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タンポポ(蒲公英)はこどもから大人まで多くの方に名前が知られており、実際に世界中の様々な地域で見ることができます。道端や野原などの日当たりの良い場所に生息しているため、見たことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、冬場のタンポポはというと「あまりイメージがない」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、
タンポポの学名はTaraxacumで、黄色い頭花(つぼみ)を持ち、花径は通常2~5センチメートルとなっています。頭花は茎の先に集まっていて、複数の花がつながっているもの特徴です。
葉は根元から放射状に広がっており、典型的には深く切れ込んでいます。葉の形はライオンの葉に似ていることもあり、dandelion(ライオンの歯)という名前も付けられています。
タンポポは地下に太い根を持っており、これによって栄養を摂取できるため、冬の間であっても生存し続けることが可能です。また、花が終わると、綿毛のような種子ができ、これらの綿毛は風に乗って広範囲に散布されます。
タンポポは食用や薬用としても利用されており、葉や根は栄養価が高いため、サプリメントとして使われることもあります。
- タンポポはどのような植物?
- タンポポの冬の様子
- タンポポの冬越しはどのように行うのか
- 冬に咲くタンポポもある!
タンポポはどのような植物?
タンポポ(蒲公英)は多年草の草本植物であり、学名はTaraxacumとなります。タンポポは日本をはじめとして世界中で見ることができ、日当たりの良い場所に生息しているので写真作品や図鑑の素材としても利用されます。 また、タンポポはよく見る植物ではありますが、栄養価が高いため、食用や薬用として利用されることもあります。黄色い花を咲かせる多年草のお花
タンポポは黄色い花を咲かせる多年草のお花です。多年草とは、一度種をまいたり植え付けたりすると、複数の年にわたって生育し続ける草本植物のことを指します。 多年草は地下に根を張って、地上部が一時的に枯れたとしても、地下の根や根茎、塊茎などを通して生き続けます。多年草に対しては一年草などがあり、一年草は一年で生育して種をつけて死滅する植物を指しています。たんぽぽは、花後に綿毛に種子を乗せて繁殖する
たんぽぽは、花後に綿毛に種子を乗せて繁殖します。これらの綿毛は風によって運ばれて、場合によっては遠くまで飛ばされることがあります。 この方法を取ることによって、たんぽぽは広範囲に種子を散布して、新しい場所で成長することができます。たんぽぽの綿毛が飛ぶ光景は日常でもよく目にする光景となっています。 開花時、子房の上とがくはくっついていますが、この冠毛といわれるがくによって、風を利用して種子を飛ばすことがしやすくなります。花の期間は5日程度で短く、開花後14日程度で綿毛になる
花の期間は5日程度で短く、開花後14日程度で綿毛になります。ただ、タンポポの花は数が非常に多いため、一度に多くの花が咲くことがあります。 そのため、タンポポの花の期間は短いものの、全体的な花の見頃は比較的長く感じられるかもしれません。タンポポの花が開花してから綿毛になるまでの期間は通常は14日程度ですが、花が受粉されて、花がしおれ始めてから綿毛が形成されるまで時間がかかるため、1ヵ月以上かかることもあります。タンポポの基本情報
ここからは、タンポポの基本情報について説明していきます。タンポポは日本でもよく見られ、こどもから大人までよく知られている植物で、写真作品の素材や図鑑などで目にしたことがある方も多いと思います。 原産地や開花時期については「あまりよく知らない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。科・属名 | キク科タンポポ属 |
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原産地 | ヨーロッパ |
開花時期 | 3月~7月 |
花の色 | 黄色 |
別名 | 鼓草(つづみぐさ) |
タンポポの花言葉は、「無邪気」、「真実の愛」など
タンポポの花言葉は「無邪気」「真実の愛」などがあります。 まず「無邪気」ですが、たんぽぽの黄色い花は、その鮮やかな色合いや明るさから、子どものような無邪気さや純粋さを表現しています。また、タンポポは野生の植物で自然の中で自由に育つため、その姿が無邪気さを象徴しているという理由もあります。 次に「真実の愛」ですが、タンポポの花はその明るい黄色や清潔な白い綿毛から、純粋さや素直さを象徴すると考えられ、これが真実の愛と結びついたと考えられます。また、タンポポはしばしば困難な環境でも生き抜く強さや生命力と象徴として捉えられることもあり、困難や試練に耐えて永続的であることが求められる「真実の愛」と関連付けられることがあります。タンポポの冬の様子
ここからは、タンポポの冬の様子について説明していきます。タンポポは春によく見る印象の植物かと思いますが「よく考えたら冬にタンポポを見た記憶がない」という方もいらっしゃるかもしれません。 ではタンポポは冬になると枯れてしまうのかというとそのようなことはなく、冬であっても生育しています。ただ、タンポポは耐寒性が限られているため、寒冷な冬の気候に適応することが難しく、冬は休眠状態に入っています。 そのため、冬になると地上部はしおれたようになり目立たなくなりますが、地下の根や根茎は寒さに耐えながら冬を越し、春になると再び成長を始めます。タンポポは冬の間も葉を広げ、枯れない
タンポポは多年生の植物なので、基本的には冬の間も葉を広げ、枯れることはありません。温暖な気候であれば冬の間でも緑の葉を保って成長していきますが、寒冷地域や極端な気候条件下の場合、葉が一部または完全に枯れてしまうこともあります。葉には氷がつき葉はしおれたようになるが、表面の氷が解けると、葉は生き生きとした様子に戻る
葉には氷が付いて葉はしおれたようになりますが、表面の氷が解けると、葉は生き生きとした様子に戻ります。タンポポは寒冷地域を含む幅広い環境に適応でき、凍結した地面や表面の氷に耐えうる力があります。氷が解けると地下の根から水分を吸収することができるため、葉や花が再び活性化されて生長していきます。 冬はあまり見られなかったタンポポが春になると多く見られるようになるのはこのためです。ただ、極端な低温や凍結が続いてしまう場合、タンポポの冬越しは難しくなってしまいます。セイヨウタンポポの葉は‐10℃から‐15℃もの寒さに耐えられる
セイヨウタンポポの葉は-10℃から-15℃もの寒さに耐えられます。そのため、寒冷地域であっても問題なく生き延びることができます。 極端な低温や厳しい冬の条件にさらされた場合、休眠状態に入ってしまうことはありますが、春の温暖化とともに再び成長を始めていきます。 セイヨウタンポポはダンデライオンとも呼ばれ、世界中に生息しています。「たんぽぽ茶」や「タンポポコーヒー」としても使われているので、知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 セイヨウタンポポとサイズや色が似ているものとしてカントウタンポポがありますが、カントウタンポポは頭花を包んでいる外片が一枚一枚重なり合って花を支えていて、セイヨウタンポポは外片がそりかえっているので、サイズが同じであっても区別は比較的容易です。タンポポの冬越しの仕組みや冬の姿を解説
ここからは、タンポポの冬越しの仕組みや冬の姿を解説していきます。 タンポポは冬の間も葉を広げていますが、寒い朝などは葉の表面に氷がついて、葉はしおれたようになっています。ただ、この場合も日が昇って表面の氷が溶けると、再び葉が元の状態に戻ります。 このようにタンポポが冬の中で生きていられるのは、タンポポには体内の凍結を回避する「耐凍性」という性質を持っているからです。この耐凍性を得るためには冬支度が必要となり、タンポポは冬に向けて下記のような冬支度を行います。- 低温馴化(ていおんじゅんか)
- 細胞外凍結
タンポポの冬越しはどのように行うのか
ここからは、タンポポの冬越しはどのように行うのか説明をしていきます。
タンポポが冬越しする姿の名前を「ロゼット」という
タンポポが冬越しをする姿の名前を「ロゼット」といいます。ロゼットは戦略的な形態ともいわれ、冬の寒さや凍結から身を守り、休眠期間を安心して過ごすための姿となります。「ロゼット」とは地面にぴったり葉を広げた状態のこと
「ロゼット」とは地面にぴったり葉を広げた状態のことを指します。この状態は枯れているようにも見えるかもしれませんが、根や地下茎はしっかりと栄養を得て生き残っています。 地面にぴったり葉を広げることで地表の水分や光を吸収しやすくし、生命の維持に努めている状態です。また、ロゼットの形態を取ることで、冬の乾燥からも身を守ることが可能です。「ロゼット」とは、小さなバラという意味
「ロゼット」とは、小さなバラという意味です。短い茎の部分に多数の葉が密集して全体が丸くなっている形状からこの名前が付けられたといわれています。 また、バラの花は外側の花弁ほど大きくなっており、中心に近づくと小さくなりますが、それでも整然と配列して咲いています。この咲き方をロゼット咲きといいます。地面に広がることで冷たい風にあたりにくく、太陽の光を浴びることができる
ロゼットによって地面に広がることで冷たい風にあたりにくく、太陽の光を浴びることができます。このような配置を取ることで、光合成を行うために必要となる光を最大限に取り込むことができ、植物全体の生長や栄養摂取に役立てることができます。ロゼット植物は、タンポポのほかハルジョオンやマツヨイグサがある
ロゼット植物として、タンポポの他にハルジョオンやマツヨイグサがあります。
ハルジョオンは日本語で「春鹿尾菜」と呼ばれており、春に花を咲かせる多年草です。この植物は葉が鹿の尾のような形状をしていることからこの名前が付けられました。
マツヨイグサは日本語で「待宵草」と呼ばれます。マツヨイグサは高さが1~2メートルに達することもあり、直立した茎に沿って葉が互いに対になって生えていきます。この植物は一年生や二年生の草本で、一年目には葉や茎を発達させて、二年目に花を咲かせます。
冬に咲くタンポポもある!
たんぽぽは春に花を咲かすイメージがありますが、冬に咲くタンポポもあります。特にその地域の気候条件が比較的温暖である場合は、花を咲かせているタンポポが比較的多く見られます。 ここからは、冬に咲くタンポポの特徴について説明していきます。日本で有名なセイヨウタンポポの開花時期は春だが冬に咲くこともある
日本で有名なセイヨウタンポポの開花時期は春ですが、冬に咲くこともあります。特に気候が穏やかな地域や温暖な冬が続く場所の場合、一年中花を咲かせることもあります。 ただ、気温が極端に低い寒冷地域の場合は、冬の間に休眠状態に入って花を咲かせることが少なくなる可能性はあります。また、短い日照時間の影響で成長が一時停止することも考えられるでしょう。 そのため、セイヨウタンポポが冬に咲くことも十分にあり得ますが、これは生息する地域や気候条件に大きく左右されます。冬に咲くタンポポは花茎が短い
冬に咲くタンポポの特徴として「花茎が短い」というものがあります。これは冬季の気温が低くて日照時間が短いために植物の成長が抑制されているという理由もありますが、花茎が短いことによってタンポポがメリットを受けている部分もあります。春に咲くタンポポとは違い、地面すれすれの場所で開花する
春に咲くタンポポは比較的花茎が長いですが、冬のタンポポは地面すれすれの場所で開花します。地面すれすれの場所で開花することによって、寒さや風にさらされる時間が短くなり、花が保護される効果があります。 成長が抑制されて花茎が短くなることによって、風で茎が折れてしまったり、茎が凍ってしまうというリスクを軽減することができるということです。花茎の生成に使うエネルギーを節約するためのタンポポなりの省エネ
冬のタンポポが地面すれすれの場所で開花するというのは、花茎の生成に使うエネルギーを節約するためのタンポポなりの省エネともいえます。 花茎の生成に使うエネルギーを根や根茎の強化に使うことで、地下部を寒さや乾燥から守り、次の成長期に備えて栄養を蓄えることができます。こうすることで、春になると新しい葉や芽を早く成長させるための準備をすることができます。 このように、タンポポには冬越しをして春に新しい成長ができるようなメカニズムが備わっているといえます。たんぽぽの冬越しの様子や冬に咲く品種までを紹介!のまとめ
ここまで、タンポポの特徴や冬の様子、冬越しをどのように行うのかということについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか? この記事のポイントは、- タンポポは黄色い花を咲かせる多年草の花で「無邪気」「真実の愛」などの花言葉がある
- タンポポは冬の間も葉を広げて枯れることがない
- タンポポの冬越しは地面に広がることで冷たい風にあたりにくくし、太陽の光を浴びられるようになっている
- 冬に咲くタンポポは花茎が短く、地面すれすれの場所で開花する特徴がある