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植物を育てるうえで重要な肥料。しかし肥料を与えすぎると、植物の生育に悪影響を与えることをご存じでしょうか。肥料を与えすぎて起こすのが、肥料焼け。肥料焼けをした植物は生育が極端に悪くなります。植物栽培の初心者に起こりやすいので、気を付けてたいポイントです。今回は肥料焼けについて紹介します。
そこでこちらの記事では
- 肥料焼けって何
- 肥料焼けの症状と見分け方
- 肥料焼けが起こる原因
- 肥料焼けを防ぐ対策
について解説しています。
この記事を読んでいただければ、植物の肥料焼けついての知識が身に付きます。初心者でも肥料焼けを未然に防いだり対策できたりすることができるようになるでしょう。最後には、肥料焼けが起こりやすい植物も紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
肥料焼けってなに?
植物を育てていると、「肥料焼け」といった言葉を見たり聞いたりしたことはありませんか。ここでは、肥料焼けについて解説します。
肥料の過剰供給により根が傷んだ状態
肥料焼けとは、肥料の過剰供給により根が傷んだ状態です。植物の根と土の中には浸透圧があります。土に肥料を加えるほど浸透圧の差が大きくなり、濃度を均一にするために濃度の薄い液体が濃度の濃い苞へ移動する現象が起こります。キュウリやトマトのように水分が多い野菜に塩を振ると水分が染み出てくる現象と同じ原理です。この原理が土の中でも起こります。つまり、肥料を与えるほど、土の中の塩分濃度が高くなり、根から水分が染み出してしまうため、根が傷むのです。肥料焼けは化学肥料でも有機肥料でも起こります。そのため、「化学肥料は使っておらず有機肥料のみを使っているから安心」といったことはないので注意してください。
肥料焼けの症状が酷いと枯死して枯れる
肥料焼けの症状が酷いと、植物は枯死して枯れるので気を付けてください。根から水分がなくなりスカスカになったり黒ずんだりするため、水分や養分が吸えなくなります。結果的に、植物は枯れるので、肥料焼けを起こさないように育てることが重要です。
肥料焼けは未然に防ぐことが出来る
肥料焼けは未然に防ぐことができます。肥料を与えすぎないように気を付けてください。極端なことを言えば、肥料を与えなければ肥料焼けは起きません。肥料は与える量に気を付けることがポイントです。家庭栽培や農業としても肥料焼けは起こりやすいので、なるべく未然に防いでください。初めて家庭栽培する方はもちろん、新規就農者の農業面でも肥料のやりすぎには注意しましょう。
肥料焼けの症状と見分け方
肥料焼けの症状を知っておかないと、植物が肥料焼けしているのか判断ができません。そのため、肥料分けの症状と見分け方について解説します。
肥料焼けの症状
肥料焼けの症状は以下の3点です。
- 葉っぱの水分が無くなり垂れ下がる
- 葉っぱが白く変色する
- 根が黒く変色する
詳しく解説します。
葉っぱの水分が無くなり垂れ下がる
植物は肥料焼けをすると、葉っぱの水分が無くなり垂れ下がります。根から水分や養分を吸えなくなるので、葉っぱに張りが無くなるためです。植物の葉っぱの水分が無くなって垂れ下がる場合は、根に異常があると考えておくとよいでしょう。そして、症状が現れる前に園芸用肥料をたくさん与えた経験があれば、肥料焼けの可能性が高いです。
葉っぱが白く変色する
肥料焼けをすると葉っぱが白く変色します。根から養分が吸収できず、葉緑素が少なくなっていくためです。葉緑素は植物が活動するためのエネルギーを生み出す大切な組織。その葉緑素が少なくなり、葉が白くなると枯れる恐れが高いので、注意してください。
根が黒く変色する
肥料焼けすると、根が黒く変色します。根そのものが傷むためです。植え替えの際に絵が黒ずんでいる場合は取り除いて、新しい根が出るようにしてください。黒ずんだ根が多い場合は、植え替えの際に肥料は混ぜ込まずに、活力剤を水に薄めて様子を見てあげるとよいでしょう。
肥料焼けかどうかの見分け方
症状が確認できても、その症状が本当に肥料焼けが原因で起きているか、見分けることも重要。なぜなら、病気の症状はさまざまな原因があり、肥料焼けと違う原因の場合は対処法も異なるためです。
見分け方は以下の3点。
- 数日前に多くの肥料を作物に与えていた
- 作付け部分の一部にこの現象が見られる
- 根元部分に直接肥料を与えた
数日前に多くの肥料を作物に与えていた
数日前に多くの肥料を作物に与えていた後に、肥料焼けの症状が起きた場合は、園芸用肥料を大量にやったことが原因と考えてよいです。例えば、濃く作った液肥や粒状の化成肥料を多く与えた後に葉が枝垂れ始めると、肥料焼けと考えます。
作付け部分の一部にこの現象がみられる
花や野菜の作付け部分の一部に、葉が白くなったり水分が無くなって枝垂れたりする現象が見られると肥料焼けだと考えます。特に、野菜には肥料を多く与えることが多いので、与えすぎると肥料焼けが起きやすいです。肥料の与え方に注意してください。
根元部分に直接肥料を与えた
植物の根元部分に直接肥料を与えると肥料焼けしやすいと言われています。植物の根元には、主根と呼ばれる大きな根があるためです。主根から側根、細根と徐々に細い根になっていきます。太い根の近くに強い肥料を置くと、傷みやすいので注意してください。肥料はなるべく株元に置かずに、植物を育てることがポイントです。
なぜ?肥料焼けが起こる原因
「肥料焼けが、なぜ起こるのか」の原因を見ていきましょう。
肥料の過剰供給
肥料焼けは、先述したように「肥料の過剰供給」で発生します。土の中に大量に肥料分を与えるほど、土の中で養分濃度が上がるので注意してください。肥料を与えるほど、植物はよく育つと考えている方も多いかもしれません。しかし、与えすぎは植物の根を傷めるので、与える量やペースは守って植物を育ててください。
土壌が乾燥している
肥料焼けは、鉢植えだけでなく地植えでも起こります。畑やお庭の土壌が乾燥していると肥料焼けの原因となりやすいので気を付けましょう。土壌が乾燥している状態が長く続くと、根にダメージが溜まります。土が乾燥していると、水やりする方がほとんど。水を与えたタイミングで土の中にある肥料から栄養成分が一気に溶けだして、根に吸収されると溜まっていたダメージがさらに悪化して肥料焼けが発生する仕組みです。土が常に湿っている状態も危険ですが、乾燥しすぎにも注意してください。
肥料の種類が適していない
肥料焼けが起きるのは、肥料の種類が適していない可能性があります。植物は成長具合や状態によって必要とする肥料は異なります。例えば、葉を茂らせる窒素は土の中に十分あって足りているのにも関わらず、窒素分の多い肥料を与え続けると肥料焼けを起こしやすいです。どの肥料も同じと思って与え続けると、肥料や怪我原因で枯れるので注意してください。与える肥料は、どんな成分が入っているのか、強いのかを確認しながら適切な量を与えるようにするようにしましょう。窒素の化学式は「N」。土の中で大量の窒素が溜まると、土壌の菌の働きでアンモニアガスが発生する可能性があります。アンモニアは大気汚染につながるので、土壌に窒素を与えすぎないように注意してください。
肥料焼けが起こってしまった場合の回復方法
肥料焼けが起こってしまった場合の回復方法を解説します。肥料焼けが起こっても、そのままにしていると症状は悪化するだけです。適切に対処して健康的に植物を育ててください。
土壌の土を入れ替え肥料を取り除く
畑やお庭の地植えの場合は、土壌の土を入れ替え不良を取り除きましょう。鉢植えの場合は、植え替えの際に新しい土で植えなおせば安心です。しかし、地植えの場合はすべての土を入れ替えるのは難しいでしょう。そのため、土壌の表層土を取り除くようにして、入れ替えるとよいです。また、新しい土を加えて土の中の養分を薄めても効果があるかもしれません。
濃度と乾燥を防ぐために水やりをする
濃度と乾燥を防ぐために水やりをするとよいでしょう。土の乾燥を防ぐことで根が傷みにくく、水やりによって土の中の栄養分が溶けだします。吸収されなかった栄養分は、自然と流れてしまうので、土の中の肥料分は減少することに。土を乾燥させすぎずに、適切に水やりして育てることが重要です。
葉っぱに付着した肥料を洗い流す
肥料焼けを起こしてしまった時の回復方法として「葉っぱに付着した肥料を洗い流す」も効果的です。これは、肥料を葉面散布している方に限ります。植物は、葉からも肥料を吸収することが可能です。その性質を利用して植物に薄めた液肥を霧吹きで吹き方ている方も多いでしょう。もちろん、この肥料の与え方も与えすぎると、肥料焼けの原因に。肥料焼けの症状が見られたら、葉っぱを洗い流すようにシャワーで水をかけてあげるとよいでしょう。
肥料焼けを未然に防ぐ対策
肥料焼けは植物が枯れる原因になるので、基本的には発生させないことがポイントです。肥料焼けを未然に防ぐ対策を見ていきましょう。
肥料の量を減らし施肥回数を増やす
肥料焼けを起こさないためには、肥料の量を減らし施肥回数を増やすことが重要です。一度に与える肥料の量を減らして、こまめに少量の肥料を与えます。植物の根の伸び具合によりますが、たくさんのひりぉ油分を一度に与えても、吸収しきれません。そのため、与える量を選らして、回数を増やすことで、肥料焼けを未然に防ぐことが可能です。
作物や植物に合った肥料の種類を選ぶ
肥料焼けを起こさない対策として、作物や植物に合った肥料の種類を選んでください。例えば、葉野菜であれば、葉を茂らせる窒素肥料を多く必要とします。花や果物であれば、花や果実の養分となるリン酸を必要です。しかし、葉野菜にリン酸を与えすぎると根焼けしやすく、花や果物にチッソを与えすぎると葉ばかり茂り根焼けする可能性が高いので注意してください。育てる植物は、どの肥料を必要としているのか、調べて与えるようにしましょう。
土壌が乾燥しないように定期的に水やりをする
土壌が乾燥しないように定期的に水やりしてください。土の乾燥を防ぐことで根が傷みにくく、水やりによって土の中の栄養分が溶けだします。吸収されなかった栄養分は、自然と流れてしまうので、土の中の肥料分は減少することに。土を乾燥させすぎずに、適切に水やりして育てることが重要です。土壌を乾燥させすぎた状態が続くほど、肥料分は土に残り続けるので気を付けてください。
肥料焼けを起こしやすい植物
肥料焼けについてお話してきましたが、最後に肥料焼けを起こしやすい植物を4種類紹介します。
- 芝生
- キンギョソウ
- クリスマスローズ
- バラ
それぞれ見ていきましょう。
芝生
芝生は肥料焼けしやすい植物です。芝生は公共の場やご自宅で植えられていることが多い植物。肥料焼けした部分は茶色く枯れてしまうので注意してください。芝生を育てる場合は、芝生用の肥料を粒状肥料を撒くことが多いと思います。花や野菜、樹木と違って、植物の状態が確認しにくいので、肥料のあげ過ぎになりやすいです。芝生用の肥料には「与える時期」「与え方」などが記載されているので、必ず確認して用法用量を守ってください。
キンギョソウ
可愛いお花が咲くキンギョソウも肥料焼けしやすいです。肥料を与えすぎると、生育が悪くなり花が咲かなくなったり生育が止まったりするので気を付けてください。肥料の与える時期や量をしっかり守って育ててあげることがポイント。与えすぎた後は、しばらく肥料を与えるのは控えましょう。キンギョソウは花が可愛い植物なのでたくさんの花を咲かせようと、肥料を与えすぎる方が多いので注意してください。
クリスマスローズ
冬の貴婦人とも呼ばれるクリスマスローズ。美しい花を咲かせるクリスマスローズも肥料焼けに注意してください。クリスマスローズに肥料を与えるのは花が咲き始める冬~春。冬に花が咲くとはいえ、気温が低いため生育は緩慢。そんな時期に液肥や固形の肥料を与えすぎると簡単に肥料焼けします。根が傷むと、美しい花が咲かなくなるので気を付けてください。葉色が薄くなる症状出てきて、鑑賞価値を下げます。クリスマスローズは開花中に肥料を与えすぎると、花色が薄くなりやすいので、基本的に開花中は肥料の栄養素を与えずに育てた方が安心です。
バラ
美しい花を咲かせるバラは、肥料を多く必要とする植物です。しかし、バラも肥料の与えすぎは肥料焼けを引き起こすので注意しなければなりません。「肥料をたくさん必要とするのに、肥料焼けするの?」と疑問に思うかもしれませんが、肥料焼けします。なぜなら、肥料の三大元素とも呼ばれる窒素・リン酸・カリが効果を発揮する場所が異なるためです。窒素は葉を茂らせ、リン酸は花や実を付けさせ、カリは根の成長を促します。バラがリン酸を必要としているのに、窒素やカリを与えすぎると肥料焼けを引き起こしやすいです。花が咲く春と秋はリン酸を求めます。花が咲き終わった後は、樹勢を回復させるためにチッソやカリを求めます。これらのタイミングを間違えずに適切な量を与えることがバラを健康的に美しく育てるコツです。バラに肥料焼けの症状が見られたら、新しい土で植え替えたり、土にしっかり水を与えて、与えすぎた栄養素を土から排出するようにしてください。そのあとは、肥料ではなく発根剤を薄めて与えて、新しい根を出させることに集中すると回復しやすいでしょう。
【まとめ】肥料焼けってどんな症状?肥料焼けの原因から回復方法まで解説
ここまで植物の肥料焼けについて解説してきましたがいかがでしょうか。
この記事のポイントは
- 肥料焼けとは「肥料の過剰供給によって根が傷んだ状態」であり、「肥料焼けの状態が酷いと枯死」する可能性が高いですが「未然に防ぐこともできる」症状
- 肥料焼けの症状は「葉っぱの水分が無くなり垂れ下がる」「葉っぱが白くなる」「根が黒くなる」であり、肥料焼けかどうかの見分け方は、「数日前に作物に大量の肥料を与えた」「作付け部分の一部に肥料焼けの症状が見られる」「根元部分に直接肥料を与えた」
- 肥料焼けが起こる原因は「肥料の過剰供給」「土壌が乾燥している」「肥料の種類が適していない」
- 肥料焼けを未然に防ぐ対策は「与える肥料の量を減らし、施肥回数を増やす」「作物や植物に合った肥料の種類を選ぶ」「土壌が乾燥しないように定期的に水やりする」
です。
植物の肥料焼けついて詳しく知ることができたのではないでしょうか。この記事を参考に、肥料を適切に与えて植物を育ててみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENにはほかにもたくさんの記事を用意しておりますので、ぜひご覧ください。