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手軽に栽培でき、自分で育てたものを料理やアロマなどに活用できるハーブ。場所も取らず、庭のない家でも栽培できるので挑戦されている方も多いでしょう。
少しずつハーブ栽培に慣れてきたという方、どうせならもう少し株を増やして、量産していきたいなと考えたことはありませんか。植物の株を増やすというと、本格的に園芸をやらなくてはいけないのではないかとハードルの高さを感じてしまうかもしれません。しかし、ハーブの場合は簡単な挿し木という方法でハーブを増やしていくことができるのです。
本記事では
- 挿し木で増やせるハーブの種類
- 初心者でも簡単にできるハーブの挿し木のやり方
- ハーブを挿し木にする時に必要なもの
- ハーブを挿し木にする上で適した環境や時期
- ハーブを挿し木で増やす上での注意事項
について詳しく解説していきます。
ハーブの挿し木を行うのに特別な道具は必要ありません。
ハーブを増やしてみたいという方、ハーブの挿し木に挑戦してみたいという方は、ぜひ本記事を読んで参考にしてみて下さい。
ハーブを挿し木で増やしてみよう!
ハーブは挿し木で株を増やしていくことができます。挿し木の詳しいやり方について解説する前に、挿し木とは何かということを今一度確認しておきましょう。
挿し木とは、枝や茎の先端を切り取り、土や水に挿して根を出す増やし方
挿し木は、ハーブに限らず様々な植物の株を増やす方法としてもっともよく知られた方法になります。元気で丈夫な親株の枝や葉、茎の先端を切り取り、それを清潔な土や水に挿して発根させるやり方が挿し木(もしくは挿し芽)です。特別な技術も、特別な道具も必要ないので、初心者の方でも無理なく行うことができます。
ちなみに、他に株を増やす方法として種まき、株分け、取り木などがあります。種まきも良く知られた方法ですが、しっかり発根し成長していくまでに時間がかかる上に成功率も低いというメリットがあります。いずれも上級者向けの方法なので、初心者の方はまずは挿し木で慣らしてみましょう。
ハーブを増やす方法は、種まきや株分けもあるが挿し木が最も簡単
先にも述べたようにハーブの株を増やす方法は挿し木の方法以外にも種まきや株分けといったものがあります。しかし、種まきは発根までに時間がかかり、成功率も低いので初心者にとっては難しい方法になります。株分けは大きな株を持つハーブに行う方法なので、全ての植物に適応できる方法ではありません。
より簡単に、より的確にハーブを増やすのであれば、まずは挿し木に挑戦することをおすすめします。
ハーブを挿し木する方法やおすすめ品種の挿し木について紹介
本記事ではハーブを挿し木する詳しい方法や注意点について解説していきます。また、挿し木に特に向いているとされる有名なハーブについても紹介しているのでぜひ参考にしてみて下さい。
ハーブを挿し木する準備をしよう
ここからはハーブを挿し木にするやり方について解説していきます。まずは、挿し木をする前準備について説明します。
ハーブを挿し木する時期は20度前後が目安
ハーブを挿し木にする時は、ハーブがよく発根しそうな時期を狙うのがポイントです。つまり、寒すぎる季節や暑すぎる季節に行うのは避けなくてはいけません。
湿気が少ないことも重要
「梅雨は挿し木のシーズン」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。確かに多くの植物の挿し木シーズンは梅雨期頃に被ることが多いです。しかし、全ての種類にこれが当てはまるわけではなく、特にハーブはこれに当てはまらないものの方が多いです。
挿し木にした後は水切れが起きないようにしなくてはならないなど、乾燥させないようにしなくてはいけないため、湿度の高い梅雨期は挿し木に適していると判断されがちです。しかし、湿気が多すぎて土にカビが発生してしまっても挿し木は上手くいきません。初めて挿し木に挑戦するという方は、湿気の多い梅雨期は特に避けた方が良いでしょう。挿し木はとにかくカビと雑菌に弱いので、できるだけ清潔な環境で育ててあげるようにしましょう。
日本の場合初夏か秋ごろが適期
挿し木に適した地熱は16℃から25℃ぐらいといわれており、ちょうど秋ごろ(初夏から秋)が最適だと考えられています。しかし、全てのハーブがこれに当てはまるわけではありません。発根しやすい温度ももちろん大事ですが、各ハーブの生育サイクルを考慮した上で挿し木にする時期を決めるようにして下さい。というのも、開花の前後や種子をつけようとしている時期に挿し木にしても栄養が回らず発根に至らないことがあったり、挿し木にしたのは良いものの発根する前に花が咲いてしまったものは発根できずに終わってしまうことがあるからです。
開花がすべて終わり、一旦落ち着いた時に挿し木にするのが発根の成功確率を上げるポイントになります。そのタイミングで温度が20℃前後の日があったら、挿し木にするチャンスです。挿し木を考えている方はぜひトライしてみましょう。
ハーブの挿し木に必要なもの
ハーブの挿し木をするのに必要なものは以下の通りです。
鉢や育苗ポット
挿し木にしたハーブを育てる鉢や育苗ポットは清潔なものを用意しましょう。沢山挿し木を作る予定ならば大きな平トレーの育苗ポットがおすすめです。鉢を用いるのであれば、カビが発生しにくい素焼きのものを用いると良いでしょう。ポットの大きさは小さめで大丈夫です。発根し側芽が出てきた挿し木は植え替えを行うので、挿し木用のポットで株を大きくすることはありません。
培養土
ハーブの挿し木を育てていく土は、肥料が含まれない清潔な土を選ぶようにしましょう。赤玉土(小粒)や鹿沼土、あるいはパーライト、バーミキュライトの無菌の用土を用意し、空気を含めるように少し耕しておくと良いです。空気がない土を用いると根が酸欠状態を起こしてうまく生育しないので、空気を混ぜ、フカフカにしておきましょう。
赤玉土などが無いという方は市販の挿し木用の培養土を用いても問題ありません。
容器(水栽培の場合)
水栽培用の容器は一輪挿し用のガラスのものがおすすめです。大きすぎると挿し木のバランスが取れず、葉が水について水を汚す原因、腐敗の原因になってしまうので気を付けましょう。プラスチック製のものも使えますが、いずれも綺麗に洗ったものを使うようにして下さい。また、水替えのたびに容器も綺麗に洗うようにして清潔さを保つようにしましょう。
ハーブの挿し穂
挿し木のためのハーブを切り出しましょう。10cmほどの挿し穂の先端を切り、頂芽をとめます。茎は斜めにカットして下葉は取り除きます。この時上葉は4枚ほど残し、光合成ができるようにしておくのがポイントです。
下葉を多く残しておくと、光合成が盛んになり過ぎ、エネルギーが全て光合成の方に回ってしまいます。そうすると、本来発根するであろう挿し木は発根する力が弱まり定着しなくなってしまいます。これは挿し木失敗になってしまうので注意しましょう。また、後述の水栽培にトライするのであれば、下葉はしっかりとっておいた方が良いでしょう。水に葉が付いてしまうと葉が腐る原因になり、更には挿し木の糧となる水が汚される原因になるのです。水が汚れてしまうと挿し木がきちんと育たなくなってしまうので、少々もったいなく感じるかもしれませんが、思い切って下葉はカットしましょう。
ハーブの挿し木のやり方:土に挿す方法
ハーブの挿し木をする前準備について確認したところで、実際にハーブの挿し木を土に挿す方法について解説していきます。
ハーブを挿し床に挿す
先述の準備のところで説明したように、まずハーブの挿し穂を作ります。そしてハーブの挿し穂ができたらすぐ、1時間ぐらい吸水させます。
茎がやわらかいハーブはあらかじめ挿し床に穴をあけ挿しこむ
茎が柔らかいハーブをそのまま土に挿しても茎が傷むだけです。茎を傷ませないためにも、先に挿し床に穴をあけ、そこにハーブを優しく挿しこむようにします。この時、挿し穂の2節が埋まるように用土に挿しましょう。あまり挿したところが浅いとバランスが取れずに倒れてしまうことがあります。もし2節分用土に挿してもバランスが悪いようであれば、もう少し挿し木を土に挿しこんで大丈夫です。
挿し木したポットは数日明るい日陰で保管
挿し木をしたポットは風の当たらない半日陰で1、2か月ほど管理しながら様子を見ます。この時水切れにはよく注意しましょう。挿し木にしてから大体10日から15日ほどで発根します。もし側芽が出たもがあったら植え替えしてあげましょう。
ハーブの挿し木のやり方:水栽培
ハーブの挿し木の方法は土に挿す方法以外にも水に挿す方法(水栽培)があります。ここでは水栽培について説明していきます。
ハーブの挿し木の水栽培は容器に水を張って挿し穂を挿すだけ
ハーブの挿し木の水栽培は、土を水に替えるだけのとてもシンプルなものです。
土が必要なく、手間がかからない
土を扱うとなるとどうしても手や場所が汚れてしまいます。しかし、水栽培であれば用いるものは水だけなので、汚れずに簡単に行うことができます。多少こぼれても水なので、拭けば問題ありません。土を用いて家を汚す心配もないので、賃貸の家でも問題なくできる方法です。
観賞用としても楽しめる
水栽培の良さは、実際に発根しているかどうかを目で見て確認できるところにあります。土での栽培はちゃんと発根しているかどうか、しばらく経たないと確認できませんが、水栽培であれば日々の成長を目で見て確認することができます。このように、花が咲かずとも観賞用として十分楽しむことができるというのが水栽培の魅力でもあります。
水栽培のポイントは毎日の水替え
挿し木はとにかくカビや雑菌に弱いので、土の場合でも水の場合でも清潔に保ちながら発根を促してあげる必要があります。水栽培において綺麗な水を保つ方法は一つだけで、それは毎日の水替えに他なりません。パッと見てまだまだ透明感があるからと水替えしないとあっという間に雑菌が繁殖し、せっかく順調に育っていた根も成長しなくなってしまいます。発根し、側芽が出るまでは、多少面倒であっても毎日水を替えて管理してあげましょう。この時、容器も綺麗に洗ってから新しい水を入れるようにして下さい。水だけ替えていても、繁殖した雑菌の一部が容器に付いていたのでは水を替える意味がありません。容器の汚れ落としも忘れずに行いましょう。
挿し木で増やすのにおすすめのハーブ5選
ここまでハーブの挿し木について、挿し木とは何か、挿し木するにあたり必要なものは何か、下準備、方法について詳しく解説してきました。最後に挿し木で株を増やすに向いているハーブを5つご紹介します。挿し木に向いているのはラベンダーやローズマリーなどの低木、シソ科、キク科などのハーブです。逆に挿し木に向いていないのはユリ科やセリ科、イネ科のハーブです。
ローズマリー
ローズマリーの爽やかな香りは、リフレッシュとリラックス効果が高く、ローズマリーはアロマとして、料理のスパイスとして広く活用されるハーブとしてよく知られています。高さ60から120cmの半耐寒性常緑小低木であるローズマリーは、切り戻しをして風通しよく乾燥させ気味に育てると良いです。株を増やすには挿し木がおすすめですが、他にも取り木で株を増やすことができます。
ゼラニウム
ゼラニウムのバラに似た豊かな香りは女性に人気が高く、香水やアロマの香料として、化粧品として活用されています。高さ60から100cmの非耐寒性低木であるゼラニウムは霜を避けるため、日当たりの良い場所か室内で育てるのが良いとされています。株を増やすには挿し木が最も適しています。
タイム
タイムは加熱しても香りがなくならないため、料理において香りづけや臭み消しとして重宝されるハーブです。高さ30cmほどで立ち性の常緑低木であるタイムは、高温多湿に弱いので密集して湿気がこもらないよう、枝葉の刈り取りをしてあげるのが上手に育てるポイントになります。株を増やす方法は挿し木の他、種まきや取り木もあります。
ミント
ミントはメントールによる爽やかな香りが有名で、心身のリフレッシュ効果が期待できるハーブです。ハーブティーやスプレーなどにも広く活用されており、人気も高いです。高さ50から80cm程度の多年草であるミントは、繁殖力旺盛なことでも知られています。挿し木で増やすことももちろん可能ですが、大株に育ってしまったものは、根を切り分けて株の若返りを図りながら株を増やす方法である株分けを用いるのがおすすめです。
セージ
まとめ
ハーブの挿し木について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。挿し木の方法そのものについては難しさを感じなかったのではないでしょうか。本記事を読んで「今すぐにでもできそう」と感じた方は、ぜひ時期をみて挑戦してみて下さい。
ハーブは基本的に丈夫で育てやすい植物です。ハーブの葉や花は活用できる場も沢山あるので、ハーブを量産して、日々の生活にハーブを取り入れてみてはいかがでしょうか。ハーブを量産するためにも今回のハーブの挿し木のポイントを今一度おさらいしておきましょう。
この記事のポイントは
- 挿し木は初心者でも簡単に行うことができる株増やし方法
- 挿し木をする際には清潔な鉢と清潔で無肥料の培養土を用意する
- 挿し木は雑菌やカビの餌食になりやすいので、気を付けて管理する
- 挿し木の親株は健康で丈夫なものを選ぶ
- 挿し木に向いているハーブは低木のもの、シソ科のもの、キク科のもの
- 挿し木をする時期は、花が咲き終わり一段落した頃(秋ごろが多い)
- 挿し木は土で栽培する以外にも水でも栽培できる
- 挿し木にした後は水切れに注意する
でした。
挿し木が成功すればどんどん株を増やしていくことができます。もし失敗してしまうことがあっても諦めずに挑戦してみて下さい。挿し木にする時期を判断するのが少し難しいかもしれませんが、大体秋ごろと考えておいて大丈夫です。ただし地熱温度が25℃を上回らないように、また16℃を下回らないように気を付けましょう。住んでいる地域によっても気温差が出てくるので、各ご家庭の栽培環境に合わせて行うようにして下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。