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爽やかな緑に黄色の斑入った葉が魅力的なフィカス・アルテシマ。つやがあり明るい雰囲気で、育てやすい品種でもあるためインテリアグリーンなどに人気の観葉植物です。そんなフィカス・アルテシマを、挿し木で増やしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、適期や正しい方法が分からないとうまくできるか不安ですよね。 フィカス・アルテシマの挿し木を成功させるには、いつどのような方法で行うと良いのでしょうか。 そこでこの記事では、
- フィカス・アルテシマの特徴
- フィカス・アルテシマの挿し木の適期
- フィカス・アルテシマの挿し木の手順
- フィカス・アルテシマの挿し木以外の増やし方
- フィカス・アルテシマを枝分かれさせるには?
- フィカス・アルテシマの挿し木でよくある失敗
そもそもフィカス・アルテシマとはどんな植物?
挿し木について解説する前に、フィカス・アルテシマはどのような特徴を持った植物なのかをご紹介していきます。東南アジア出身のゴムの木の一種
フィカス・アルテシマは、東南アジア原産のクワ科フィカス属の植物です。ゴムの木の仲間で、原産地では樹高がかなり高く成長します。その樹姿からラテン語で「最も高い」という意味の「アルテシマ」と名付けられました。特徴的な明るいグリーンの葉に黄色い斑のある模様がある
フィカス・アルテシマは、明るいライムグリーンの葉に黄色い斑が入っている種類が人気で多く出回っています。存在感があり爽やかな色合いの葉がお部屋を明るく彩り、インテリアグリーンにぴったりです。育てやすい観葉植物として初心者にも人気がある
比較的耐陰性があるため、通年室内で育てることが可能です。寒さが苦手な性質なので日本では観葉植物に分類されています。こまめなお手入れが必要なく育てやすいため、園芸初心者にも人気が高い植物として知られています。フィカス・アルテシマに挿し木をする時期は4月~9月がベスト
フィカス・アルテシマの特徴が分かったところで、ここからは挿し木について詳しく解説していきます。挿し木はその植物の特性に合わせた時期に行うことが大切です。挿し木を4月~9月にやるべき理由
フィカス・アルテシマの挿し木は、生長期である4月~9月が適期になります。特に湿度と温度が安定する6月がおすすめです。株の勢いが旺盛な時期に行うことで、負担を最小限を抑えることができます。同時期に剪定も可能なので、切り取った枝をそのまま挿し木に使うとその後も順調に生育しやすいでしょう。冬の季節にしない方がいい理由
先にもお話しした通り、寒さに弱い性質なので冬の時期は生長が止まります。休眠期に挿し木を行うと株にダメージを与えてしまうだけでなく、枝から発根することも期待できません。挿し木を成功させるためにも必ず適期に行いましょう。挿し木のために必要な道具を準備しよう
フィカス・アルテシマの挿し木をする際に必要な道具をご紹介します。特別な道具は必要ありませんので、作業をスムーズに進めることができるように事前に準備しておいてください。①フィカス・アルテシマ
挿し木に使うフィカス・アルテシマの枝を10cm程の長さで切り取ります。挿し木用に切り取った枝を「差し穂」と言います。状態の良いものを選んで差し穂を準備しましょう。②清潔なハサミ
清潔で切れ味の良い園芸用のハサミを使います。汚れたハサミは表面に病原菌が付着している可能性があるので、必ず消毒したものを使用します。③挿し木用の土
基本的にゴムの木は中性の土を好みます。赤玉土7:腐葉土3の割合でブレンドした用土か、市販の観葉植物用の挿し木用土でも利用可能です。④挿し木のための鉢
挿し木用の鉢は小さめの物を用意しましょう。陶器製の物であれば倒れにくく安心です。また育苗ポットなども管理しやすいのでおすすめです。⑤鉢底ネット
鉢の一番下に鉢底ネットを敷きます。これによって鉢底の穴から害虫が侵入することを防ぎ、植物の健康的な成長を促します。⑥鉢底石
鉢底ネットの上に鉢底石を入れます。鉢底石を使うことで、鉢内の排水性が良くなり蒸れを防ぎます。また同時に鉢底から空気を取り入れ通気性を保ちます。⑦水をためるコップ
差し穂を水に浸けて吸水させる際のコップが必要です。1~2時間ほどしっかり水を含んでから土に挿します。⑧細い棒
挿し木用の土にあらかじめ穴を開けておくために、割りばしなどの細い棒を準備しておきましょう。先に穴を開けておくことで、挿し穂の切り口が傷つくことを防ぎます。⑨スコップ
一般的な園芸用のスコップで十分です。土入れスコップは一度に多くの土がすくえる上に、土を入れる際には量が調整しやすいためおすすめです。⑩手袋
作業時にはゴム手袋もしくは軍手を用意してください。ゴムの木の仲間であるフィカス・アルテシマは、切り口から毒性のある樹液が出ます。素手で触れると、かぶれることもあるので注意が必要です。⑪園芸用シート
ベランダや室内など汚したくない環境での作業には、園芸用シートがあると便利です。特にフィカス・アルテシマの場合は、樹液が床に落ちることがあります。樹液対策にもなるので準備しておくことをおすすめします。フィカス・アルテシマの挿し木のやり方を4ステップで解説
必要な道具が揃ったら、実際にフィカス・アルテシマの挿し木を行いましょう。以下に具体的な手順を4ステップにまとめましたので、作業の参考にしてください。①枝を切ることで差し穂を作る
最初に挿し木に使う差し穂を作ります。株全体をよく観察して勢いの良い枝を選んだら、清潔なハサミを使って10cm程の長さにカットします。この時、節の下の位置で切ると根が早く出てきます。②差し穂の葉を2~3枚にする
葉がたくさん付いているとその分水分が蒸発してしまうので、差し穂の葉は2~3枚を残してあとは取り除きます。また葉が大きい場合は、半分にカットしても良いでしょう。③切り口を水に浸ける
切り口から出る樹液を洗い流したら、差し穂の切り口を1~2時間ほど水に浸けます。その際、効率よく水分を吸収させるために切り口を斜めに切ります。④水苔で包んで発根を促す
差し穂が十分に吸水したら、湿らせた水苔に包んで輪ゴムなどで止めます。水苔が乾燥しないように半日陰の環境で水を与えて発根を促します。根が生えたのを確認出来たら、水苔を付けたまま土に植えましょう。フィカス・アルテシマは挿し木直後のケアが大事
フィカス・アルテシマを挿し木で増やすには、挿し木直後の管理の仕方がとても重要です。適切なケアがその後の順調な成長につながるので、ポイントをおさえておきましょう。①挿し木が成功したら土に植え替える
根が十分に生えたら挿し木は成功です。観葉植物用の土などに植え替えをしましょう。自分で配合するのであれば、赤玉土をベースにパーライトやピートモスなどで調整し水はけの良い土を用意します。②直射日光の当たらない明るい日陰に移動する
植え替え後は風通しが良く、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。暗い場所に置くと葉の色ツヤが悪くなったり、徒長の原因になったりするので注意が必要です。ただし、直射日光は刺激が強く、葉が焼けて変色してしまうのでレースカーテン越しなどの明るい環境が理想的です。③たっぷりと水やりをする
水やりは基本的に、土の表面が乾いたタイミングでたっぷりの水を与えます。水の与えすぎは根腐れの原因になるので適量に留めます。冬の休眠期は水やりの頻度を減らし、土の表面が乾いてから数日後に水やりをしましょう。④成長に合わせて適度に肥料を与える
春~秋の生育期にかけて肥料を施すと葉付きが良くなります。月に1回緩効性化成肥料を置き肥するか、10日に1回規定量の2倍に希釈した液肥を与えてください。肥料の与えすぎはかえって株を弱らせたり、肥料障害を起こしたりするので成長に合わせて適量を施すことが大切です。挿し木以外でフィカス・アルテシマを増やす方法もある
フィカス・アルテシマを増やす場合には、一般的に挿し木の方法が用いられることが多いですが、他にも「水挿し」や「取り木」で増やすこともできます。①水挿しで増やす
剪定などで切った枝を水に挿して発根させ、新たな株として増やすことができます。下葉を取り除いた枝を水に浸け、発根するまで明るい日陰で毎日水を取り替えて管理しましょう。水挿しで増やしたフィカス・アルテシマは、通常の株よりも吸水性が劣りますがそのまま水耕栽培で育てられます。②取り木で増やす
取り木はゴムの木の枝や幹の1部に傷を付け、そこから発根させる方法です。ナイフなどで切込みを入れた部分に水苔を巻いて、根が伸びてきたらその部分を親株から分離させ子株として植え付けましょう。親株に負担が少なくて済むので、枯れる心配はほとんどいりません。また早く大きな株に育てたい場合に適した方法になります。フィカス・アルテシマが枝分かれしない理由は?
フィカス・アルテシマを育てていると、上にばかり伸びてもう少しボリュームが欲しいと感じることも少なくありません。ここからはフィカス・アルテシマが枝分かれしない理由と、うまく枝分かれさせる方法について解説していきます。普通に栽培していると枝分かれはしない
フィカス・アルテシマなどのゴムの木は「単一幹樹形」と呼ばれ、単一の幹を持つ直立成長の植物です。自生地では基本的に枝分かれすることなく、高木として成長する性質を持っています。そのため手を加えずに普通に育てていると、枝分かれすることなく伸び放題になってしまいます。ボリュームを出すための5つのステップを解説
フィカス・アルテシマを枝分かれさせて見栄えを良くするには、適切なお手入れが必須です。以下に具体的なお手入れ方法を、5つのステップにまとめましたので参考にしてください。①生育期の5月~6月に剪定をする
フィカス・アルテシマの生育期である5~6月に剪定をします。株の勢いが盛んなこの時期に剪定を行うことで、より多くの新芽を付けることが期待できます。地域によって異なりますが、最低気温が15℃以上になる春頃がベストです。②剪定の数日前から水やりを控える
剪定する際には、数日前から水やりを控えて土を乾かし気味の状態にしておきます。剪定後は葉数が減るのに伴って、蒸散による水分量が減少します。水分過多になると根腐れの原因になるため、剪定をする2~3日前から水やりを調整しましょう。③枝分かれさせたい場所をハサミで切る
株全体のバランスを見て、枝数を増やしボリュームを出したい場所をカットします。株に負担が少なくて済むように葉を数枚残しておくことをおすすめします。剪定には必ず清潔なハサミを使用してください。④土が乾いたら水やりをする
剪定後は葉数が減るため多くの水分を必要としません。また葉からの蒸散量が減少するため、剪定前よりも土が乾きにくくなります。根腐れを防ぐためにも、土がしっかりと乾いてから水やりを行ってください。⑤新芽が複数出てきたら適度に肥料を与える
剪定後の経過が順調であれば、1週間ほどで複数の新芽が出てきます。このタイミングで希釈した液体肥料を施すと生育が促進され、新しい枝葉がさらに展開していきます。その後は2週間に1回程度施肥を続けましょう。枝分かれさせるときに注意するポイント2選
フィカス・アルテシマを枝分かれさせるには剪定が必要なことがお分かりいただけたと思います。しかし剪定は株にとって大きな負担がかかるため、正しい時期やタイミングをおさえておきましょう。冬の剪定は控える
フィカス・アルテシマは冬の時期は休眠期に入ります。生育が鈍る休眠期に剪定を行うと、株を弱らせてしまいます。強めの剪定の場合は、最悪の場合枯れてしまう恐れもあるため注意が必要です。株が弱っているときの剪定は控える
剪定の適期の春の時期であっても、株が弱っている場合は剪定を控えましょう。明らかに葉の色ツヤが悪い時は、株の状態が悪い可能性があります。剪定によってさらにダメージを与えてしまうことの無いように、まずは株の健康を回復させましょう。よくあるフィカス・アルテシマの挿し木の失敗例を紹介
フィカス・アルテシマの挿し木は比較的簡単で、失敗することはそれほど多くありません。主に環境が適していない場合に見られる失敗例をいくつかご紹介しますので、挿し木に挑戦する際には参考にしてください。用土がカビて腐ってしまう
室内で湿度管理がうまくできていないと、葉や挿し木が腐ってしまうことがあります。そのまま放置していると用土にもカビが生えて腐ってきます。湿気がこもらないように葉が落ちたらすぐに取り除きましょう。挿し木が茶色く変色したり、しわっぽくなったりしていたら枯れている可能性があります。直射日光に当てて枯れてしまう
挿し木したフィカス・アルテシマを植え替え後、すぐに直射日光に当てると枯れてしまうことがあります。根の状態がまだ安定していないため、徐々に日に当てて慣らしていく必要があります。植え替え後は少しずつ日当たりの良い場所に移動させて管理しましょう。気温が低いときに挿し木して発根しない
基本的に気温が低いと成長が緩やかになります。そのため成長期以外の時期に挿し木を行っても、根はほとんど伸びず失敗に終わることが多いです。株に負担をかけないためにも、挿し木は必ず暖かい時期に行いましょう。フィカスアルテシマの挿し木を解説!適した時期からよくある失敗までのまとめ
フィカス・アルテシマの挿し木について詳しく解説してきました。 本記事の内容は、- 東南アジア原産のクワ科フィカス属のゴムの木の仲間
- 挿し木の適期は成長期の4~9月で、中でも6月は湿度と温度が安定するため最もおすすめ
- 長さ10cm程の差し穂を1~2時間水に浸け、水苔に包んで半日陰で管理し発根を促す
- 「水挿し」や「取り木」で増やすこともできる
- 成長期中の5~6月に、枝分かれさせたい場所をカットして新芽が出てきたら肥料を施す
- 挿し木後湿度管理が悪いと用土がカビたり、植え替え後すぐに直射日光に当てると枯れてしまったりするので注意が必要