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春に咲く可愛らしい植物といえばタンポポでしょう。サクラやチューリップのように派手さはありませんが、小さな姿と黄色い花はとても可愛らしいですよね。
花が咲き終わった後には、綿毛で種子を飛ばす特性を持っており、白いもこもこを付けるようになります。子どもの頃、綿毛を吹き飛ばして遊んだ方も多いのではないでしょうか。
そんな、可愛らしいお花と綿毛が魅力的なタンポポですが、実は日本に何種類もいることを知っていましたか?パッと見て同じ姿をしているので、知らない方が多いでしょう。そこで、本記事ではタンポポの種類について解説します。この記事を読めば以下のことが分かりますよ。
- タンポポという植物について
- 日本に自生するタンポポについて
- 外来種のタンポポの名称
- タンポポの見分け方
タンポポの種類について知りたい方はぜひ、本記事を最後まで読んでみてくださいね。
そもそもタンポポ(蒲公英)ってどんな植物?
そもそもタンポポ(蒲公英)がどのような植物なのか詳しく知っていますか?多くの方が「綿毛を飛ばす植物」程度の認識でしょう。間違ってはいませんが、タンポポには種類が沢山あり、さまざまな特徴があります。では、タンポポについて一歩踏み込んでみましょう。
ヨーロッパ原産のキク科タンポポ属の植物
タンポポ(蒲公英)はヨーロッパ原産のキク科タンポポ属の植物です。花を見ると分かるのですが、菊の花に似ていますよね。なので、広く分けると菊の花の仲間なんですね。
タンポポは種子を綿毛で飛ばして分布を広げる生存戦略を取っています。動物などの不確定要素に頼らず、自然に発生する風を利用して数を増やしているんですね。
詳しくは後述しますが、日本のタンポポは在来種と外来種の2種類に分けることができます。ぱっと見で見分けるのは難しく、生息場所や花が咲いている季節などで判断します。
日当たりの良い野原などに生える多年草
タンポポは日当たりの良い野原などに生える多年草です。タンポポというと春の草花のイメージですね。しかし、よく観察するとタンポポは冬にも葉っぱを出しています。なので、1年を通して生きている植物なんですね。
また、タンポポが生えている場所は日当たりの良い場所です。野原だけでなく、河川敷や公園など日当たりが良い場所に生息しています。タンポポを探す場合は日当たりの良い場所を中心に探してみてくださいね。
花が白いものや葉が淡緑色のものなど様々な種類がある
タンポポは白いものや葉が淡緑色のものなど様々な種類があります。目立つのは花が白いタンポポ。外見はタンポポそっくりなのに花が白いタンポポらしき植物を見たことがありませんか?実は、白い花の植物もタンポポなんです。様々な種類があるのがタンポポという植物なんですね。
北海道から沖縄まで日本全国に生息している
タンポポは北海道から沖縄まで日本全国に生息しています。四季のある日本で、日本全国に生息している環境対応力が高い植物なんですね。日本中どこでも楽しめるのがタンポポの魅力ともいえるでしょう。
タンポポの種類について解説!
タンポポについて詳しく知れたら、タンポポの種類について学んでみましょう。先述しましたが、ひとくちにタンポポといっても様々な種類があります。どのような種類のタンポポがあるのか知りたい方はぜひ、読んでみてくださいね。
大きく分けると2つのグループに分けられる
【そもそもタンポポ(蒲公英)ってどんな植物?】で少し触れましたが、タンポポは大きく分けると
- 在来種
- 外来種
2つのグループに分けられます。では、それぞれにどのような特徴があるのかみていきましょう。
①在来種のタンポポ
最初に解説するのは在来種のタンポポです。在来種とは、もともと日本に生息する生き物・植物を表す言葉です。
では、在来種のタンポポにはどのような特徴があるのか詳しく見ていきましょう。
22種類の在来種のタンポポがある
日本には22種類の在来種のタンポポが生息しています。日本のタンポポだけでも22種類も存在するんですね。
例を挙げると、以下のような在来種のタンポポが生息しています。
- 関東~中部地方に分布する:カントウタンポポ(日本の固有種)
- 関西地方を中心に分布する:カンサイタンポポ(日本の固有種)
- 白い花弁を持つ:シロバナタンポポ(日本の固有種)
たまに見かける白いタンポポはシロバナタンポポという日本のみに生息するタンポポなんですね。他にも19種類上の在来種のタンポポが確認されています。
正直、一覧で在来種のタンポポを見てを見分けるのはシロバナタンポポ以外困難です。22種類のタンポポが生息していますが、判別は難しいと覚えておくとよいでしょう。
虫の受粉などで種子が作られる
在来種のタンポポは虫の受粉などで種子が作られます。普通の植物と変わらない方法で受粉しているんですね。そのため、ミツバチや蝶などの昆虫は在来種のタンポポにとって貴重な存在といえるでしょう。
種子は大きいが数が少ない
在来種のタンポポの特徴のひとつに『種子が大きいが数が少ない』という特徴があります。タンポポの種子は綿毛の根元にある茶色の楕円形の物です。実際に比較してみると分かりやすいですが、外来種のタンポポに比べて種子が大きいです。そのため、綿毛から在来種・外来種の判断が可能になります。
種子は大きいですが、種子自体の数は多くありません。種子の数を比較するのは難しいので、在来種の判断をするなら種の大きさをチェックするのがおすすめです。
秋ごろまで発芽しない
在来種のタンポポの種子は秋ごろまで発芽しません。そのため、開花時期である3~5月から半年以上も発芽までの時間が必要になります。もし、タンポポを栽培してみようと考えている方は、覚えておくとよいでしょう。「いつまで経ってもタンポポが発芽しないんだけど...」という場合は、在来種のタンポポの種子かもしれませんよ。
②外来種のタンポポ
在来種のタンポポの次は、外来種のタンポポについて解説します。見た目はそっくりですが、意外と在来種のタンポポとの違いが多く、知れば知るほど奥が深いですよ。外来種のタンポポについて詳しく知りたいならぜひ、読んでみてくださいね
色々な種類があり、すべてをまとめてセイヨウタンポポと呼ぶ
外来種のタンポポは色々な種類がありますが、すべてまとめてセイヨウタンポポと呼びます。セイヨウタンポポは外来種のタンポポの代表的な品種です。明治時代に日本に来たとされており、長い歴史がある植物です。
よく似たタンポポにアカミタンポポがあります。花姿はセイヨウタンポポそっくりですが、赤みの強い種子が特徴のタンポポです。
とはいえ、一般的にアカミタンポポもセイヨウタンポポと呼びます。そのため、よりタンポポに詳しくなりたい場合を除き、頭の片隅に置いてく程度に覚えておけばOKですよ。
自分だけで種子を作れるので繁殖力が強い
外来種のタンポポであるセイヨウタンポポは自分だけで種子を作れるほど繁殖力が強いです。そのため、日本で爆発的に増えています。
私たちが普段よく目にするのタンポポのほとんどがセイヨウタンポポに該当する外来種のタンポポです。在来種のタンポポより繁殖力が強いのが外来種のタンポポの特徴といえるでしょう。
種子は小さいが数が大きい
外来種のタンポポの種子は小さいですが、数が多いのが特徴です。数が多いので綿毛が飛んだ先で、発芽する可能性も圧倒的に高いです。そのため、日本でもっとも見られるタンポポになったわけですね。先述した繁殖の力の高さと合わせて、優れた生存戦略を持っているタンポポといえるでしょう。
コンクリートの隙間などでも育つことができる
外来種のタンポポはコンクリートの隙間など、過酷な場所でも育つことができます。たまに「なんでこんな変な場所にタンポポが咲いてるんだ?」というタンポポを見たことがありませんか?変なところで咲いているタンポポは外来種のタンポポがほとんどです。過酷な場所で育つことができるからこそ、四季のある日本でも繁殖して増えることができなんですね。
タンポポの在来種と外来種の見分け方の一覧
タンポポは在来種と外来種が日本には生息しています。見た目がそっくりな、在来種と外来種のタンポポですが、見分ける方法はあるのでしょうか?どのような、見分け方があるのか詳しく解説しますね。
花の付け根の総苞片(そうほうへん)の形が違う
在来種と外来種の違いに総苞片(そうほうへん)の形の違いがあります。総苞片(そうほうへん)とは植物の萼(がく)のことです。あまり注目する方はいませんが、タンポポの見極めには重要な要素になります。詳しく解説しますね。
在来種は総苞片の外側が上向きを向いている
在来種のタンポポは総苞片(そうほうへん)は外側が上向きに向いています。言葉で表しても理解しにくいので、実際のタンポポを見てみるか画像を見るのがおすすめです。
外来種は総苞片の外側が反り返って下向きを向いている
外来種のタンポポは総苞片(そうほうへん)が外側に反り返り下向きに向いています。在来種同様、言葉だけでは分かりにくいです。そのため、実物や画像で比較するのが分かりやすいですよ。
生えている場所が違う
在来種と外来種の違いのひとつに『生えている場所が違う』という違いがあります。外来種は場所を選ばず生えているイメージですが、実際はどうなのでしょうか。詳しく解説しますね。
在来種は里山など昔ながらの場所に生えている
まず、在来種のカントウタンポポなどは里山など昔ながらの場所に生えています。今では都市開発が進み里山など、昔ながらの日本を維持している場所は少なくなってきています。
そのため、在来種のタンポポのタンポポは数を減らしている状況です。もし、在来種のタンポポを探すなら都会から離れて北海道などの自然が豊かな場所を訪れるのがおすすめです。
外来種は都市部を含め日本全国に生えている
外来種のタンポポは都市部を含めて、あらゆる場所で日本全国に生えています。例えば
- 都市部の公園
- 歩道の道端
- 庭
など、あらゆる場所に生えています。そのため、私たちがよく見るタンポポのほとんどは外来種のタンポポです。「なんか変な場所にタンポポが生えてる」という場合は、多くが外来種のタンポポと思ってよいでしょう。
気になるなら先述した、総苞片(そうほうへん)を確認してみてください。上向きなら在来種。下向きなら外来種ですよ。
種類によっては綿毛の見た目も違う
タンポポは花姿や葉っぱの色合いだけでなく、綿毛の見た目も違ってきます。綿毛についてはあまり気にする人が居ないと思うので、意外と思う方も多いでしょう。では、どのような違いがあるのか詳しく解説しますね。
外来種のアカミタンポポとセイヨウタンポポはよく似ている
前提として、外来種のアカミタンポポとセイヨウタンポポはよく似ていると覚えておいてください。相当タンポポについて詳しくない限り、花姿や葉っぱの色などで、アカミタンポポとセイヨウタンポポを見分けるのは困難です。では、どのようにして区別するのか解説していきますね。
アカミタンポポとセイヨウタンポポは綿毛で見分ける
では、アカミタンポポとセイヨウタンポポの見分け方を解説します。結論から説明すると、アカミタンポポとセイヨウタンポポを区別するには綿毛を観察する必要があります。では、どのような項目に注意して観察すればいいのか解説しますね。
アカミタンポポは綿毛についている実の色が赤っぽい
アカミタンポポは綿毛についている果実(種子)の色が赤っぽいのが特徴です。綿毛を株から引き抜いて観察してみてください。赤茶色のような、赤に近い色をしています。この赤に近い実がアカミタンポポの特徴です。
セイヨウタンポポは綿毛についている実の色が黄色っぽい
アカミタンポポは実が赤いですが、セイヨウタンポポは実が黄色っぽい特徴があります。実際に見比べると違いが分かりやすいですよ。「まず、どんな色なのか知りたい!」という方は「セイヨウタンポポ 綿毛 色」と画像検索すると
- アカミタンポポ
- セイヨウタンポポ
- カンサイタンポポ
の果実を一覧で比較した画像が出てきますよ。3つ並べた比較画像が出てくるので、タンポポに詳しくない方でも分かりやすいですよ。
茎が長いタンポポに似た植物ってなに?
最後に、茎が長いタンポポに似た植物について解説します。タンポポににた茎の長い植物を見たことがありませんか?幼い頃は大きなタンポポと思っていた方も多い謎の植物ですが、実際はタンポポではありません。では、どのような植物なのか解説していきますね。
茎が長いタンポポのような植物は「ブタナ」
茎の長いタンポポの様な植物は『ブタナ』という植物です。タンポポの花に似ていることから『タンポポモドキ』という別名を持っています。タンポポと同じキク科の植物ですが、エゾコウゾリナ属に属するためタンポポではありません。
日本で発見されたのは1933年と実は発見されてからまだ、100年も経っていないんですね。
原産はヨーロッパで世界中に帰化している外来種になります。開花時期は6月~9月なのでタンポポと開花時期が被ることはありません。
タンポポと同じくブタナはすべての部分が食用可能です。ヨーロッパではボイルして食べられています。食べるならサラダやボイル・揚げ物にすると食べやすいですよ。根っこもタンポポ同様コーヒーを作ることができます。
タンポポと同じキク科ですが、ブタナはタンポポではないので注意してくださいね。
茎の長さは50cm程度まで育つ
ブタナは茎の長さが50cm程度まで育つ植物です。伸びている茎から葉っぱが生えるわけではないので、ヒョロヒョロしている印象を受ける方も多いでしょう。
タンポポとは比べ物にならない程長く成長します。そのため、ブタナとタンポポを間違えることはないでしょう。
タンポポの種類について紹介!在来種と外来種の見分け方までのまとめ
本記事ではタンポポの種類について解説しました。日本に生息するタンポポは在来種と外来種の2種類に分けられます。また、複数存在する外来種のタンポポはまとめてセイヨウタンポポと呼ばれていましたね。
本記事のポイントは以下の通り。
- タンポポはヨーロッパ原産のキク科タンポポ属の植物
- 日本には在来種と外来種の2種類のタンポポが生息している
- 外来種はまとめてセイヨウタンポポと呼ぶ
- 在来種と外来種の見分け方は生息場所と総苞片(そうほうへん)の違い
タンポポは私たちの身近に生息している植物です。ですが、意外と奥が深く私たちが普段目にしているのはほとんどのタンポポは、外来種のセイヨウタンポポです。在来種のタンポポを探して里山などでのんびり春の散歩を楽しんでみてはいかがですか?
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENにはほかにもたくさんの記事を用意しておりますので、ぜひご覧ください。