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数多くある球根植物の中でも、秋に植え付けて春から夏にかけて花を咲かせるものを「秋植え球根」と言います。草花の球根はもちろん、野菜の球根もあります。球根植物は一度植え付ければ何年も花を咲かせてくれるイメージがありますが、種類によって開花時期や花後の管理方法が異なります。そのため、それぞれの性質を理解しておくことがより長く花を楽しむために重要なポイントです。実際に秋植えの球根植物を育ててみたいと思っても、特徴やどのような種類があるのかが分からないとうまく花を咲かせられるか不安ですよね。 秋植え球根はどのような特徴を持っていて、おすすめの種類には何があるのでしょうか。 そこでこの記事では、
- 秋植え球根の特徴
- 秋植え球根花のおすすめ10種類をご紹介
- 球根植物の植え付け方法
- インテリアにもなる秋植え球根の水耕栽培
秋植え球根はどのような特徴がある?
まず最初に、秋植え球根にはどのような特徴があるのかを見ていきましょう。生育リサイクルや基礎知識を以下にまとめました。秋植えの球根は、冬を越して春に開花する球根のこと
秋植え球根とは、秋に植え付けて育てる草花や野菜の球根のことです。これらの球根は耐寒性があり、冬を越して翌年の春に花を咲かせる特性があります。花後には、地上の葉を枯らし夏に休眠期を迎える球根が多い
秋植え球根は、基本的に花が終わったら地上部分の花茎は枯れてしまいます。夏には球根のみの状態になって休眠期を迎えることがほとんどです。休眠期が明け冬季に入ると、また穏やかに生長し始め次の開花に向けて準備していきます。品種によっては、植えっぱなしで夏越できる球根もある
多くの球根植物は、地中海沿岸地域や南アフリカなどの少雨の環境が原産地なので、日本の夏の高温多湿は苦手です。休眠中の球根が腐ってしまう場合は掘り上げて、風通しの良い場所で保管します。しかし品種によっては高温多湿に強く、ムスカリやクロッカス、スイセンなどは植えたままで夏越することが可能です。また、原種の球根は基本的に丈夫なので植えっぱなしでも数年は問題なく育ってくれます。秋植え球根の他には、春植え球根や夏植え球根もある
秋植え球根の他に、春に植える「春植え球根」や、夏に植える「夏植え球根」もありそれぞれ特徴が異なります。春植え球根は、耐寒性が弱く冬越しが難しいため暖かくなった春に植え付けます。熱帯地域原産の植物が多く、夏から秋にかけて開花の時期を迎えます。一方で夏植え球根は、耐寒性が強く冬場も元気に生長するので夏に植え付けます。比較的花の少ない秋に開花を楽しむことができます。秋植え球根は園芸店やホームセンター、通販等で販売している
秋植え球根は、一般的な園芸店やホームセンターで購入できます。また通信販売でも多くの種類の球根植物を取り扱っています。実際に手に取って良い状態の球根を選ぶと安心ですが、通信販売であれば探す手間が省けるだけでなく、原種の球根やあまり出回っていないような珍しい種類のものも簡単に見つけることもできるので気になる方は覗いてみてくださいね。秋植え球根花のおすすめ10種類
秋植え球根の特徴が分かったところで、ここからは秋植え球根花のおすすめを10種類ご紹介していきます。それぞれの特徴をまとめてみましたので、好みの種類を探す参考にしてくださいね。①春咲きの王道「チューリップ」
春の花として誰もが知るチューリップは、春咲きの王道とも言える種類になります。花の色や形状が豊富で選ぶ楽しみがあるのも特徴の一つです。秋の10月~12月に植え付けると、1月頃に芽が出て葉が展開していきます。基本的な開花時期は3月下旬~5月上旬になりますが、品種によって多少異なります。②地際からかわいらしい花を咲かせる「クロッカス」
コンパクトな草丈で可愛らしい印象のクロッカスは、鮮やかな紫や黄色の花を咲かせます。省スペースでも密に植えると賑やかな雰囲気になるので、他の花苗と共に寄せ植えなどに取り入れられることが多いです。10月~11月に球根2個分の深さを目安に植え付けます。また、水耕栽培も可能なのでお庭が無いけれど植物を育てたい方にもぴったりです。③3-4年の植えっぱなしも可能「スイセン」
カップ状の花が特徴のスイセンは、球根植物の定番として親しまれている種類になります。花の色は代表的な白や黄色の他にオレンジ色などがあります。開花時期は11月中旬~4月と長く、品種によって異なるため組み合わせて植えることでさらに長く花を楽しむことができます。また耐寒性があり、3~4年植えっぱなしでも問題なく育つので園芸初心者の方にもおすすめです。④青紫色の名脇役「ムスカリ」
小さな花を房状につける花姿が特徴のムスカリは、青紫色の花がとても鮮やかです。ブドウのような見た目が有名ですが、白い花を付ける品種も存在します。草丈が10~30㎝と比較的コンパクトで、様々な花苗と一緒に寄せ植えにすると見栄え良くまとまります。相性の良い花が多く、他の花を引き立てる花壇の名脇役ともいえます。⑤球根の表皮が花色と同じ「ヒヤシンス」
細かい花が密集して咲くヒヤシンスは、その華やかな花姿や甘い香りが人気の種類です。花の色は豊富でピンクや白の他に、赤や黄色、紫などがあります。球根の表皮が花色に近いので、球根を見るだけで花色を判断することができます。ヒヤシンスも水耕栽培が容易で、インテリアとして楽しむことができます。⑥120種類あり、可憐な花が特徴「アネモネ」
ふんわりとした花が可憐な印象のアネモネは、実は120種類も品種があります。花色も多く、中には小さく繊細な花を咲かせるものもあるので、お気に入りの花を見つけて育ててみるのも良いですね。耐寒性が強く丈夫なので、日当りと風通しの良い場所であれば何年も植えっぱなしにしても花を咲かせてくれます。⑦品種が多く花姿や草姿が様々「ユリ」
初夏から夏にかけて花を咲かせるユリは、品種が多く開花時期も多少異なります。花姿や草姿も様々で、草丈は50㎝程度から2mにもなるものもあります。球根は外皮で覆われておらず、乾燥に弱いので入手したらできるだけ早く植え付ける必要があります。ユリは古くから日本で自生しているため、育てやすい球根植物の一つです。⑧花色が豊富で重なった花弁も印象的「ラナンキュラス」
幾重にも重なった花弁が美しいラナンキュラスは、3月~5月に開花します。花の色が、ピンクや赤色の他に白、黄色、オレンジ色、紫色、緑色など非常に多いのが特徴です。耐寒性がそれほど強くないので、日当たりの良い場所に植える必要があります。また、冬に北風が当たる場所は避けるようにしましょう。⑨アイリスの中でも最も華やか「ジャーマンアイリス」
虹の花(レインボーフラワー)とも呼ばれるジャーマンアイリスは、5月~6月に豪華な花を咲かせます。赤やピンク、紫、黄色、白など色とりどりの花の他に、グラデーションを楽しめる品種もありとても華やかです。耐暑性も耐寒性も兼ね備えているので、日当たりと水はけが良い場所であれば元気に育ちます。⑩花数の多さと独特の花模様が特徴「アルストロメリア」
花の数が多くカラフルなアルストロメリアは、5月~7月に花を咲かせます。花弁の一部に縞模様が入っているのが個性的で、花束やフラワーアレンジメントに多く取り入れられています。品種によって多少異なりますが、基本的に多湿の環境を嫌うため水はけを良くして管理します。梅雨時期は雨の当たらない場所で、できるだけ乾燥気味にしておきましょう。球根植物の植え付け方法
ここからは、秋植えの球根植物の植え付け方法を詳しく解説していきます。植え付け後も順調に育てるために、時期や栽培環境で気を付けるべきポイントをおさえておきましょう。植え付け時期:9月下旬ごろから11月頃
秋植え球根の植え付け適期は、気温や地面の温度が下がる9月下旬~11月頃になります。寒冷地では9月中に済ませておくと良いでしょう。秋植え球根は冬の冷気に当たることで栄養を蓄積する性質を持っています。時期を間違えると生育不良を起こし、花が咲かなくなってしまう可能性があるため注意が必要です。栽培環境:日当たりがよく水はけのよい土に
球根植物は全般的に、日当たりの良い温暖な環境を好みます。花壇や地植えでは、夏の直射日光が1日中当たる場所や、冬の時期に北風が当たる場所は避けましょう。鉢植えの場合は、春や秋の成長期は日なたに置きます。夏は風通しの良い日陰で、冬は凍らない場所で管理するのがベストです。 花壇や地植えの場合は、植え付けの1週間ほど前に石灰や堆肥、腐葉土をすき込んでよく耕し水はけの良い土壌を準備します。鉢植えやプランターで育てる場合は、市販の球根用の土が便利です。土を入れる前に鉢の底に石を敷き、排水性を高めましょう。植え方:よく耕した土に適度な間隔を空けて植える
植え付けの際は、生長した時に葉が重なることが無いように適度な間隔を開けて植えることが大切です。植える植物の種類によって異なりますが、例えばチューリップであれば10~15cmほどの間隔が必要です。また、深さは球根の高さの3倍を目安に植えると安定して根をしっかり張ることができます。秋植え球根を水耕栽培してインテリアとして楽しもう
水耕栽培は日々植物の生長の様子を観察できるので、管理がしやすく特に秋植え球根の栽培におすすめです。また、飾り方次第でおしゃれなインテリアとして楽しむこともできます。水耕栽培とは、土を使わずに水だけで育てる栽培方法のこと
水耕栽培では、土を使わずに水と肥料だけで植物を育てます。土耕栽培に比べて雑菌や病気の心配が少なく、天候や季節にもほとんど左右されることのない栽培方法になります。水耕栽培は屋内でできるため、寒い冬に手入れが必要な秋植え球根にぴったり
水耕栽培はお家の中で植物を育てるため、年間通して外での作業が必要ありません。そのため、寒い冬にお手入れをする秋植え球根を育てるのに向いています。また、冬に限らず温度や湿度をコントロールしやすく管理が簡単なのも大きなメリットです。手軽に始められ、容器等工夫次第でお部屋を彩るインテリアに
水耕栽培は土を使わないため衛生的ですし、水を受ける容器と肥料さえあれば手軽に始めることができます。容器はガラス製で口の部分が球根より一回り小さいものがおすすめですが、球根が水に数ミリ浸かるように工夫できればどのような容器でも栽培可能です。お気に入りの容器を使ってお部屋に飾れば、素敵なインテリアに大変身しますよ。水耕栽培向きの秋植え球根
水耕栽培について分かったところで、ここからは秋植え球根の中でも水耕栽培に適している種類をご紹介していきます。ヒヤシンス
ヒヤシンスは、水耕栽培できる球根植物の定番としても知られています。開花の準備を促すため球根を1~2カ月冷蔵庫に保管し、11月~12月を目安に始めましょう。開花すると甘い香りがお部屋いっぱいに広がり、癒しのインテリアになること間違いなしです。ヒヤシンスは温度管理さえしっかりすれば栽培が比較的簡単な種類なので、園芸初心者の方でも気軽に楽しむことができますよ。チューリップ
屋外で育てられている印象の強いチューリップですが、水耕栽培が可能です。チューリップの球根は20℃以上の環境では腐りやすい性質を持っています。そのため水耕栽培を始める時期は、気温が十分下がる10月~11月頃にしましょう。ヒヤシンスなどと比べると多少難易度は高くなりますが、球根の皮を取り除くことでカビ対策し、こまめに水替えをすれば綺麗な花を咲かせてくれるでしょう。クロッカス
クロッカスの水耕栽培は、9月下旬~10月頃に始めるのが適しています。球根が小さいので、口の小さめの容器を準備しましょう。水に浸けすぎるとカビが生えやすいので、根が出る部分が水面すれすれになるように置きます。最初は暗い場所で管理し、根が伸びてきたら日光に当てて生長を促します。クロッカスの水耕栽培は、土で育てるよりも手軽で簡単なのでおすすめです。秋植えの球根でおすすめ10種類!綺麗に咲かせる植え付けまで紹介のまとめ
秋植え球根について詳しく解説してきました。 本記事の内容は、- 秋に植え付けて春に花を咲かせる秋植え球根の植物は、花後の夏には球根のみの状態になり休眠期に入る
- 王道のチューリップや、丈夫な性質のスイセン、寄せ植え向きののムスカリなどが人気
- 9月下旬から11月頃に、日がよく当たる場所を選び水はけの良い土に間隔を開けて植え付けると良い
- 冬に手入れが必要な秋植え球根の栽培には、室内で管理できる水耕栽培が適している
- 球根植物の水耕栽培はどのような容器でも可能なので、工夫次第で好みのインテリアとして楽しむこともできる