして、花が咲き終わるとそのまま大きな実を下に垂らします。品種によっては黄色の派手な花をつけるものもある
バオバブの花色は白いものが多いですが、品種によっては黄色の派手な花をつけるものもあります。黄色の派手な花を咲かせるフニーバオバブという品種は、日本の植物園でも栽培されています。日中には開花せず、深夜に花が開いていき、次の日の昼には枯れてしまう一日花
バオバブの花は一日花です。日中には開花せず、深夜に花が開きます。そして、次の日の昼頃には枯れてしまいます。バオバブの花を目的に植物園を訪れるときには、午前中のうちに訪れるとよいでしょう。深夜に咲いた花は昼頃に枯れますから、午後に訪れてもバオバブの花を見ることはできません。バオバブの花言葉
ここでは、バオバブの花言葉について解説します。サン=テグジュペリの「星の王子さま」では恐ろしい植物として描かれていたバオバブですが、どんな花言葉があるのでしょうか。バオバブに花言葉は無い
木を引っこ抜いて逆さまに植えたような特徴的な姿をしているバオバブですが、意外にも花言葉はないとされています。「星の王子さま」では恐ろしい植物として描かれていましたが、ネガティブな意味の花言葉もありません。「一千年の木(バ・オバブ)」や「種がたくさんあるもの(ブー・フブーブ)」に由来して言葉を当てはめる
バオバブは「一千年の木(バ・オバブ)」や「種がたくさんあるもの(ブー・フブーブ)」という別名がありますから、それらの別名に由来して言葉を当てはめることができます。「長寿」
「一千年の木(バ・オバブ)」と呼ばれて数千年以上の寿命を持つバオバブには「長寿」という言葉がぴったりです。バオバブの成長はゆっくりしていますが、長い歳月をかけて大きく成長する植物です。「健康」
健康でなければ、数千年以上の歳月を生きることはできません。雨季と乾季がはっきりとわかれる自生地で乾季の厳しい環境にも耐えながら長生きするバオバブには「健康」という言葉がふさわしいです。「財産」
「種がたくさんあるもの(ブー・フブーブ)」の別名があるバオバブからは、大きな実からたくさんの種がとれます。たくさんの種がとれることから「財産」という言葉が連想されます。実際にバオバブの種子からはバオバブオイルが搾油でき、とても役に立つ植物です。野外で初めて花が咲いた!浜名湖花博
ここでは、屋外で初めてバオバブの花が咲いた浜名湖花博のエピソードをご紹介します。日本では植物園の温室などでバオバブが花を咲かせることはありますが、2004年に静岡県浜松市で開催された浜名湖花博では屋外で初めて咲いたバオバブの花が話題になりました。浜名湖花博では野外にあるバオバブを見ることが出来た
花や庭園をテーマにした博覧会「花博」。2004年に静岡県浜松市で開催された浜名湖花博では、会場にバオバブが飾られて野外にあるバオバブを見ることができました。世界の珍しい植物を見ることができる花博ですが、浜名湖花博ではアフリカとオーストラリアからバオバブの木がやってきました。日本では浜名湖花博で初めて屋外での開花に成功した
浜名湖花博会場では、巨木のバオバブが大きな白い花を咲かせたとして当時話題になりました。屋外でのバオバブの開花は日本ではこれが初めての成功だそうです。現在は一部を残す形で、浜名湖ガーデンパークとなって供用開始している
2004年に開催された浜名湖花博の会場は、現在は一部を残す形で浜名湖ガーデンパークとなって供用されています。その後、浜名湖ガーデンパークは2024年開催の「浜名湖花博2024」の会場のひとつにもなっています。バオバブの実の活用例を紹介
ここでは、バオバブの実の活用例をご紹介します。特徴的な樹形で有名なバオバブですが、バオバブの実は「スーパーフルーツ」と呼ばれいろいろな用途に使うことができます。花が咲き終わった後に実ができる
バオバブの花を7月から9月にかけて開花しますが、花が咲き終わった後には実ができます。できてすぐの実は水分を多く含んでいるため、しばらく乾燥させてから実を収穫します。しっかり乾燥させてから収穫した実の果肉は粉状の塊になっており、簡単にパウダーにすることができます。バオバブの実は食物繊維や栄養が豊富でスーパーフルーツと呼ばれ、危険は無い
バオバブの実は「スーパーフルーツ」と呼ばれており食用の果実です。果実のなかに食物繊維や栄養を豊富に含んでいますが、果肉のほぼ半分を占める食物繊維のほかビタミンCやカルシウムなどが特に多いです。パウダー状のバオバブパウダーとして流通することが多いですが、柑橘系の酸味があります。「星の王子さま」に登場するバオバブの木は恐ろしい存在として描かれていますが、実際のバオバブの実には危険はありません。バオバブの実の活用例
バオバブの実にはいろいろな活用例があります。バオバブの実を加工してチョコレートやパウダー、オイル、美容液などに使われています。バオバブチョコレート
チョコレートの材料には優れた抗酸化作用をもつカカオが使われており、ミネラルも多く栄養が豊富はスーパーフルーツ「バオバブの実」との相性は抜群です。カカオとバオバブの実を組み合わせたバオバブチョコレートは健康を気にする方に人気があります。バオバブパウダー
乾燥したバオバブの果肉は粉状の塊ですからそのまま「バオバブパウダー」として活用することができます。食物繊維、ビタミンC、カルシウムなどを多く含むバオバブの実ですが、パウダー状ですから使いやすくさまざまな食べ方ができます。スムージーやヨーグルトに加えたり、アレンジの方法は無数にあります。バオバブオイル
バオバブの実から搾油した「バオバブオイル」は美容のために用いられます。豊富な栄養を含むだけではなく、保湿力と抗酸化力が高いことから魔法のオイルとも呼ばれ人気があります。バオバブ美容液
バオバブの実は美容液としても活用されています。保湿力が高くベタつかずにさらりとしているため、バオバブの実は美容液としても適した素材です。バオバブの木にまつわる神話や伝承
ここでは、バオバブの木にまつわる神話や伝承について解説します。バオバブの原産地アフリカで語り継がれる伝承や神話だけではなく、有名な物語にもバオバブの木は登場します。アフリカでは、多くの伝承や神話があり、神聖な木とされている
バオバブが生息するアフリカでは、長い年月を生きるバオバブは神聖な木とされています。バオバブの木に関する多くの伝承や神話があり、ひとびとの間で語り継がれています。有名な神話・伝承
バオバブの木に関する有名な神話や伝承をいくつかご紹介します。神様に逆らったため、逆さまに植えられた
バオバブは木を引っこ抜いて逆さまに植えたような特徴的な姿をしています。その特徴的な姿から、神様に逆らったため逆さまに植えられたと伝えられています。悪魔もしくは巨人が普通の樹木を抜いて逆さに植えた
逆さまに植えたのは、悪魔もしくは巨人だとする伝承もあります。普通の人間には巨木を逆さに植えることはできませんから、悪魔か巨人が普通の樹木を抜いて逆さに植えたとするお話です。バオバブの木の下で集会をすると良いアイディアが生まれる
バオバブの木の下で集会をすると良いアイディアが生まれるという伝承もあります。伝承の由来は定かではありませんが、逆さまに植えたような姿から「逆転の発想」が生まれそうです。バオバブの花を抜くとライオンに体を引き裂かれる
バオバブの花を抜くとライオンに体を引き裂かれるという伝承もあります。バオバブの花は夜に開花しますから、夜行性のライオンに体を引き裂かれないよう夜は出歩いてはいけないという教えでしょうか。ライオンが身近に生息しているアフリカならではの言い伝えですね。サン=テグジュペリの「星の王子さま」にも登場する
バオバブの木は、サン=テグジュペリの「星の王子さま」にも登場します。小さい頃に「星の王子さま」を読んではじめてバオバブの木を知ったという方も多いのではないでしょうか。世界中で愛されているバオバブの木ですが、作中では恐ろしい植物として描かれています。【まとめ】バオバブの花はどんな花?開花時期や特徴、花言葉などを紹介!
ここまで、バオバブの花の特徴や花言葉から、バオバブの実の特徴や活用方法、バオバブの木にまつわる神話や伝承など詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか。 この記事のポイントは、- バオバブはアフリカやマダガスカルを原産とするアオイ科の植物で、木を引っこ抜いて逆さまに植えたような姿が特徴
- 成熟すると高さ30メートル、直径10メートルを超える。樹齢が長く、5000年を超えるバオバブの木が存在したことも
- バオバブは観葉植物にもなり、盆栽型に仕立てることも可能。街の花屋さんや通販で手に入れることができる。
- 日本で大きく育ったバオバブの木を見るなら、沖縄県の沖縄熱帯ドリームセンター(海洋博公園)や山口県のときわ公園など温室でバオバブを栽培している植物園がおすすめ
- バオバブの開花時期は7〜9月で、白色の大きな花が幹から垂れ下がるように下向きに咲く。バオバブの花は一日花で、深夜に花が開いていき次の日の昼には枯れてしまう
- バオバブに花言葉はないとされる。「一千年の木(バ・オバブ)」や「種がたくさんあるもの(ブー・フブーブ)」という別名に由来して「長寿」「健康」「財産」という言葉を当てはめることができる
- 2004年開催の浜名湖花博では野外にあるバオバブを見ることができ、日本で初めて屋外での開花に成功した。浜名湖花博の会場は、現在は一部を残す形で浜名湖ガーデンパークとなって供用されている
- バオバブの実は「スーパーフルーツ」と呼ばれる食用の果実で食物繊維や栄養が豊富。バオバブチョコレートやバオバブパウダー、バオバブオイル、バオバブ美容液などに活用されている
- アフリカではバオバブは神聖な木とされており、多くの伝承や神話がひとびとの間で語り継がれている。サン=テグジュペリの「星の王子さま」に登場することでも有名