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おしゃれな個人宅やガーデン、カフェテリアでよく見かけるオリーブの木。シンボルツリーとしても近年人気が高まっていて、実を絞ってオリーブオイルを取ったり、塩漬けにしたりと収穫の楽しみがあるだけでなく、洋風な葉や幹を楽しむことも出来るんです。
ですが、具体的に品種やどんな特徴があるのか、育て方やお手入れの方法などわからないことも多くありますね。そこでこの記事では
- オリーブはどのような特徴を持つ木?
- オリーブの木はお庭のシンボルツリーにおすすめ
- オリーブの木をシンボルツリーにするデメリットも知ろう
- シンボルツリーにおすすめ種類が豊富なオリーブ
- オリーブをシンボルツリーとして育てよう
について徹底的に解説します。種類別に価格の目安や違いについても説明していますから、この記事を最後まで読めば、シンボルツリーとしてオリーブを育てる際のメリットやデメリットを知ることができるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
オリーブはどのような特徴を持つ木?
まずオリーブの木について、どのような特徴を持っているのか改めて理解を深めましょう。
オリーブは常緑性の中高木で果樹としても知られる
地中海原産のオリーブは、常緑樹の中高木で高さのある果樹としてもよく知られています。銀葉が美しいため、洋風の庭や雰囲気を出すために植木や鉢植えにされることが多いですよ。
オリーブの高さは2mからで10mの高木も
オリーブの魅力はなんといっても、樹形と銀葉にあります。葉の表面が光沢のある緑色で裏面には白く細い毛が密生しており、風できらきらと銀灰色に輝く様子がまた美しいです。樹勢も強く、約2m~10m以上の高さになることも。乾燥に強く、樹勢がとても強く大木になる上、樹齢が非常に長く、地中海沿岸地域では1,000年を超える老木がたくさん実をつけるそうです。
オリーブの実は食用として料理に使われる
スーパーの油コーナーで必ずあるオリーブオイル。誰しも料理に使ったことがあるのではないでしょうか。この身近なオイルは黒く熟した果実を搾油したもので、主に含油率の高い小さい果実から採れています。大きな果実は油分が少ないため塩漬けやピクルスに加工されます。果実といえば、自家不結実性といって二品種以上で混植して初めて実がなるんです。
オリーブの基本情報
オリーブは日光を好むため、日当たりの良い場所を選びましょう。水やりは、鉢植えであれば表面の土が乾いたらたっぷりと、植木であればほとんど雨水のみで十分です。冬の寒さや夏の暑さにもよく耐え、6月には白や黄色の小さくかわいい花をたくさん咲かせます。キンモクセイに似ているので観賞にも向いています。果実は赤から紫、黒へと成熟してから収穫しましょう。
学名 | Olea europaea |
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科名・属名 | モクセイ科・オリーブ属 |
原産国 | 地中海地方、中近東、北アフリカ |
樹高 | 2m以上 |
開花時期 | 6月 |
オリーブの木の購入方法
そんなオリーブの苗木の購入方法は2通りあります。園芸店で実物を見て購入する方法と、通販サイトで購入する方法です。
販売場所
園芸店を訪れると実際に株の様子を見て購入することができますね、ただし樹木ですから移動手段や移動時に株を傷つけてしまうなどのリスクもあります。もし自家用車がある場合やトラックを貸してもらえる場合はぜひ候補に入れましょう。その他にも、ナーセリーが直営している通販サイトなども増えています。価格や日数などかかりますが、ご自分で運ぶ手段がない場合はぜひ利用してみてください。
値段
オリーブの品種やサイズによって値段が変わってきます。購入前によく苗木サイズと品種を確認しておきましょう。値段の平均として、40㎝くらいの室内にも飾れる3号サイズでは6,000円前後、140㎝くらいの大きな10号サイズであれば20,000円~40,000円前後になります。
オリーブの木はお庭のシンボルツリーにおすすめ
オリーブの木がお庭のシンボルツリーにおすすめな理由は多くありますが、主に4点に絞ってご紹介します。
シンボルツリーとは、建物や庭の印象を決めるその場所の象徴となる木のこと
シンボルツリーとは、名前の通り家や庭のシンボルとなる樹木のことです。お庭の中の視線をきゅっと集めるフォーカルポイントとなりますから、記念樹やお気に入りの樹木を選びたいものです。シンボルツリーの役割や他にもあって、外からのプライバシーを守ったり日よけになったりします。
メリット①見た目が美しい
まずおすすめの理由の一つめは、見た目が美しいことです。銀葉と白く大きな幹や枝が軽やかな印象を与えてくれます。成長がゆっくりでこまめに剪定する必要もありませんから、自然な樹形と季節折々の白い花が咲く様子や実が赤から黒く熟していく過程を見て楽しめるでしょう。
メリット②育てやすい
シンボルツリーにおすすめの理由は、管理が楽で育てやすい樹木であることです。オリーブの木は常緑樹のため落ち葉のそうじ、まめな剪定などの必要がないローメンテナンスで有名です。風通しと日当たりが良ければ、乾燥にも強く丈夫で病害虫にもかかりにくいため初心者の方にも育てやすいでしょう。
メリット③果実を楽しめる
果実を楽しめるという点も、おすすめの理由のひとつ。果実を収穫するなら品種の違うオリーブを混植する必要があります。これは自家受粉では実がなりにくいためです。未成熟の実を収穫してピクルスにしたり、完熟してから収穫して自宅で搾油したりと充実したライフスタイルにもつながります。
メリット④剪定した枝等で装飾も楽しめる
最後のおすすめな理由として挙げられるのが、リースやスワッグなどおしゃれな装飾にして楽しめるという点です。まめな剪定が不要とはいえ、風通しをよくするための間引き管理は必要です。その際に出た枝を束ねてインテリアにしたり、季節ものとして親しい方へ手渡したりと幅広い楽しみ方が可能です。簡単ですからぜひ挑戦してみてください。
オリーブの木をシンボルツリーにするデメリットも知ろう
オリーブの木をシンボルツリーにするメリットをいくつかご紹介しましたが、実際に植えてみてわかったデメリットもあります。こちらもおおまかに4点ほどあるので、ぜひ確認しましょう。
デメリット①病害虫がやや発生しやすいこと
まずひとつ目は、病害虫がやや発生しやすいことです。オリーブアナアキゾウムシやハマキムシなどで枝や幹、葉の食害がみられます。スズメガの幼虫は、暖かくなる6月頃から10月まで発生して、葉をいっせいに食い散らかしてしまいます。糸状菌により感染する炭疽病や枝枯病などがあり、果実が歪になったり枝の先端から枯れこんでいったりします。いずれも梅雨の時期や枝が密集しているなど風通しが悪い環境で起きやすいため、薬剤散布や間引き剪定を行いましょう。
デメリット②オリーブの実を狙って鳥がやってくる
実がなる樹木は例外なくいえることですが、毒性のない果実を狙って鳥がやってくるというお声をよく伺います。完熟した果実を食べに、カラスやヒヨドリ、スズメなどたくさんの野鳥がやってきます。そうすると鳴き声の騒音やフンの被害など自分の家だけではなく、近隣のお住まいにも悪影響が出てしまいますから、混植して実がなったらすぐに実を収穫するようにしましょう。
デメリット③成長が早く剪定が大変
3つ目のデメリットに成長速度が想像以上に早くて剪定が大変ということも挙げられます。果樹の中では成長速度のゆっくりなオリーブの木ですが、シンボルツリーにと地植えしたら1年で急激に生長することも少なくありません。こまめな剪定が必要ない分行う時は大掛かりになってしまうことや、枝が伸びすぎて通路や住宅の邪魔になってしまったということもあります。ちょうどいいタイミングで剪定ができるかどうかを植える前におさらいしておくといいですよ。
デメリット④根が浅く、強風で倒木する恐れがある
実はオリーブの木は根が広く浅く張るタイプで、特に若木や細い株は強風で倒木する恐れがあります。地植えにすれば幹が太くなると同時に根も生長しますので、希望の高さまで地植えで育てて鉢に移す方法もおすすめです。他にも支柱で支えるか、強風にあおられないよう主幹を低く剪定しておくなど対応しましょう。
シンボルツリーにおすすめ種類が豊富なオリーブ
シンボルツリーにおすすめな種類が豊富なオリーブの木。ここでは特に育てやすく、初心者にも最適な品種をご紹介します。
庭木としての人気が高い「シプレッシーノ」
オリーブ・シプレッシーノはイタリアのシチリア島で多く栽培されている品種です。名前のシプレッシーノは、糸杉を意味するイタリア語の「cipresso(サイプレス)」が語源といわれています。日本でも庭木として人気が高く、銀葉が美しくまっすぐ幹が伸びる樹木のためシンボルツリーにおすすめです。乾燥にも強く、果実はピクルスに向いています。冬の2月~3月頃に枯れた枝や不要枝をまめに剪定していれば丈夫に育つでしょう。
日本へ最初にやってきた品種「ミッション」
日本へ最初にやってきたオリーブ・ミッションという品種は、寒さや樹勢が強く栽培が簡単な品種です。ミッションは他の品種と同様直立性ですらりとしているため、狭い場所やベランダでのコンテナ栽培にもおすすめ。鑑賞や贈り物としても人気があります。葉裏が特に白いため、風で揺れる様子が非常に美しいですよ。一本でも果実がなりますが、やはり果実を収穫するなら多品種を近くに植えて栽培しましょう。
病害虫に比較的強く成長速度が速い「ルッカ」
オリーブの品種の中でも病害虫に比較的強く成長速度が速いのが、ルッカという品種です。ルッカは、樹勢が旺盛で長年放置汁と横に開いたような伸び方をしますから、2年に1度は剪定して樹形を整えてください。また葉は卵型に近くかわいらしい形状をしています。果実は含油率25%。小ぶりでたくさん実る豊産性で果実を楽しむなら最適な品種です。マンザニロという品種と近くに植えれば搾油できるくらい収穫できる可能性があります。
病害虫にも暑さや寒さにも強い「レッチーノ」
病害虫や耐寒性、耐暑性の強い品種をお探しならオリーブ・レッチーノがおすすめです。イタリア、トスカーナ地方原産のオリーブで濃い厚さのある緑の葉と直立性の樹形が美しく、鑑賞用に鉢植えにして室内栽培する方も多いです。レッチーノの果実は紫色がとても印象的で、フルーツのような香りを放つオイルが取れ、ピクルスにしてもおいしいため初心者の方も安心です。
花粉量が多く花気が長い「ネバディロ・ブランコ」
もし果実をたくさん収穫したい場合、2本目のオリーブを選ぶことになります。開花期が長く花粉量の多いネバディロ・ブランコをおすすめします。紫色が多いオリーブの実ですが、ネバディロ・ブランコは白い果実をつけて印象が違うのも魅力です。観賞価値も高く、独特のフルーティな風味とスパイシーな後味が特徴。枝がよく伸びますから剪定した枝をリースに仕立ててみるのもいいでしょう。
新品種、実がつきにくく周囲を汚しにくい「ひなかぜ」
日本の気候でも栽培しやすいよう品種改良されたのがひなかぜというオリーブ品種です。ルッカやシプレッシーノと比べても、生長にかかる時間が短く、15㎝くらいの幼木が半年で1mくらいまで大きくなります。短時間で生長させたい場合はぜひ選んでみてください。ひなかぜの厚さのある葉は、表と裏で異なる緑のコントラストが美しく、鑑賞用や庭木のシンボルツリーとしておすすめです。
オリーブをシンボルツリーとして育てよう
お気に入りの品種は見つかりましたか? それではシンボルツリーとして育てる際の条件や植え方、手入れについてまとめました。
植え付ける場所の条件
シンボルツリーを植え付ける場所は特に大切なポイントです。オリーブは乾燥を好み、日当たりのよい場所、風通しが良い場所を選んで植え付けてください。
水はけがよい
オリーブは水はけのよい乾燥した土壌を好みます。常に加湿された環境だと株が弱ってしまいます。そのため地植えの場合水やりはほとんどいりません。鉢植えで栽培する場合は、市販の水はけのよい中性の土か赤玉土小粒7~8、腐葉土3~2の配合土を用いて栽培するといいでしょう。鉢植えでの水やりの目安は、加湿になり過ぎないよう表面の土が乾いてから鉢底から水が流れ出るくらい与えてください。
日当たりが良い
日当たりを大変好むオリーブは、一日を通してよく日が当たる場所を選んでください。屋外ではひなた、室内では日光がよく当たる明るい窓際がおすすめです。日当たりが悪いと、枝が細くなったり花がつきにくくなったり、害虫の被害に合いやすくなります。屋外で冬越しする場合は、霜や雪になるべく当たらないよう工夫してみましょう。
風通しが良い
風通しがよいのも大切なポイントです。オリーブは枝がよく伸びるため密集して風通しが悪くなりがち。そのままにしておくと、ゾウムシやハマキムシに全体を穴だらけにされてしまう危険があります。しかし剪定し過ぎると花芽がつきませんから、冬の剪定時期に不要な枝や間引き剪定して、常に風通しを良くしておいてください。
オリーブの植え方
シンボルツリーの植え付けに適した場所が決まったら、次は植え方を確認しましょう。オリーブは植え方によって大きさを変えられますから、どんどん大きくしたいのなら地植えで栽培してみましょう。もし大きさをあまり変えずに育てたいのなら鉢替えしながら管理しましょう。
地植え
地植えの植え方は次の通りです。
- 苗木の根は軽くほぐしておきましょう
- 根がすっぽり入るくらいの穴を掘り、苗木を穴へ植え付けます
- 周りの地面より株元を少し高めに土を寄せておきます
- 風で倒れないよう支柱を立てます
- たっぷりと水を与えたら完了です
鉢植え
鉢植えの植え方は次の通りです。鉢替えは定期的にしておきましょう。
- 苗木の根を軽くほぐしておきます
- 鉢底にネットを敷き、鉢底石を2~3㎝ほど敷き詰めます
- オリーブ用の土で植えていきます
- 鉢のフチから数センチくらいのウォータースペースを作って、用土を入れます
- 植え付け後は鉢底から水が出るくらいたっぷりと水やりします
- 根が落ち着くまで半日かげで管理します
地植えの場合の手入れ
地植えの場合の手入れは、定期的な剪定と健康状態の確認を主に注意して管理してください。
定期的な剪定
オリーブの剪定は2月から3月が適期です。剪定する前につくりたい樹形をイメージしてから切るといいでしょう。
- 伸びすぎた枝や混み入った枝を間引き剪定します
- 理想の樹形になるように強剪定で切り戻します
- 樹形を乱す枝を浅く切り戻す弱剪定します
平均気温が15℃くらいになれば花芽をつけ始め、初夏ごろには花を咲かせますよ。
病害虫等の健康状態の確認
オリーブにつきやすい病害虫など健康状態をまめに確認して、早めに対処しましょう。
ゾウムシは茎や枝を食べるので食べかすが落ちているから、簡単に見つけられるでしょう。ハマキムシであれば黒く小さなフンや葉が枯れて丸まっている場合もあるため、新芽についていないか探してみましょう。見つけ次第捕殺したり、薬剤散布したりしてください。
梅雨の時期は病気予防にマルチや剪定で湿気対策をしましょう。病気になった部位は見つけたらすぐに切り落とします。傷口から病気感染しないようハサミを良く消毒し、切り口には薬剤を塗っておくといいですよ。
鉢植えの場合の手入れ
鉢植えの場合の手入れは、定期的な水やりや剪定、鉢が小さくなった時の植え替えに関して注意しましょう。
定期的な水やり
鉢植えは定期的な水やりが必要です。春や秋の時期は、土が白くなってくるまで乾燥していたらたっぷりと水を与えます。夏の時期は、毎日水をあげます。ただし土が湿っていたら無理に水をあげる必要はありません。冬は休眠期にあたるので、ほとんど水を与えなくて十分です。
剪定
鉢植えのオリーブもよく枝が伸びますから、年に一度の頻度で剪定しましょう。時期としては、成長期を迎える前の3月から4月、または実がなり終わった10月から11月辺りがおすすめです。間引き剪定を主に、伸びすぎていたら強剪定で樹形を整え、樹形が乱れているだけなら不要な枝を剪定してください。
鉢が小さくなった時の植え替え
オリーブが健康に大きくなってきたら、一回り大きい鉢に植え替えしましょう。植え替えの適期は3月~4月です。6月~9月までは成長期にあたるため植え替えしないでください。
手順は次の通りです。
- 鉢から根っこを傷つけないよう取り外す
- 根っこを軽くほぐして、伸びすぎている根っこや黒くなった根っこはハサミで取り除く
- 新しい鉢に土に石灰を混ぜ、株を植え付ける
- 植えた後オリーブの下の葉っぱを剪定する
オリーブはシンボルツリー に最適!おすすめの種類やお手入れ方法まで紹介のまとめ
最後まで読み進めていかがでしたでしょうか。ガーデンや自宅のシンボルツリーにオリーブを植えれば、おしゃれな雰囲気を出せるだけでなく花や果実を収穫するなど楽しみ方が広がりますね。
この記事のポイントは
- 地中海原産のオリーブは、耐寒性のある常緑樹で果樹としても知られている
- シンボルツリーとしてメリットは、見た目がよく、育てやすい、果実も楽しめる
- デメリットは、病害虫が発生しやすかったり剪定が大変だったりする
- 鑑賞用に向いている品種は、シプレッシーノやミッション、ルッカなど
- 果実を楽しむために向いている品種は、レッチーノ、ネバディロ・ブランコなど
以上のことがわかりました。植え付けや管理の方法などを把握しておけば、シンボルツリーとしてお庭や自宅を明るく照らしてくれるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。