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ヨーロッパが原産で、4月から5月になると白や紫色のきれいな花を咲かせてくれるライラック。日本では北海道で見られることが多く、北日本のほとんどでは街路樹として植えられている場所もある花木です。
そんなライラックですが、開花時期になってもなぜか花が咲かないことがあることでも有名な庭木です。せっかく庭に植えても花が咲かないのであれば、植えた意味がないと思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回の記事では
- ライラックの花が咲かない原因って?
- ライラックの花をきれいに咲かせるお手入れ方法とは?
- ライラックの花芽と葉芽の違いは?
について解説していきたいと思います。もし庭でライラックを植えており、なぜ花が咲かないのか困っている方はぜひ最後までご覧ください!
庭のライラックの花が咲かない!
![庭のライラックの花が咲かない!](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0572/9157/1243/files/4932154_s_faed6e9e-922d-4a04-b5dc-46bb90a509b0_480x480.jpg?v=1720209148)
では最初に、庭に植えているライラックの花が咲かないことについて解説していきたいと思います。まずはライラックについて簡単に説明していきましょう。
ライラックはダメージに弱いデリケートな花で、花が咲かないこともある
まず、結論から言うと、ライラックは育てるのがとても難しくデリケートな植物ということです。ライラックの原産地はヨーロッパとなっており、耐寒性にはとても優れているのですが、逆に耐暑性はあまりなく、そのため高温多湿の環境に弱いです。
また、ライラックはアルカリ性の土壌を好みます。日本の土は酸性が多いので、ライラックを育てる場合は土壌をアルカリ性に改良してあげなければいけないですし、またライラックに付く害虫も病気を引き起こしたり、感染させたりしてしまう害虫が付きやすいです。
- アブラムシがついてしまうと、ウイルス性の病気を媒介させてしまうことがあります。アブラムシ自体は繁殖旺盛なので、しっかりと薬剤を撒いておくと十分でしょう。
- カイガラムシは、排せつしたものから灰カビ病などの症状を引き起こすやっかい者です。5~8月ごろに幼虫が枝や幹についていることが増えてきますので、成虫になる前に薬剤を撒いて対策しましょう。成虫になってしまったときは歯ブラシなどでこそぎ落とせるので、この方法で駆除できます。
- カミキリムシの幼虫は、幹の芯を食害します。カミキリムシは樹皮の内側に産卵するため、見つけるのは難しいかもしれません。ただ、幼虫がいれば幹に穴が空いているため、用心深く見ていると見つけられます。幼虫は針金などを穴に通して駆除しましょう。
また、梅雨時期になるとうどんこ病に感染することがあります。葉っぱの表面に白い斑点のようなカビが生える病気です。この症状にかかってしまうと、光合成が阻害されてしまったり、栄養が葉っぱで作られなくなるため、生育不良に陥り、花が咲かない原因となります。葉っぱに白い斑点が見られたら、すぐにその葉っぱと周りを取り除き、駆除するようにしましょう。
その他、ライラックの苗を買ってきて、すぐに土へ移植したとしても、苗の状況によっては翌年に花を咲かせることがなかったりします。理由としては、ライラックの花が咲くのは植え付けをしてからおよそ3年程度経ってからと言われていて、1年目2年目に花が咲かないのは珍しいことではないのです。ライラックを植え付けて花が咲かないのは腐っているわけではなく、まだ十分に育っていないことだと考えてもらい、きれいな花を咲かせてもらうために、しっかりとライラックを生育することが大事だと言えるでしょう。
ライラックの花が咲かない原因別の対処法と育て方を紹介
ここで紹介した原因の他にも、ライラックには花が咲かない原因は存在しています。では、ライラックの他の花が咲かない原因と対処法、ライラックの育て方について下記で紹介していきたいと思います。
ライラックの花が咲かない原因①花芽を切ってしまったから
![ライラックの花が咲かない原因①花芽を切ってしまったから](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0572/9157/1243/files/29654123_s_acef16ab-c9ee-49dd-a219-2df710dbdd6c_480x480.jpg?v=1720536997)
まず、ライラックの花が咲かない原因の1つ目、「花芽を切ってしまった」からです。花芽をなぜ切ってしまったらいけないのか解説していきましょう。
ライラックは7月から8月に花芽をつける
まず、ライラックの花は5月の終わりごろになると枯れていき、その後に花芽をつけていきます。そして、7月から8月ごろにはしっかりとした花芽がついていることが多いです。
しかし、花芽がついてきているにもかかわらず、その状態で剪定を行ってしまって、その時に間違えて花芽まで切ってしまうということが多いのです。花芽と葉芽の区別は素人にはわかりづらいため、花が咲かない原因となってしまうのです。
対策:花芽ができる夏・秋以降に剪定するのは避ける
この対策として、花芽ができた後の夏もしくは秋以降に剪定をするのは避けるようにしましょう。花が終わった直後、大体6月ごろであれば強剪定を行っても大丈夫でしょう。もし、時間などがなく、どうしても秋以降になってしまったのであれば、間引き程度の剪定であればあまり問題はないと思いますが、それくらいの剪定に留めておくようにしておかないと、逆にライラックが枯れる原因となる可能性もありますので、注意しましょう。
ライラックの花が咲かない原因②暑さによるダメージ
![ライラックの花が咲かない原因②暑さによるダメージ](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0572/9157/1243/files/5040419_s_5e72b3d9-d8fe-468e-a15e-2dd24cd571ad_480x480.jpg?v=1720537019)
続いてのライラックの花が咲かない原因、2つ目は「暑さによるダメージ」です。
ライラックは夏の暑さに弱く、花芽を作れない原因となる
ライラックの原産地はヨーロッパであるという話を先ほどもしました。耐寒性はとても強いので寒冷地での生育にはとても適しているわけですが、逆に耐暑性はあまりないので、高温である夏の日光にはとても弱くまた乾燥で株が弱ったりしてしまい、花芽が作れない原因となってしまうのです。
対策①:西日の当たる場所は避ける
その高温を避ける対策として、まず西日の当たる場所は避けておきましょう。ライラック自体は日当たりの良い場所で育ててあげるのがよいのですが、夏の西日はとても苦手です。日照時間が短いと花が咲かないことにも繋がるのですが、日光が強い場所に植えてしまえば今度は株が弱る原因にもなります。最初に植え付けるときに、西日が当たらないかどうか確認してから植えるようにしましょう。
対策②:株本をマルチングしたり草花を植えたりする
また、ライラックの株本をマルチングしてあげたりすることも暑さをしのぐ対策になります。夏場には遮光ネットなどでマルチングしてあげることで温度を下げる工夫をしてあげましょう。他にも、ライラックの木の周りに草花を植えてあげることでも、地温の急激な温度変化や乾燥を防ぐ環境を作ってあげることができますよ。
ライラックの花が咲かない原因③植え方
![ライラックの花が咲かない原因③植え方](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0572/9157/1243/files/23384250_s_2183aabd-93a9-45b9-919b-96c90860c3d2_480x480.jpg?v=1720537007)
続いてのライラックの花が咲かない原因、3つ目は「植え方」です。ただ植えただけでは花がさかないのはなぜなのでしょうか?
ライラックは接ぎ木で増やされるものが多いが、台木に栄養を吸われてしまうこともある
実はライラックは接ぎ木で増やされていることが多く、イボタノキが台木となっていることが多いです。そこで問題がでてくるのが、ライラックよりもイボタノキのほうが強健であることなのです。そのため、せっかくライラックを接ぎ木しても、台木となっているイボタノキに栄養が吸われてしまい、逆にイボタノキが成長して白い花を咲かせてしまうこともあります。こうなってしまうと、ライラックのほうに栄養がいかなくなり、花が咲かないだけでなく、ライラックのほうが枯れてしまう可能性もでてきてしまうのです。
対策:ライラックを継いだ部分まで植え込み、発根させる
このように接ぎ木したライラックが枯れてしまうことを防ぐため、必要なのは、ライラックを接ぎ木した部分までしっかりと移植してあげ、発根させることです。移植し、そこからしっかりと発根させてあげることで、ライラック自体の生育を促すことができるようになり、栄養をイボタノキのほうに吸い取られることが少なくなるでしょう。この時注意なのが、木自体を深植えしすぎないようにしましょう。また、台木から出てきた枝は見つけたら、その部分は剪定しておくようにしましょう。余計な栄養を使わせないことがポイントとなりますよ。
ライラックの花を綺麗に咲かせるお手入れのポイント
![ライラックの花を綺麗に咲かせるお手入れのポイント](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0572/9157/1243/files/25218085_s_1b20b14a-cb95-4ff9-8343-6d8f324a6b04_480x480.jpg?v=1720212669)
ここまで、ライラックの花が咲かない原因について解説してきました。続いては、そのライラックの花をきれいに咲かせるためのお手入れのポイントについて解説していきたいと思います。花が咲かない原因が分かったのであれば、そのポイントを守りつつ、お手入れをすることできれいな花を咲かせてくれるようになるでしょう。
花がら摘み:咲き終わった花を摘み取る
まず、ライラックの花が咲き終わったら、花がら摘みをしてあげましょう。花がら摘みとは、咲き終わった花を摘み取る作業のことを指します。
そのままにすると翌年の花つきが悪くなる
ではなぜ、花がら摘みをしてあげないといけないのでしょうか。それは、花をそのままにしておくと、タネができてしまい、翌年の花付きが悪くなってしまうからです。花を楽しんだ後は、しっかりと花がら摘みの作業を行いましょうね。
方法:付け根から枝を切り落とす
さて、花がら摘みの作業の方法ですが、花が咲き終わった枝の付け根から切り落とします。見分け方は枝分かれした部分の花穂の下あたりです。この時、中途半端に枝を残してしまうと、その枝に残った葉っぱが枯れてしまうので、思い切ってカットしてあげてください。
剪定:枝を切る作業
花がら摘みの他に必要な作業は剪定です。剪定とは「枝を切る作業」の事を挿します。ライラックにとって剪定をしてあげることは翌年もきれいな花を咲かせることに繋がりますよ。
成長が遅いため、強い選定は避ける
ただ、ライラックの成長はとても緩やかで、植え付けてから2~3年経って初めて花が咲き始めるようになります。また、芽を出す力もそこまで強くありません。そのため、強剪定といって、バッサリと刈り込む剪定で枝をたくさん落としてしまうと、花が咲かないどころか、ライラック自体が枯れてしまう原因にも繋がってしまいます。
方法:込み合った枝や枯れ枝を切り落とす
ライラックに行う剪定は、強剪定のような強い刈り込みを行うのではなく、木全体を見て、混み合った枝や枯れている枝を切り落とす程度の剪定で十分でしょう。全体をみて枝があまり混み合ってなかったり、伸びすぎた枝がないのであれば、無理に剪定を行う必要もありませんよ。
肥料の与え方
また、肥料の与え方にも少し工夫が必要になります。
時期:3から4月頃と花後の6月に
ライラックに肥料を与える時期は、3月~4月ごろ、それと花後の6月の時期が適期となっています。このとき使う肥料は有機性肥料でも緩効性肥料でもどちらを使用しても問題はありません。
方法:根元から半径1メートルの場所に溝を作りすきこむ
肥料を与える方法として、根元から半径1メートルの場所に溝を作って、そこへ肥料と一緒に腐葉土や牛ふん、堆肥などもすき込んであげるとよいでしょう。鉢植えで育てているのであれば、ふちの部分の土に肥料をすきこんであげましょう。
ただし、ライラックに肥料を与えすぎたり、逆に足りなくなさすぎたりしないように注意してあげてください。ライラック自体は肥料をあまり必要としない花木でもあります。肥料を与えすぎたら、株が弱る原因となってしまったり、病気になりやすくなったり、害虫を呼び寄せてしまう原因にもなったりします。
ライラックの花を咲かせる花芽と剪定して、良い葉芽を見極めよう
![ライラックの花を咲かせる花芽と剪定して、良い葉芽を見極めよう](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0572/9157/1243/files/2359151_s_57aa381e-145a-455e-b897-0a5bfbf5d326_480x480.jpg?v=1720537185)
ここまで、ライラックの花が咲かない原因について詳しく解説してきました。また、紹介をしてきた中で、ライラックの剪定についても紹介してきましたが、花が咲かない原因として、剪定したときに間違えて花芽を切ってしまうこともあるということを紹介しました。ここからは、剪定をするときに、花を咲かせる花芽と剪定してもよい葉芽の見極め方について解説していきたいと思います。
花芽は夏の間にでき、ぷっくりと丸みを帯びている
では、まず花芽について紹介していきたいと思います。花芽とは、その名の通り、ライラックが翌年の開花に向けて、花を咲かせるため、また実になるものを指しています。花芽は先ほども書きましたが、花が終わった後の枝にできるため夏の間に増えていきます。その見た目は、ぷっくりと丸みを帯びた形をしているのが特徴となっています。
また、花芽とつぼみは何が違うのか?という疑問もあると思いますが、花芽は枝や葉っぱにできる植物の発達途中にできている芽という意味に対し、その芽が膨らみ、開花に向けて育ってきたものを「つぼみ」と呼ぶそうです。つまり、花芽は成長するとつぼみになり、それが開花して花になるという一形態となっているわけです。
葉芽は、平べったい特徴がある
花芽に対し、葉芽は花芽との見た目はパッと見た限りではほぼ一緒にしか見えません。そのため、詳しくない人が剪定をしてしまうと間違えて刈ってしまうことが多い原因となるわけです。葉芽の見た目は花芽よりも平べったくなっており、細長くて尖っているのが特徴です。葉芽は花芽と同じように茎や枝からできた芽から葉っぱとなり、やがて枝になっていきます。
これらを剪定で見分けるとき、とてもよく似ているので、盆栽などを育てている職人さんとかでない限りは見極めるのは難しいかもしれません。パッと見て、膨らんでいるから花芽かもしれない、細長いから葉芽かもしれない、くらいの感じでしか見分けはつきにくいかもしれません。
そのため、剪定をする時期は、花が咲き終わった夏が始まる前にしておくことが重要となってきます。7月~8月になると花芽はできてきますので、それまでに剪定を終えておき、枝はしっかりと伸ばしておくことがポイントとなってきますよ。ただ、ライラック自体はそこまで芽吹いて枝数が増えていく植物ではありませんから、剪定自体は必要となる樹木ではありませんが、高温多湿に弱いため、ある程度の剪定はしておきましょう。
まとめ
今回は、ライラックの花が咲かない原因について記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?今回の記事のポイントとして
- ライラックの花が咲かない原因は「花芽を切ってしまった」「夏の暑さ」「ライラックの植え方」にある可能性
- ライラックの花をきれいに咲かせるお手入れ方法は「剪定」「花がら摘み」「適した肥料の与え方」にある!
- 花芽は「ぷっくりと膨らんでいる形」、葉芽は「平べったくて細長くとがっている形」をしているため、剪定するときはしっかりと見極める必要がある!
ということを重点に置いて解説してきました!もし、ライラックを育てていて、うまく花が咲かないな、と困っている人はぜひこの記事を参考にしてみてはいかがでしょうか!
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。