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庭木や街路樹、公園の植栽やシンボルツリーとしても人気のサルスベリは艶やかな色の花を夏の季節に咲かせる人気の樹木です。あちこちで見かけるメジャーなサルスベリですが、花が終わった後につぼみのような実がなるのをご存じでしょうか。このサルスベリの実は食べることができるのでしょうか。実に毒性があれば、万が一食べてしまったときに困ってしまうはずです。
そこでこの記事では、
- サルスベリには実がなるの?
- 開花してから実が熟すまでの過程をご紹介
- サルスベリの実は食べることができるの?
- サルスベリの実は有毒?ペットが食べた時の対処方法
- サルスベリの実の様々なアレンジ方法
- 実生(みしょう)のサルスベリを盆栽にしてみよう
以上のポイントを中心にご紹介していきます。
サルスベリの木は育てやすく花が咲いた時も美しいので、初心者にもおすすめの樹木です。そんなサルスベリの実の特徴だけでなく、そのアレンジ方法や実から盆栽を仕立てる方法までご紹介していきますのでぜひ最後までご覧ください。
サルスベリにはつぼみのような実がなる!
まずはサルスベリの花や実についてご紹介していきましょう。樹木の種類によっては実がつかないものもありますが、サルスベリには花が終わった後につぼみのような実がなるのです。サルスベリは全国的に分布していますが、沖縄や鹿児島などの熱帯地方ではシマサルスベリも見ることができます。シマサルスベリは6月~8月に白い花を咲かせ、幹が直立して白っぽく美しい印象を与えてくれます。シマサルスベリもサルスベリと同じように実がつくのが特徴です。
サルスベリはフリルのような花びらを広げる夏の花木
夏の定番の花としても知られるサルスベリは、波打ったピンク色や白の花を咲かせる人気の植物です。育てやすく、適度な剪定で大きくなりにくいので庭木としてだけでなく街路樹や公園などにも植えられています。丈夫な特徴から、サルスベリはお庭のシンボルツリーとしての人気も高まっているのです。また、ネット環境が充実している昨今では様々な品種のサルスベリを注文することもできます。
サルスベリの花後には枝先に真ん丸な実がたくさんつく
そんな魅力的なサルスベリの花が終わった後、冬場にかけて真ん丸な実がたくさんつくのをご存じでしょうか。葉が茂っている状態ではあまり目立たないかもしれませんが、冬場に葉がすべて落ちると割れた果実のような形の乾燥した実が枝に残っているのに気付くかもしれませんね。これは熟した実が割れて種を落とした状態の殻なのです。ちなみに花後につく実はしっかりと受粉しているものが残っているので、受粉せずに花が落ちてしまう房もあります。
サルスベリになる実の特徴や食べることができるかを解説!
花が咲いた後のぷっくりとした緑色の実は小さいながらも数えきれないくらいつくので、もし食べられたら利用したいという方も多いかもしれません。そこでここからはサルスベリになる実の特徴や可食できるのか、利用方法があるのかなどについて詳しく解説していきましょう。
サルスベリが開花してから実が熟すまで
サルスベリが夏場に開花してから実が熟すまではどのような過程をたどるのでしょうか。この項目では、サルスベリの成長の過程について詳しくご紹介してきます。
サルスベリは夏に開花し秋の初めまで花を咲かせる
サルスベリは、夏の6月~7月に開花して9月の秋の初めまで花を咲かせる長く楽しめる樹木です。サルスベリが、「百日紅」という文字で表されることからもわかるように鮮やかなピンクや純白の花を百日ほど咲かせる特徴をもっています。サルスベリの花はその年の5月に伸びた新枝から開花しますので、たくさんの花を楽しみたい方はその時期の剪定は避けるようにしましょう。
花後は緑色の実が枝先にたくさんつく
フリルのように波打った花を咲かせた後は、その花ごとに緑色の実が枝先にたくさんつきます。花後につく緑色の実は小さいながらも、ぷっくりと丸くふくらんでたくさんなるので、サルスベリの木を見上げると実の存在に気づくことが多いのではないでしょうか。サルスベリの花を見ていない状態であれば、この緑色の実はつぼみにも見えるかもしれませんね。
実が熟す過程で緑色から藍色や黒色に近くなる
サルスベリの実は9月~10月の時期に緑色の状態でつきますが、だんだんと熟していく過程で色が変化して藍色や黒色に近くなります。11月になると緑色だった実は完全に熟して黒っぽくくすんだ色になっているのです。
10月頃には実の中に種が入っており、6つに割れて開く特徴がある
10月~11月になって黒く変わったサルスベリの実を収穫して、よく見てみると実の中には羽根のような形をした種が入っています。木についた状態で、実が6つに割れて開く特徴があるサルスベリの種子は自然にこぼれ落ちて近くで発芽したり、風に乗って遠くに飛んでいくのです。サルスベリの実を採取しなければ、落葉した後の木には6つに割れたままの実がついたままになっていて面白い姿を見せてくれます。
サルスベリの実を人間は食べることができる?
サルスベリの実の特徴がわかったところで、その実を人間は食べることができるのでしょうか。緑色のつやつやとした実や、藍色に熟した状態の実を食べることができたらぜひ試してみたいですよね。
サルスベリの実は葉や花も含め食べないほうが無難
サルスベリの実は特に毒性が強いわけでないのですが、実は葉や花も含めて食べないほうが無難でしょう。食べてみた人の記録によると、苦く可食できる部分がほとんどないようです。中国や熱帯地域が原産のサルスベリは江戸時代以前で日本に渡来しましたが、漢方として使われてきた歴史もないので基本的には食べるものではないようです。
サルスベリによく似たリョウブは実や若芽、花が食用になる
リョウブという植物はサルスベリによく似た特徴をもっていますが、こちらの樹木は実や5月に伸びた若芽、白い花を食用にすることができます。甘くおいしい若芽は天ぷらやおひたし、ゆでて灰汁を抜いたものをご飯に混ぜ込んだ「リョウブ飯」として食用されています。乾いた林に生育することの多いリョウブは、庭木としてはあまりメジャーではないので見かけたことがある方は少ないかもしれませんね。
リョウブとサルスベリの違いは、リョウブが白い花のみを咲かせることと穂のように花が並んで付く姿から見分けることができます。
サルスベリの実は有毒?ペットが食べても大丈夫か
サルスベリの実を人間が食用にすることはあまりおすすめできないとご紹介しましたが、万が一、ペットなどが食べてしまった時に心配になる方も多いかもしれません。この項目では、サルスベリの実が有毒なのか、ペットが食べても大丈夫かについてお答えしたいと思います。
サルスベリの実は犬や猫にとって有毒成分は含まれているという報告はない
サルスベリの実をうっかりペットが食べてしまって重篤な状態になってしまったという報告はありません。お家でよく飼っているような犬や猫にとっての有毒成分は含まれていませんので、安心してくださいね。
しかし、食用の植物ではないため注意が必要
サルスベリの実はペットにとっては有毒ではないものの、食用の植物ではありませんので大量に食べてしまった時に吐いたりお腹を壊してしまったりということはあるかもしれません。特に猫は高くまでジャンプすることのできる動物なので、お庭のサルスベリの実や花をよく食べてしまっているという時は獣医さんに相談したり、低いところの花や実は剪定したりといった工夫が必要になります。
サルスベリの実を好む鳥はいる
サルスベリの実は多くの鳥に好まれています。公園やお庭、街路樹ではマヒワやシジュウカラ、メジロ、モズ、ムクドリなど多くの鳥がサルスベリの実を食べているのを見ることができるはずです。サルスベリの実が熟す秋の時期は鳥にとっても食べ物が豊富な時期ですので、たくさんの種類が木に集まってきます。サルスベリの実は鳥に食べられることによって、より遠くに種を運んでもらえるメリットもあるのです。
サルスベリの実の使用方法やアレンジアイデア
サルスベリの実は食用にはならないのですが、せっかくたくさんなった実を捨ててしまうのはなんとももったいないと考える方も多いのではないでしょうか。そこでこの項目では、サルスベリの実の使用方法やアレンジアイデアについてご紹介したいと思います。
リースなどのハンドメイド製品を作る
ハンドメイド製品としてサルスベリの実を利用する場合には、リースがおすすめです。ちょうどクリスマスシーズンに向かう時期にサルスベリの実を収穫することができるので、リースのあちこちに飾り付けてみてはいかがでしょうか。緑色のつやつやとした実をそのまま飾り付けても良いですし、種を飛ばして6つに割れた状態の実は花のようにも見えてシックなリースを演出してくれるはずです。
リースだけではなく、乾燥させたサルスベリの実はドライフラワーにも適しています。他の植物と併せてドライフラワーにすることでサルスベリの実が良いアクセントになってくれますよ。
実の中から種を採取して実生する
様々なハンドメイド商品としてアレンジする他にも、実の中から種を採取して実生する方法もあります。サルスベリの種子は実の中にいくつかがわかれて入っていますので、採取も容易なはずです。また、秋の剪定と同時に採取するのも効率的ですよ。種が十分に熟した状態であれば、木をゆするだけでひらひらとたくさんの種が落ちてくるはずです。実の様子を見ながら種が熟したタイミングで採取するようにしましょう。サルスベリの実の中から種を採取して実生する方法は、手間と時間はかかりますが成長して花を咲かせた時の愛着がわきますので次の項目で詳しくご紹介していきましょう。
サルスベリを実生して盆栽にしてみよう
最後の項目では、サルスベリを実生して盆栽にする方法をご紹介します。種からサルスベリを育てる方法は手間がかかりますが、作業自体は難しくありませんのでサルスベリの実や種を手に入れることができたらぜひ試してみてはいかがでしょうか。
実生とは、種をまいて増やした苗木のこと
実生(みしょう)とは、草木を種から育てて苗にする方法を挿します。実生で育てた苗のことを実生苗と呼び、お店やネット通販で販売されているのを見かけることもあるかもしれません。実生で苗を作るのは、挿し木や接木と異なり元の株の特徴をそのまま引き継ぐことはできませんが、その分だけどのような葉や花が出るのかを楽しむワクワク感も感じることができるはずです。
実生のメリットは子株を多く増やせること
実生のメリットとして挙げられるのは、子株を多く増やせるということです。大規模な農家さんや苗木生産者では実生で苗を生産していることがあります。種は多数を採取することができますので、アマチュアでも簡単にたくさんの苗を作ることができるのです。発芽しないということも少なくはありませんので、実生を試す時には複数の苗を作ることが基本となっています。
実生のデメリットは花が咲くまでに時間がかかること
実生のデメリットとして挙げられるのが、花が咲くまでに時間がかかるということです。種から育てて開花するまでに数年かかる植物も少なくはありませんので、じっくりと時間をかけて植物を成長させることになります。お庭のスペースが限られていたり、水やりの手間がかかったりというデメリットもありますが、成長を楽しめるという点は魅力なのではないでしょうか。
実が割れる前に採取したら中から種を取って植え付けよう
サルスベリの実が熟して割れてしまうと種子が飛び散ってしまいますので、その前の10月~11月に採取するようにしましょう。サルスベリの実はつけたままにしていてもおしゃれですが、どうしても木の栄養分がとられてしまいますのである程度は剪定するのがおすすめです。その際に、枝の先についている実も落として、中から種を採取しましょう。サルスベリの実は、羽根のついたような薄く面白い形をしています。
次に、採取した種を種まき専用土や赤玉土にまいて発芽を待ちましょう。種まきの時期は採取してすぐの11月か春になってからの3月~4月がおすすめです。寒い地域では3月~4月を待って種まきをした方が無難でしょう。乾燥しすぎないように様子を見ながら管理をしていれば、1週間から10日くらいで双葉が出ます。ある程度の大きさに成長したサルスベリの苗には、12月~2月に肥料を与えて養分を蓄えさせてあげましょう。12月~2月に与える寒肥は新芽が伸びるエネルギーを増やしてくれます。
盆栽程度の大きさを目指すのであれば、挿し木や取り木もすぐできておすすめ
サルスベリの花は、実生で育てると少なくとも開花までは1年から2年ほどかかります。盆栽程度の大きさをすぐに目指すのであれば、挿し木や取り木もすぐできるのでおすすめです。実生と同じように、ある程度まで大きく育ったサルスベリの木があればたくさんの挿し木や取り木ができます。挿し木は落葉した後の休眠時期の3月~4月に行う「休眠挿し」と7月~8月に行う「緑枝挿し」を行うことができます。休眠期に行う挿し木は発根するまでに時間がかかることを覚えておきましょう。取り木は乾燥しない梅雨の時期である6月前後がおすすめです。
取り木も挿し木も発根したら鉢植えやポット苗にして、乾燥しないように管理をしながら大きく育てましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
サルスベリの実の特徴や有毒性、アレンジ方法についてご紹介させていただきました。丈夫で育てやすく、開花時期の長いサルスベリは様々な場面で植えられる人気の植物です。実から苗を作る「実生」も、サルスベリは種が採取しやすく初心者に向いているので興味のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
この記事のポイントは以下の通りです。
- サルスベリには花後に実がたくさんつく植物
- 最初に緑色だったサルスベリの実は、次第に熟して黒や藍色に変わる
- サルスベリの実は食べないほうが無難
- サルスベリの実は有毒ではないものの、ペットがたくさん食べすぎないように注意が必要
- サルスベリの実をリースにしたりドライフラワーにしたりといった利用方法がある
- 実生のサルスベリは種を採取してまくことで1年から2年ほどで苗に成長する
丈夫で成長の早いサルスベリは、シンボルツリーや庭木としても愛されている植物です。また、長く花を咲かせるので街路樹や公園の植栽に植えられていることも多いのではないでしょうか。最近では、ピンクや白だけでなく赤や矮性のものなど様々な花色や特徴のサルスベリをネット注文で購入することのできるメリットもあります。花から実まで長く楽しむことのできるサルスベリをお庭で楽しんでみてはいかがでしょうか。
最後まで記事を読んでいただいてありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。