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鮮やかな色の花が他の植物にはないあでやかさを演出してくれるトキワマンサクは、丈夫で乾燥に強く生垣に好まれる植物です。常緑の葉は目隠しとして最適で、春の季節に花を咲かせる特徴も自然の変化を感じさせてくれる深みのあるトキワマンサク。丈夫で育てやすい特徴がありますが、基本的な育て方や生垣としての植え方を覚えておかないと上手に育てられない可能性もあるのです。
そこでこの記事では、
- トキワマンサクの特徴
- トキワマンサクの育て方
- トキワマンサクを生垣に仕立てるための植え方
- 生垣のトキワマンサクの剪定方法をご紹介
- トキワマンサクを生垣で育てるためのQ&A
以上のポイントについてご紹介していきます。
個性的な生垣を作りたいと考えている方やトキワマンサクについて詳しく知りたいという方は、この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。ポイントを押さえた育て方をすれば、萌芽力の高いトキワマンサクはどんどんと成長して枝葉を伸ばしてくれるはずです。記事の後半では、トキワマンサクの生垣に関する質問についても回答していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
そもそもトキワマンサクって何?
まずは、トキワマンサクがどのような植物なのかについてご紹介します。生垣として仕立てられたトキワマンサクを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。トキワマンサクには、生垣として好まれるいくつかのポイントがあるのです。
マンサク科トキワマンサク属の常緑樹
トキワマンサクは、日本や中国が原産のマンサク科トキワマンサク属の常緑樹です。「トキワ」という単語は、永遠に続くものという意味を持つため常緑の植物によくつけられてきました。マンサク科にはいくつかの品種がありますが、トキワマンサクの冬でも緑色の葉をつけたままの特徴が生け垣として愛されてきた理由のひとつともいえるでしょう。「マンサク」という名を持つ植物と同じ花を咲かせるため、トキワマンサクとつけられましたが厳密にはマンサクは落葉樹なのでトキワマンサクとは別の植物と言えるでしょう。
萌芽力が強く剪定しやすいため生垣として人気がある
トキワマンサクは萌芽力が強いため、強く剪定してもどんどんと新しい芽を伸ばしてくれます。そのため、アレンジがしやすく生垣として人気がある植物なのです。生垣の他にも、シンボルツリーとしてや個性的な植木鉢を仕立てるための植栽としても好まれています。植栽用途が広い特徴をもつトキワマンサクは、低木から中高木として様々なサイズにアレンジすることも可能です。自然のままにトキワマンサクを育てていると、4m~5mの高さに成長することもあります。
4~5月の開花時期に黄白花を咲かせる
トキワマンサクの開花時期は4月~5月の春の季節です。基本的には黄白色の花を咲かせるトキワマンサクが主流となっていて、細い花弁が特徴的な形をしています。花をたくさんつける生け垣は女性や若い方にも好まれているのに加えて、常緑の葉が目隠しとしての機能も果たしてくれるのです。
赤い花を咲かす変種のベニバナトキワマンサクもある
ご紹介した黄白色の花を咲かせるトキワマンサクとは別に、紅花を咲かす変種のベニバナトキワマンサク(紅花トキワマンサク)も専門店や園芸店で販売されています。ベニバナトキワマンサクは、葉も少し赤味がかった赤葉なのでカラーリーフとしても人気の植物です。
苗木の価格は1000~3000円ほど
トキワマンサクの苗木の価格は1000円~3000円とバラエティに富んでいます。専門店や園芸店であれば良い品質の苗木を低価格で購入することもできるはずです。また、最近ではネット通販でもトキワマンサクを安く販売しているお店もありますので、チェックしてみてくださいね。ちなみにトキワマンサクは、発芽力が高くないので挿し木で増やすのが一般的です。種を採取して発芽を待つよりも効率的ですので、気に入った苗木を購入して増やしたい時は挿し木の方法を選びましょう。
トキワマンサクの育て方
次に、トキワマンサクの育て方についてご紹介します。生育力が旺盛で、どんどんと新しい芽や枝を伸ばすトキワマンサクですが、基本的な育て方のポイントを押さえておかないと枯れてしまうこともありますので注意しましょう。
水やり
トキワマンサクは乾燥に強い植物ですので、水やりの頻度も高くありません。鉢植えの場合には定期的な水やりが欠かせませんが、庭植えの場合には降雨だけでほとんど水やりを必要としないのです。ただし、夏場の暑い時期には乾燥状態が続きすぎないように注意してあげましょう。
鉢植えの場合:土の表面が乾燥したらたっぷり水やりをする
鉢植えでトキワマンサクを育てている場合には、土が乾きやすいので表面が乾燥したらたっぷりと水を与えるように心がけましょう。特に乾きやすい春から秋の時期には、定期的に土の状態を確認しながら水やりを行うのがポイントです。水の温度が上がらないように、夏場は涼しい時間帯を選んで水やりを行います。
庭植えの場合:植え付け直後と極端に乾燥した場合のみ水やりをする
庭植えの場合には頻繁な水やりを必要とはしませんが、生垣に仕立てて道路に面している場合はアスファルトの反射で高温になり、乾燥しやすくなってしまいます。植え付け直後の水やりを行うとともに、夏場などの乾燥する時期には涼しい午前中や夕方の時間帯に水やりをしてあげるようにしましょう。
肥料
丈夫で育てやすいトキワマンサクですが、肥料は必要なのでしょうか。この項目では、トキワマンサクの肥料について詳しく解説していきます。
鉢植えの場合:3月の開花前に緩効性肥料を与える
鉢植えの場合には、3月の開花前に緩効性肥料を与えましょう。ゆっくりと効果が表れる緩効性肥料を与えることによって、開花時期にかけて効果が持続するので花もちや花付きが良くなります。
地植えの場合:2月の開花前に寒肥(有機肥料)を与える
地植えでトキワマンサクを育てている場合には、2月の開花前に寒肥を与えましょう。有機肥料は緩効性の化学肥料よりもさらにゆっくりと効果が表れるとともに、土壌も改善してくれますので庭植えには特におすすめです。トキワマンサクはたくさんの肥料を与えてしまうと、葉ばかり茂って花付きが悪くなりますので特に庭植えの場合には控えめの施肥を心がけましょう。
用土
トキワマンサクは排水性と保水性の高い用土を好みます。市販の培養土を用いるのがおすすめですが、庭植えにする場合には、赤玉土を混ぜ込んで排水性を良くしたり腐葉土を入れて保水性を上げるなどの工夫が必要です。
水はけと水持ちの良い土を好む
トキワマンサクは、水はけと水持ちの良い土を好みますので定期的に排水ができ保水力もある用土を選ぶようにしましょう。市販の培養土や樹木用土であれば、水はけと水持ちが良いように配合されていますので、何を購入するか迷った場合はこちらがおすすめです。
赤玉土6:腐葉土4の配合土でも良い
自分で用土を配合する場合には、赤玉土6:腐葉土4を目安として作成しましょう。赤玉土を多めにすることによって、排水性が良くなりますので根腐れを防ぐことができるのです。また、腐葉土は有機質に富んでいますので保水性とともに土壌の微生物を活性化してくれる効果が期待できます。
トキワマンサクの植え方
続きまして、トキワマンサクの植え方についてご紹介します。日当たりの良い場所を好むトキワマンサクは、寒さにも弱い側面もありますので特に庭植えの場合には植え付ける場所には気を付けてあげるようにしましょう。
植え付け
トキワマンサクの苗木はポット苗の状態で販売されていることが多いのですが、乾きやすいので植え付けをするまでは根が乾燥で傷まないように水やりを行って保水性を維持してあげましょう。
植え付け時期:春の4~5月、秋の9~10月
トキワマンサクの植え付け時期は、春の4月~5月か秋の9月~10月がおすすめです。関東の以北では寒さが厳しく植え付けは鉢植えがおすすめですが、植え付け時期も暖かくなる春が良いでしょう。暖かい地方では秋の時期に植え付けることも可能です。春と秋は生育期にあたりますので、根の伸長も良くすぐに根付いてくれるはずですよ。
生垣として植える場合は30~50㎝ほど間隔を開けて植える
生垣としてトキワマンサクを植え付ける場合には、それぞれの苗の間隔を30㎝~50mほど開けて植え付けるようにしましょう。最初は苗木と苗木の間がスカスカに見えても成長とともにしっかりと茂り目隠しの効果も発揮してくれますので、安心してくださいね。広いスペースに植える場合には50㎝ほどの間隔を目安に、狭ければ30㎝ほどを目安としましょう。
冬越し出来るよう日の当たる場所に植える
トキワマンサクを生垣として庭植えにする場合には、冬越しができるように日の当たる場所に植え付けを行います。地面が凍ってしまうような場所では弱ってしまう危険性がありますので、日当たりの良さはしっかりと考慮して植え付けると良いですね。日当たりが良くても、夏場に西日が当たり続ける環境は良くありませんので南側か東側がおすすめです。
植え替え
次にトキワマンサクの植え替えについて解説していきましょう。常緑樹としてしっかりとした特徴をもつトキワマンサクは、生育力が旺盛なので根も詰まりやすく鉢植えの場合には定期的に植え替えをしてあげる必要があります。
鉢植えの場合:数年に一度一回り大きな鉢植えに植え替える
トキワマンサクを鉢植えで育てている時は、数年に一度の目安で一回りほど大きめの鉢に植え替えるようにしましょう。植え替える時期は、植え付けと同じように春か秋の時期を選びます。一回り大きめの鉢に植え替えることによって、根の新陳代謝を促しさらに伸長してくれるので葉の茂りも期待できるのです。
庭植えの場合:植え替えの必要はない
生垣などのように庭植えにした場合には、植え替えの必要はありません。ただし、土がやせてきてしまったり流出して少なくなってしまった場合などは肥料を与えた後の春の時期に培養土を移植して肥やしておいてあげると植物の成長が良くなりますよ。
トキワマンサクの剪定方法
トキワマンサクの基本的な育て方がわかったところで、剪定方法についてご紹介します。葉や芽の成長が早いトキワマンサクは、数本を生け垣として植え付けている場合には定期的な剪定が欠かせないことを覚えておきましょう。
剪定適時:開花後の4~5月
トキワマンサクの剪定適期は開花時期の後の4月~5月となります。このタイミングで剪定を行うことによって、枯れた花を落とすこともできますしその後の萌芽力も高めることができるのです。また、トキワマンサクは6月下旬になると次の時期の花芽を形成します。この時期以降に剪定を行ってしまうと、翌年の花が咲かなくなってしまいますので注意しましょう。
庭木の場合:枝が込み合ってきたら間引き剪定を行う
シンボルツリーやお庭のアクセントとしてトキワマンサクを育てている場合には、枝が込み合ってきたら間引き剪定を行いましょう。間引き剪定は、クロスしている枝や伸びる方向が悪い枝などを選んで根元からカットする剪定方法です。理想とする庭木の形をイメージしながら余分な枝をカットすると、綺麗に仕上がります。剪定の直後はスカスカに見えても、すぐに枝や葉が茂ってきますので安心してくださいね。
生垣の場合:2mほどの高さを目安に好きな形に剪定を行う
生垣でトキワマンサクを育てている場合には、2mほどの高さを目安に剪定を行いましょう。基本的には上部が平たんになるように剪定をしていきますが、トキワマンサクは萌芽力が強いので好きな形にアレンジして剪定しても問題ありません。そのまま成長させ続けてしまうと、4m近くの高さまで伸びて手が付けられなくなってしまう可能性もありますので、綺麗な生垣を保つためにも春の時期には剪定の作業を行いましょう。
枝の成長が早いのでしっかりと剪定しよう
トキワマンサクは、枝の成長が早いので強めの剪定である「強剪定」を行っても大丈夫です。剪定をせずにほおっておくと、それぞれの葉に日光が当たらなくなってしまい植物の健康にも良くありません。トキワマンサクを育てている時は、しっかりとした剪定を心がけましょう。
生垣の作り方に必要な剪定の手順
では、実際にどのように剪定を行っていくのかトキワマンサクの生け垣の作り方に必要な手順を簡単にご紹介します。トキワマンサクは葉に産毛が生えていて、布製の軍手や園芸手袋にくっつきやすいのでなるべくビニール製のグローブを用いましょう。
- 生垣が四角になるようにイメージしながら、はみ出した枝を中心に付け根から間引き剪定を行う
- 道路側にはみ出している枝や葉は、邪魔にならないように強めに剪定する
- 根元から伸びている「ひこばえ」があればカットする
- すっきりと風通しが良くなったら、全体の枝葉が2mほどになるように全体を見ながら上部を剪定する(枝先でカットすると小枝が増えてしまうので根元からカットする)
- 太い枝をカットした場合は病害虫の被害を避けるために、切り口に癒合剤を塗布する
【注意】知らないと後悔する!トキワマンサクに関するQ&A
最後にトキワマンサクに関するQ&Aをご紹介します。これからトキワマンサクを育てたいという方や、すでに家で育てていて気になることがあるという方はぜひ参考にしてみてください。
Q,トキワマンサクの生垣がスカスカになってしまうのは何が原因ですか?
A,日当たりの良さが葉の付きに影響します。
トキワマンサクは日の光を好む植物ですので、日当たりが悪いと成長が悪くなり葉の数も半分以下になってしまいます。生け垣に仕立てる時は、十分に光が当たる場所かどうかを検討した上で植え付けを行うようにしましょう。また、明るい日陰で育てている場合には葉の数は問題ありませんが花付きが悪くなってしまう傾向があります。
Q,トキワマンサクが枯れる原因は何ですか?
A,日照不足や極端な水不足、寒さ、病害虫が挙げられます。
トキワマンサクは太陽の光が大好きな植物ですので、日当たりの悪い場所で栽培していると枯れてしまう危険性があります。また、乾燥には強いのですが暑い時期に何度も水切れを起こすと特に植木鉢で育てている時は枯れる要因となりますので、育てる環境の条件には注意が必要です。病害虫の兆候を見逃さなければ、枯れることも防げますので普段からちょっとした変化を見逃さないように心がけましょう。
Q,トキワマンサクの葉についている害虫は何ですか?
A,ハマキムシ、カミキリムシ、カイガラムシがつくことがあります。
トキワマンサクは病害虫に強い植物ですが、まれにハマキムシやカミキリムシ、カイガラムシがつくことがあります。いずれの害虫も葉の汁を吸って弱らせたり、茎に潜り込んで枯らしてしまうこともありますので見つけ次第、市販の薬剤を散布することで対処しましょう。カイガラムシは、薬剤の耐性の強い害虫ですので石灰硫黄合剤などで適切な時期に対処するか直接、けずりとるように落として対処しましょう。
【まとめ】生垣におすすめなトキワマンサクの育て方と生垣の作り方を紹介
いかがだったでしょうか。
特徴的な生け垣を仕立てるために有能なトキワマンサクの育て方や生け垣の作り方をご紹介させていただきました。トキワマンサクは、黄白色と紅花がありそれぞれの葉の色も緑葉と赤葉と異なっているので交互に生け垣として育てるのもおもしろいのではないでしょうか。また、葉も小さくたくさん付くので生け垣の目隠しとしての用途を存分に発揮してくれるはずです。
この記事のポイントは以下の通りです。
- トキワマンサクは日本が原産の常緑樹で、細長い花をつける植物
- トキワマンサクは乾燥に強いため土の表面が乾いたら水やりをするとともに、肥料も控えめで管理する
- トキワマンサクを生垣に仕立てるためには、適度に間隔を空けて日当たりの良い場所に植え付けを行う
- 生垣のトキワマンサクの剪定は、枝を根元からカットする間引き剪定がおすすめ
- トキワマンサクを生け垣で育てるためには日当たりの良さや極端な水切れを防ぎ、寒さに当てないような環境が重要
トキワマンサクは葉も花も美しく、冬場でも茂っていることで目隠しにもなり萌芽力も高い生垣にぴったりな条件を満たした植物です。育て方も難しくなく、丈夫で初心者にもおすすめなので一味違った生垣や庭木をお探しの方は購入を検討してみてはいかがでしょうか。
最後まで記事を読んでいただいてありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。