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カラフルな花をたくさん咲かせ、春の訪れを知らせてくれるツツジやアザレア。どちらも丈夫な性質で育てやすく、お庭や公園などさまざまな場所で見かける花木です。しかし両者は性質だけでなく見た目もよく似ているため、実際には見分けが付かないという人も多いのではないでしょうか。具体的にどのような違いがあるのかを知り、区別することができたらさらに観賞を楽しむことができますよね。
ツツジとアザレアを見分けるには、どのようなポイントがあるのでしょうか。
そこでこの記事では、
- ツツジとアザレアの違いと品種について
- ツツジとはどんな植物?
- アザレアとはどんな植物?
- ツツジとアザレアの違い①生まれた場所
- ツツジとアザレアの違い②花の特徴
- ツツジとアザレアの違い③おしべの数
- ツツジとアザレアの違い④木の特徴
- ツツジとアザレアの違い⑤花言葉
上記について詳しく解説していきます。この記事を最後まで読んで頂ければ、ツツジとアザレアの特徴や、見分け方がわかります。また合わせて、他にも間違われることの多い植物についてもご紹介しています。ツツジとアザレアの違いを深く知ることで、どちらの樹木か見分ける際の参考にして頂けたら幸いです。
ツツジとアザレアは違う品種?その違いとは
間違われることも多いツツジとアザレアですが、全く別の植物なのでしょうか。品種やその違いについて詳しく見ていきましょう。
アザレアはツツジの一種であり、その中でもヨーロッパで品種改良されたものの総称である
結論から言いますと、アザレアはツツジの一種です。品種が多いツツジの中でも、ヨーロッパで品種改良されて日本に持ち込まれたものをアザレアと呼んでいます。英名ではどちらも「Azalea」と表記します。海外では一般的にツツジの通称として親しまれているため、アザレアを区別するために「ベルギーアザレア」と呼ばれています。
ツツジとアザレアの違いや見分け方を紹介!
見分けが付きにくいツツジとアザレアですが、花姿に違いが見られます。アザレアの花は八重咲きやフリル咲きなどがあり、ツツジと比べると豪華な印象を受けます。また、どちらも様々な花色を楽しめますが、アザレアは赤、白、ピンク、紫に加えオレンジや複色のものもあり、カラーバリエーションがより豊富となっています。両者の違いについては後に詳しく解説していますので、見分け方の参考にしてくださいね。
ツツジとはどのような植物?
ツツジとアザレアの違いをさらに知るためにそれぞれの特徴を見ていきましょう。まずはツツジがどのような植物なのか、基本情報とともにご紹介していきます。
ツツジとは、もともとはツツジ科ツツジ属の植物の総称
ツツジとは、もともとはツツジ科ツツジ属の植物の総称になります。そのため種類が非常に多く、世界中で600種以上存在しています。日本でも江戸時代中期以降、多くの品種が作られました。現在では、ツツジ科の植物であればツツジ属ではなくてもツツジという扱いになっています。
ツツジの基本情報
ツツジの基本情報は以下の通りです。
ツツジの学名は(Rhododendron)といい、日本を含むアジア東部原産のツツジ科ツツジ属の植物です。品種が多く低木や高木のものがあり、常緑樹も落葉樹も存在します。4月中旬~5月頃の開花時期には、白や赤、ピンクの他に紫などさまざまな色の花を楽しむことが出来ます。寒さに強く庭木としてはもちろん、街路樹などとして多くの場所で栽培されている植物です。
科・属名 | ツツジ科・ツツジ属 |
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原産地 | 日本・中国を中心としたアジア東部 |
開花時期 | 4月中旬~5月中旬 |
花の色 | 白、赤、ピンク、紫 |
別名 | ヤマツツジ |
アザレアはどのような植物?
次にアザレアがどのような特徴を持った植物なのか、基本情報とともにご紹介していきます。
アザレアはツツジ属ツツジ科の常緑性低木
アザレアは、ツツジ属ツツジ科の常緑性低木です。年中鮮やかな緑を茂らせるため、生垣や庭木の他に鉢植えとしても古くから親しまれている植物です。アジア地域がルーツであるアザレアはツツジと比べると寒さに強くありませんが、日本の四季に対応しやすく比較的簡単に育てることができます。
アザレアの基本情報
アザレアの基本情報は以下の通りです。
アザレアの学名は(Rhododendron simsii )といい、ヨーロッパ原産のツツジ科ツツジ属の植物です。もともとは台湾のツツジがベルギーに渡り、ヨーロッパで園芸用などに品種改良されたものの総称とされています。そのため別名で「西洋ツツジ」とも呼ばれます。花色は白や赤、ピンクの他にオレンジが多く見られ、気温が十分に上がる4月下旬~5月頃に開花します。
科・属名 | ツツジ科・ツツジ属 |
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原産地 | ヨーロッパ |
開花時期 | 4月下旬~5月中旬 |
花の色 | 白、赤、ピンク、オレンジ、紫、複色 |
別名 | 西洋ツツジ |
ツツジとアザレアの違い②生まれた場所
ツツジとアザレアの特徴が分かったところで、ここからは違いについて詳しく解説していきます。最初にご紹介するツツジとアザレアの違いの1つ目は、生まれた場所についてです。
ツツジは、主に東アジアに自生していたもの
ツツジはアジアの広い範囲に分布していますが、主に東アジアに多く自生していた植物です。ネパールでは国花として愛されています。日本にもヤマツツジやキシツツジなどが自生しており、後に多くの園芸品種が作出されました。
アザレアは、ツツジの一種がヨーロッパで品種改良されたもの
先にもお話ししたとおり、アザレアはツツジの一種がヨーロッパに渡り、品種改良され新しいツツジとして日本に逆輸入されたものです。中国のタイワンヤマツツジが江戸時代にイギリスに渡って、オランダを中心に交配が行われたと言われています。そのため葉や枝がツツジによく似ているだけでなく、栽培方法にも特に違いはありません。
ツツジとアザレアの違い①花の特徴の違い
ツツジとアザレアの違いの2つ目は、花の特徴の違いについてです。花の雰囲気が少し異なるため、開花時期には一番分かりやすい見分け方になります。
ツツジの花はピンクや白、赤、紫などの色がベースで一斉に開花する
ツツジは4月中旬~5月中旬頃になると、ピンクや白、赤、紫などの色とりどりの花を一斉に咲かせます。一重咲きがほとんどですが、一つの枝先に2~4つほどの複数の花を付けるのが特徴です。花数が多く、見頃の時期にはお庭や公園をぱっと鮮やかに彩ります。
アザレアの花は、ツツジの中でも豪華な印象がある
アザレアの花は、ツツジ同様鮮やかですがさらに豪華な印象を受けます。よく観察してみると、花の模様や形状に以下のような違いが見られます。
花は絞りや覆輪などもあり、花径は大きめ
アザレアの花は絞りや覆輪などがあり、1輪ずつ異なる表情がとてもユニークです。また花径が3~4cmのツツジと比べて、アザレアは4~8㎝と大きめで豪華な大輪になります。室内観賞用の品種では、鉢植えで大輪のアザレアを楽しむことができるので人気です。
咲き方は八重咲が多い
花は品種によって一重咲きや二重咲きもありますが、八重咲きのものが多いです。満開時には、幾重にも重なった花弁でボリューム感のある花を観賞することができます。またフリル咲きのアザレアはよりゴージャスで華やかな雰囲気を演出します。
ツツジとアザレアの違い③おしべの数と特徴の違い
ツツジとアザレアの違いの3つ目は、おしべの数と特徴の違いです。花を覗き込んでみると数に違いが見られます。
ツツジのおしべの数は5本以上
ツツジのおしべの数は、基本的に5本以上になります。花姿だけで見分けが付かない場合は、おしべの数で確認することも可能です。ただし品種によって違いがあり、見分け方の一つとして覚えておくと良いでしょう。
アザレアのおしべの数は5本から10本が多い
アザレアのおしべの数は、基本的には5本から10本になります。おしべを確認した時にやや数が多い印象を受けたら、アザレアである可能性があります。ツツジ同様、品種によって違いがあるので他の見分け方と一緒に参考にしてください。
ツツジとアザレアの違い④木の特徴の違い
ツツジとアザレアの違いの4つ目は、木の特徴の違いです。近づいてみると、葉の大きさや質感の違いが一目瞭然です。
ツツジは、葉が大きめで柔らかく、毛が生えている
ツツジの葉は、長さが5㎝ほどと大きめで柔らかく光沢があります。可能であれば触ってみると違いがより明確に分かります。表面がツヤツヤしているのに対して、裏側には毛が生えておりふわふわとしているのが特徴です。
アザレアは、小さめで楕円形の葉を持つ
アザレアの葉は、大きさが2~5㎝ほどでツツジと比べると小さく可愛らしい楕円形です。少し厚めの質感で、濃い緑色の葉をしています。葉の形状で見分けることもできますが、常緑性のアザレアは一年中色鮮やかな葉を付けることでも確認できます。
ツツジとアザレアの違い⑤花言葉
ツツジとアザレアの違いの5つ目は、花言葉の違いです。色によって異なる花言葉が付けられているので、シーンに合わせて選ぶことができます。
ツツジの花言葉は、「美しい人」
紫のツツジは「美しい人」という花言葉を持っています。これは、鮮やかな紫色が上品な雰囲気で、まるで高嶺の花のような女性を連想させることから付けられたと言われています。気品のある美しさを持つ女性に贈るのにぴったりの花言葉ですね。
アザレアの花言葉は、「満ち足りた心」「節制」
白色のアザレアの花言葉は「満ち足りた心」です。これは白く大きな花弁が、純白の花嫁や幸福を連想させることから付けられたと言われています。また、赤色のアザレアは「節制」という花言葉を持っています。これは丈夫な性質のアザレアが、厳しい環境でもしっかりと成長することが由来しています。
ツツジとアザレアはサツキやシャクナゲにも似ている!
ツツジとアザレアの違いについてお分かりいただけたと思いますが、実は両者には他にもよく似た植物があります。最後に、サツキやシャクナゲとの違いについてもご紹介していきます。
サツキとシャクナゲもともにツツジの一種
サツキとシャクナゲも、ツツジ科ツツジ属の植物の一種になります。「シャクナゲ」は、「ヒカゲツツジ」や「レンゲツツジ」の仲間を意味しますが、日本では「ホンシャクナゲ」の仲間のみを指しています。「サツキ」は「サツキツツジ」と呼ばれることもあります。
ツツジやアザレアとシャクナゲの違いは葉
シャクナゲとツツジやアザレアを見分けるポイントは、葉の違いになります。大きさや質感が全く異なるため、簡単に見分けることができます。
シャクナゲは葉の表面に光沢があり、裏には毛が生える
シャクナゲの葉は、革質で厚みがあり表面にはやや光沢があります。裏面は赤褐色の毛が密集して生えているのが特徴です。ツツジやアザレアと比べると葉がやや堅めで、実際に触ってみると違いがよくわかります。
葉の形は丸みを帯びて細長い
深緑色の葉は葉先が丸みを帯びており、長さが8~15cmなのに対し幅が1.5~5㎝と細長い形状が特徴です。他にも葉の付き方にも注目してみると、葉が枝先に車輪上に集まって互生しています。
ツツジやアザレアとサツキの違いは開花
サツキとツツジやアザレアを見分けるポイントは、開花の様子の違いになります。時期だけでなく咲き方にも違いが見られます。
サツキは開花時期が5月中旬から6月中旬
サツキの開花時期は5月中旬~6月中旬で、その名前は5月を示す「皐月」が由来しています。ツツジやアザレアと比べると開花がやや遅いのが特徴で、新しい芽が出る前に花が咲きます。花の咲くタイミングは最も見分けやすいポイントになります。
サツキは1週間程度をかけてゆっくり咲く
花の咲き方にも明確な違いがあり、見分けることができます。ツツジはつぼみを一斉に咲かせるのに対して、サツキはパラパラと咲くのが特徴です。つぼみの開き方もゆっくりで、1週間程度をかけて徐々に咲いていきます。
まとめ
ツツジとアザレアの違いについて詳しく解説してきました。
本記事の内容は、
- アザレアはツツジの一種で、ヨーロッパで品種改良されたツツジの総称である
- ツツジは日本や東アジア原産のツツジ科ツツジ属の植物で、常緑樹も落葉樹も存在する
- アザレアは台湾のツツジがヨーロッパで品種改良された、ツツジ科ツツジ属の常緑樹
- ツツジは主に東アジアに自生しており、アザレアはヨーロッパに渡ったツツジがオランダを中心に品種改良されて生まれた品種
- ツツジは一重咲きが多く一斉に花が咲き、アザレアは花が大きめで八重咲きが多くフリル咲きもある
- ツツジのおしべの数は5本以上で、アザレアは5~10本であることが多い
- ツツジの葉は大きめでやわらかく裏側に毛が生えているのに対し、アザレアの葉は小さめで楕円形である
- 紫のツツジの花言葉は「美しい人」で、白色のアザレアの花言葉は「満ち足りた心」「節制」など種類や色によって異なる
ツツジとアザレアは英名が一緒で同じ仲間の植物なので、見分けが付きにくいのも仕方ありません。一般的には花の特徴の違いが良く知られていますが、詳しく見ていくとおしべの数や葉の形状など異なる点がいくつかあることが分かります。是非今回解説した違いを参考にしてツツジとアザレアを区別して観賞を楽しんでみてくださいね。
東京寿園では他にも植物に関するたくさんの記事をご用意しております。植物の育て方やその他気になることがあれば、是非参考にしてください。最後までお読みいただきありがとうございました。