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自然に樹形がまとまることから庭木として人気のあるヤマボウシ。しかし、ヤマボウシの木は高木ですから剪定せずに放っておくととても大きく成長します。そのため、ヤマボウシの高さを抑えて美しい見た目を保つためには剪定が欠かせません。
この記事では、
- ヤマボウシの特徴
- ヤマボウシの剪定は必要?
- ヤマボウシの剪定に適した時期
- ヤマボウシの剪定の仕方
- 剪定にあたって注意するポイント
- 剪定後のヤマボウシのお手入れのコツ
- 失敗したくない場合のもうひとつの選択肢
についてわかりやすく丁寧に解説します。
この記事を読めば、ヤマボウシの剪定に適した時期や剪定の仕方、剪定にあたって注意するポイントを知って、ヤマボウシの高さを抑えて美しい見た目を保つことができるようになります。ヤマボウシの剪定方法だけでなく、剪定後のヤマボウシのお手入れのコツや剪定で失敗したくない場合のもうひとつの選択肢なども解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
そもそもヤマボウシとはどんな植物?
最初に、ヤマボウシという植物について解説します。庭木として人気のあるヤマボウシですが、どんな特徴を持った植物なのでしょうか。
ヤマボウシは6月から7月に白い花を咲かせる落葉樹
ヤマボウシはミズキ科ミズキ属の落葉樹です。6月から7月にかけて白い花を咲かせます。3月から花芽がつきはじめ、早いものは5月には花を咲かせ始めます。また、落葉樹ですから秋になると紅葉を楽しむことができます。
庭のシンボルツリーとしても人気がある
ヤマボウシは樹形が自然と整いやすいことから、オープン外構などガーデンデザインによく用いられます。オープン外構としてだけでなく、ヤマボウシは大きく成長することから庭のシンボルツリーとしても人気があります。もともと日本に自生する樹木ですから、ナチュラルガーデンにも向いています。
ヤマボウシの木はとても大きく成長する
ヤマボウシは樹高10メートルから15メートルほどまで育ちます。とても大きく成長しますから、庭木として植える場合には十分なスペースが必要となります。ただし、これから植えるのであれば「株立ち」という方法でヤマボウシの高さを抑えることもできます。株立ちとは、複数の幹を立ち上げることによってそれぞれの幹が太くなりすぎないように育てる手法です。
ハナミズキと非常によく似ている
ヤマボウシと非常によく似ている植物に「ハナミズキ」があります。ハナミズキはヤマボウシと同じミズキ科ミズキ属の植物ですが、ヤマボウシは古くから日本に自生する植物、ハナミズキはアメリカ原産の植物です。
ヤマボウシに剪定は必要!
ここでは、ヤマボウシの剪定の必要性について解説します。樹形が整いやすい性質を持つヤマボウシですが、剪定せずに放っておくとどうなるのでしょうか。
ヤマボウシは成長が速いため剪定が必要
ヤマボウシが庭木として人気のある理由のひとつが、自然と樹形が整いやすい性質を持っていることです。とはいえ、樹形が整いやすいからといってヤマボウシは剪定が一切不要というわけではありません。ヤマボウシは樹高10mから15mほどまで大きく成長する高木で、成長が早いですから定期的な剪定が必要になります。
ヤマボウシを剪定しないとどうなるのか?
ヤマボウシは樹高10m以上に大きく成長する高木ですから、剪定せずに放っておくと大きく育ちます。大きく成長しすぎると植物の管理は難しくなるため、特に大きく育てたい場合を除いて剪定を行って樹形をコンパクトに保つことがおすすめです。混み合った枝や葉を定期的に剪定することによって、風通しや日当たりが良くなり、健康的で美しい状態を保つことができます。
いつ剪定する?ヤマボウシを剪定する時期を解説
ここでは、ヤマボウシの剪定に適した時期について解説します。ヤマボウシはいつ頃剪定を行うと良いのでしょうか。
ヤマボウシの剪定は11月から2月の間がおすすめ
ヤマボウシの剪定は、休眠期にあたる11月から2月の間に行うことがおすすめです。落葉後の方が剪定作業が楽になるため、落葉する11月、12月を待ってから剪定するとよいでしょう。また、3月から4月にはヤマボウシが花芽をつけます。花芽がついた枝を剪定すると花が咲かなくなりますから、2月までに剪定を済ませます。
4月や5月の春から夏の期間は剪定してはいけない
庭木としてヤマボウシを植えるからには、美しく咲く花を楽しみたいですよね。花期に花を楽しむためには、花が咲くことを妨げないように剪定を行うことが基本です。ヤマボウシは3月から4月にかけて花芽をつけて、6月から7月にかけて特徴的な白い花を咲かせます。たくさんの花を楽しむためにも、4月や5月の春から夏の期間の剪定は避けましょう。また、9月から10月にはヤマボウシは実をつけますから、9月、10月の剪定は避けてヤマボウシの赤い実を楽しんでみてはいかがでしょうか。
形を整えるための剪定は気づいたときに
ヤマボウシの剪定は休眠期にあたる12月から2月の間に行うことが基本です。ただし、風通しや日当たりを良くするための軽い剪定はヤマボウシにそれほど負担がかかりません。ですから、形を整えるための軽い剪定は気づいた時に通年行うことができます。剪定に適した時期を待っているとうっかり剪定を忘れてしまうことがありますから、風通しや日当たりを良くするための軽い剪定は気づいたときに済ませてしまいましょう。
どこを切る?ヤマボウシの剪定の仕方を解説
ここでは、ヤマボウシの剪定の仕方を解説します。ヤマボウシの剪定に適した時期は11月から2月にかけてですが、ヤマボウシの剪定ではどこを切るのが良いのでしょうか。
地面から3mくらいの高さの場所で芯止めをする方法が一般的
放っておくと大きく成長しすぎるヤマボウシですが、高さを抑えるための剪定は地面から3mくらいの高さの場所で芯止めをする方法が一般的です。芯止めとは、主幹を一定の高さで剪定して高さを抑える手法です。主幹が太くなってからでは剪定も大変ですから、主幹が細いうちに芯止めを行うとよいでしょう。
枯れ枝や徒長枝、車枝などを中心に剪定する
日当たりや風通しを良くするために、混み合った枝を剪定して樹形を整えることも大切です。どこを切るか迷う場合には、全体的に球や円錐のかたちをイメージしながら剪定を行うと美しく仕上がります。剪定にあたっては、枯れ枝や徒長枝、車枝などを優先して剪定しましょう。徒長枝とは上に向かってまっすぐに伸びる細い枝、車枝とは先端がたくさん枝分かれしている枝のことです。
ヤマボウシを剪定する際の注意点
ここでは、ヤマボウシを剪定する際の注意点について解説します。剪定する際に失敗しやすいポイントを知っておけば、失敗を避けることができます。
花芽や葉芽のついた枝を剪定しないように注意する
花芽や葉芽のついた枝には、これから花や葉っぱがつきます。花芽や葉芽のついた枝を剪定するとそれらの花や葉っぱがつかなくなりますから、花芽や葉芽のついた枝を剪定しないように注意しましょう。なお、ヤマボウシは3月から4月にかけて花芽をつけますから、2月までに剪定を済ませることによって花芽のついた枝を切り落とす失敗を避けることができます。
小さく剪定しすぎないように注意する
ヤマボウシの高さを抑えるための剪定は、3メートルほどの高さで芯止めを行うことが基本です。小さく剪定しすぎるとヤマボウシへの負担が大きいため、弱って枯れてしまうことがあります。剪定に適した時期であっても、小さく剪定しすぎないよう注意しましょう。
剪定した後のヤマボウシのお手入れのポイント
ここでは、剪定した後のヤマボウシのお手入れのポイントについて解説します。剪定によってヤマボウシに負担がかかりますから、剪定した後にはポイントを押さえてしっかりとお手入れしてあげましょう。
ポイント①栽培環境・置き場
ヤマボウシの栽培に適した場所は、日がよく当たるやや乾燥した場所です。剪定後にはヤマボウシの好む栽培環境を整えてあげることがポイントです。
日がよく当たるやや乾燥した場所
ヤマボウシは日がよく当たるやや乾燥した場所を好みます。湿気が苦手ですから、日陰でジメジメとした場所は避けましょう。ジメジメした場所に置くと剪定のダメージから回復に時間がかかるだけでなく、根腐れを起こす可能性もあります。
西日の当たらない室内
室内で栽培する場合には、日がよく当たる場所を選ぶことが大切です。しかし、ヤマボウシに負担がかかるため西日が当たる場所は避けることがポイントです。
ポイント②水やり
水やりの方法は、庭植えの場合と鉢植えの場合で異なります。庭植えの場合は水やりの心配はありませんが、鉢植えの場合はしっかりと水を与える必要があります。
庭植えの場合は、水やりの心配はない
ヤマボウシを庭植えで育てる場合には、基本的に水やりの心配はありません。しっかりと根を張っていれば地中から水分を吸収することができますから、剪定した後だからといって特に水を与える必要はありません。
鉢植えの場合は、夏の水やりを朝のうちに行う
ヤマボウシを鉢植えで育てる場合には、土が完全に乾いたらたっぷりと水を与えることが基本です。夏の日中は日差しが厳しく気温が高くなりますから、夏の時期には鉢の中が蒸れるのを防ぐために、暑い日中は避けて朝のうちに水を与えることがポイントです。なお、受け皿に水を溜めたままにしておくと根腐れなどトラブルの原因になりますから、水やりを行った後は受け皿の水を捨てるようにしましょう。
ポイント③肥料
剪定した後のヤマボウシは、適切なタイミングで肥料を与えることによって剪定のダメージから速やかに回復して元気に育ちます。
冬期から早春に施肥
ヤマボウシには、冬期から早春にかけて施肥します。緩効性肥料や有機肥料を与えましょう。
肥料を与えすぎないように注意する
肥料を与える時には、規定の量を与えるようにします。肥料を与えすぎると肥料焼けを起こすことがあり、元気になるどころか逆効果になります。
ポイント④病気と害虫
ヤマボウシで気を付ける病気は、うどんこ病です。害虫は、まれにカミキリムシの幼虫の被害があります。
うどんこ病に注意
ヤマボウシは病気にかかりにくい植物ですが、うどんこ病には注意が必要です。うどんこ病は、葉っぱがうどんこのような白い粉が付着する病気です。カビが原因の病気ですから、梅雨など湿った環境が続くと発生します。うどんこ病の対策としては、剪定を行って風通しと日当たりが良い環境を整えることが大切です。特に、梅雨や秋雨などジメジメとした時期に注意が必要な病気です。
まれなケースだが、カミキリムシの幼虫に注意
ヤマボウシは害虫がつきにくい樹木ですが、まれにカミキリムシの幼虫による食害に合うことがあります。カミキリムシの幼虫は幹や枝の中を食べるため、幹や枝に小さな穴が開きます。幹や枝に小さな穴が開いて穴から木くずが出ていたらカミキリムシの幼虫による食害が疑われます。見つけたら被害が広がる前に、速やかに駆除しましょう。
失敗したくない場合は、業者に依頼するのも手
ここでは、ヤマボウシの剪定を業者に依頼する方法について解説します。剪定で失敗したくない場合には、費用はかかりますが業者に依頼することも有力な選択肢です。
剪定を業者に依頼した際の費用は?
ヤマボウシの剪定を業者に依頼する場合には、費用がかかります。木の高さによって1本いくらという決め方が多いですが、3メートル未満の低木であれば1本あたり3,000円〜5,000円ほどが相場です。木の高さが5メートル未満の中木は5,000円〜10,000円ほど、5メートル以上の高木は10,000円以上かかります。木が高くなるほど費用も増えますから、剪定によってヤマボウシの高さを抑えれば剪定費用を節約することができます。
剪定料金を安く抑えるには複数の業者に見積もりをするのが重要
剪定料金は業者によって違いがありますから、剪定料金を安く抑えるためには複数の業者に見積もりを依頼することがポイントです。また、葉っぱがない方が剪定作業に手間がかかりませんから、落葉樹のヤマボウシは葉っぱが落ちている冬の時期に剪定する方が費用を抑えることができます。料金を抑えたい場合には、業者に料金を安く抑える方法を質問してみるのもよいでしょう。質問すれば、安く施工できる時期など教えてもらえるかもしれません。
まとめ
ここまで、ヤマボウシの剪定に適した時期や剪定の仕方、剪定にあたって注意するポイントから、剪定後のヤマボウシのお手入れのコツや剪定を業者に依頼する方法など詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか。
この記事のポイントは、
- ヤマボウシはハナミズキによく似たミズキ科ミズキ属の高木で、とても大きく成長する。6月から7月にかけて白い花を咲かる落葉樹で、庭のシンボルツリーとして人気
- 樹形がまとまりやすいヤマボウシも剪定は必要。成長が速いヤマボウシを剪定せずに放っておくと大きくなりすぎて管理が困難になる
- ヤマボウシの剪定に適した時期は、休眠期にあたる11月から2月の間がおすすめ。ただし、風通しや日当たりをよくするための軽い剪定はヤマボウシへの負担が重くないため気づいたときにやってもよい
- ヤマボウシの剪定の仕方は、高さを抑えるため地面から3mくらいの場所で芯止めをする方法が一般的。日当たりや風通しを良くするために混み合った枝を剪定して樹形を整えることも大切で、枯れ枝や徒長枝、車枝などを中心に剪定する
- 剪定にあたって注意するポイントは、①花芽や葉芽のついた枝を剪定しないこと、②小さく剪定しすぎないこと
- 剪定後のヤマボウシのお手入れのコツは、①日がよく当たるやや乾燥した場所で栽培する、②鉢植えの場合は土が乾いたらたっぷりと水を与える、③冬期から早春に施肥する、④うどんこ病やカミキリムシの幼虫の食害に注意する
- 失敗したくない場合には剪定を業者に依頼する選択肢もある。料金にばらつきがあるため、剪定料金を安く抑えるためには複数の業者から見積もりをとるとよい
でした。
自然に樹形がまとまることから庭木として人気のあるヤマボウシですが、高さを抑えて美しい見た目を保つためには剪定が欠かせないことがわかりましたね。この記事で紹介した剪定に適した時期や剪定の仕方、剪定にあたって注意するポイントを押さえて、上手にヤマボウシの剪定を行ってみてください。なお、大きく育ったヤマボウシを剪定するためには高所での作業を伴うことがありますから、心配であれば見積もりをとって業者に剪定を依頼するのもおすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。