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みなさんはヤマボウシという植物をご存じですか?開花期には白と緑の美しいコントラストを楽しむことができ、樹形も美しいため街路樹としても良く栽培されているため見たことがあるという方も多いかもしれませんね。
庭木としても植えられることのあるヤマボウシは主に花を楽しむ園芸植物です。しかし、ヤマボウシの花が咲かないというトラブルに見舞われる方が多いようです。ヤマボウシを庭木として育てるのであれば、たくさん花を咲かせて眺めて楽しみたいですよね。
今回は、
- そもそもヤマボウシとはどのような植物なのか
- ヤマボウシの花が咲かない理由と原因
- 花が咲かないヤマボウシを開花させる方法
- 花が良く咲くヤマボウシの育て方と管理のコツ
について解説いたします。
この記事を読むことでヤマボウシの花が咲かない理由や、花を沢山咲かせるために必要な管理の方法を知ることができます。ヤマボウシを育てていて花が咲かないと悩んでいる方や、ヤマボウシの上手な育て方を知りたい方の回答となり、とても役に立つことでしょう。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
そもそもヤマボウシってどんな植物?
そもそもヤマボウシとはどのような植物なのでしょうか。街路樹や公園の植木、庭木として植えられることが多いため実際に見たことがある方も多いと思います。名前は分からなくてもインターネットなどで写真を見ることできっと見たことがあると感じるでしょう。まずはヤマボウシについて知っておきましょう。
ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属に属する庭木
ヤマボウシはミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属に属する植物です。ヤマボウシの原産地は日本や中国といったアジアのため、日本の気候に適応しておりとても育てやすいことが庭木としても人気が高いポイントとなっているようです。ヤマボウシという名前は花の形が比叡山の山法師が身に着けている白い頭巾に似ていることからつけられていると言われています。
また、ヤマボウシは白い花だけでなく気温が下がってくる11月頃になると秋らしい紅葉を楽しむこともできるため四季の移ろいを楽しむことができる点もおすすめしたいポイントです。開花後には実をつけ、その実は調理して食べることができます。ぜひ食べてみてくださいね。
ハナミズキによく似た植物
ヤマボウシはハナミズキにとてもよく似た植物でもあります。ハナミズキもヤマボウシと同様ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属に属する植物のため、好む環境や管理のポイントも似ていますよ。花びらの形や開花時期の違いはあるもののぱっと見では見分けることが難しいかもしれませんね。
ハナミズキの花びらは丸みを帯びているのに対し、ヤマボウシの花びらは鋭いという特徴があります。樹高もハナミズキよりもヤマボウシの方が高くなりやすいと言われています。また開花期にもずれがありハナミズキの開花時期が4月~5月なのに対しヤマボウシの開花時期は5月~6月と1ヶ月ほど遅れて開花します。ハナミズキとヤマボウシを並べて育てると長く花を楽しむことができるためおすすめですよ。
大きく育つ庭木として人気がある
ヤマボウシは特に剪定をしなくても樹形が整いやすく、なおかつ先ほど記載した通り四季を感じられる花や紅葉を楽しむことができることからガーデニングにおいて庭木として人気があります。樹高が10~15mになることもあり、広いお庭の場合でも存在感があるためシンボルツリーとして植えるのがおすすめですよ。もちろん、剪定の方法によっては高さを抑えることもできるためコンパクトに育てたい方にもおすすめです。特に鉢植えで栽培することで樹高をかなり低く抑えることができますよ。植えつけるスペースがあまりない場合でも工夫次第でヤマボウシの栽培が可能なため挑戦してみてくださいね。
ヤマボウシの花が咲かない原因は?
ヤマボウシは基本的にあまり手がかからない庭木として知られているものの、まれに花が咲かないことがあるようです。下記ではなぜヤマボウシの花が咲かないのか、その理由や原因について解説いたします。
花が咲かない場合、花芽を切ってしまっていることが多い
ヤマボウシの花が全く咲かない場合、剪定によって花芽をすべて切ってしまっていることがあります。ヤマボウシの花芽は7月下旬~8月にできるため、開花時期と非常に近いです。そのため今年咲いた枝に対し開花後すぐに剪定を行うと花芽を切り落としてしまいやすいため、剪定を行う際は1月~2月に行うようにしましょう。また、剪定の際はスリムな葉芽を優先して切り落とし、丸みのある花芽を切り落とすことがないように注意しながら行うようにしましょう。
花芽がどのようなものか分からない場合はインターネットでヤマボウシの花芽の写真を確認すると良いでしょう。個体によっては葉芽と花芽の違いが分かりにくい場合もあるため業者に頼んでしまうのも一つの手です。
日照不足や肥料不足
ヤマボウシは日当たりが良く肥えた土壌を好みます。あまりに日当たりが悪い場所ややせた土地の場合開花するためのエネルギーが足りず花芽がつかない、花芽が付いたとしても開花しない場合があります。日照不足や肥料不足が原因で花が咲かない場合、ヤマボウシが植えられている環境を確認してみたり、肥料を与えるなどの管理によって改善する可能性があります。剪定に問題がないのにもかかわらず花が咲かないと悩んでいる方はヤマボウシを育てている場所の環境を確認してみてはいかがでしょうか。
木が若くて花が咲かないだけ
または単純に木が若く花を咲かせるほど成熟していない場合があります。特に小さな苗木から育てた場合や植えつけて数年の間は木が成熟しきっておらず花芽をつけない場合があります。今まで一度も花を咲かせたことがなく、環境や管理に問題がない場合は気長に栽培を続けてみてくださいね。なお、ヤマボウシは4年ほど育てても花が咲かない場合があるようです。実がつくまでは7年かかるとも言われるため、早く楽しみたい方はできる限り成熟した大きめの苗木を植えると良いでしょう。
花が咲かないヤマボウシを復活させる方法は?
花が咲かないヤマボウシを復活させるためにはどのような管理が必要なのでしょうか。下記では花が咲かないヤマボウシの花を咲かせるための方法について解説いたします。ヤマボウシの花が咲かなくて困っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
適切な剪定をしっかりとおこなう
まずは適切な剪定をしっかり行いましょう。ヤマボウシは剪定を行わなくても樹形が整いやすい植物ではあるものの場合によっては茂りすぎてしまい日当たりや風通しが悪くなることがあります。特に茂りすぎてしまうと病気になりやすいだけでなく、花芽に栄養が渡らず花を咲かせにくくなってしまうため軽めの剪定を行うことで花を咲かせるようになる場合があります。
ヤマボウシの剪定におすすめの時期は真冬の1月~2月です。常緑山法師でない場合基本的には落葉しているため剪定のストレスを最大限小さくすることができますよ。伸びすぎた枝や枯れた枝など、不要な枝を根本から切断しましょう。不自然な樹形にならないように全体を確認しながら剪定を進めることが成功のコツです。芽がついている方向を確認しながらどのように枝が伸びていくのかを予想して剪定をすると綺麗に仕上がります。
また、剪定をする時には花芽を切り落とさないようにすることも重要です。丸みを帯びた芽はヤマボウシの花芽のため、そのような芽をすべて落としてしまうと花が咲かなくなります。反対に葉芽は多く残しすぎるとエネルギーを奪われるためバランスを見て落としてあげると良いでしょう。剪定の際は枝についている芽の形も意識してみてくださいね。
日当たりのいい場所で適度な肥料をあげる
ヤマボウシは日当たりの良い環境を好む樹木です。ただし西日が良く当たる場所では葉焼けを起こしてしまうことがあるため避けるようにします。また、肥料を与えることも大切です。冬~春先にかけて寒肥えを与えるようにします。この時、極端に窒素分の多い肥料を多く与えてしまうと枝や葉っぱばかりがついて花が咲きにくくなってしまうため注意が必要です。
花をしっかりと咲かせるヤマボウシの育て方
せっかくヤマボウシを育てるのであれば花を沢山咲かせて楽しみたいですよね。下記ではヤマボウシの花をしっかりと咲かせるための育て方について解説いたします。ヤマボウシをあまり育てたことがない方はもちろんのこと、ヤマボウシをこれから育ててみようと考えている方はきっと役に立ちますよ。
①日当たりのいい乾燥した場所や、西日の当たらない室内で育てる
ヤマボウシが花を咲かせるためには光合成を行う必要があります。そのため、ヤマボウシを育てる時には日当たりの良い場所を選ぶようにしましょう。日当たりの悪い場所では花が咲きにくくなるだけでなく徒長しひょろひょろとした見た目になる、病気や害虫に弱くなるなどの問題が発生します。
また、ヤマボウシはどちらかというと乾燥した環境を好む樹木です。あまりにもジメジメとした場所は病気の原因になったり、根腐れを起こすことがあるため極力避けるようにすると良いでしょう。または日当たりの良い、西日の当たらない室内でも育てることができます。こちらの場合も日当たりの良い場所を選ぶようにしましょう。
②鉢植えの場合は夏の水やりを朝のうちに行う
ヤマボウシを鉢植えで育てている場合水やりを行う必要があります。特に夏場の水やりの時には朝のうちに行うことがポイントとなります。夏場は水やりの時間が不適切だと鉢の中で水が熱されて、根が傷んでしまうことがあります。そのようなダメージを負ってしまうとヤマボウシは花を咲かせにくくなってしまうため水やりの方法やタイミングも意識するようにしましょう。
水をやるタイミングは土が乾燥してから行います。土が乾ききっていないうちに水を与えてしまうと過湿により根腐れを起こすため避けましょう。水は鉢底から流れ出すまでたっぷりと与えることで鉢内の老廃物を洗い流すことができます。正しい水やりをして元気にヤマボウシを育ててみてくださいね。
③冬期から早春に施肥するが、与えすぎないように注意する
ヤマボウシに肥料を与えるタイミングは11月~3月の冬期~早春です。しかし、あまりに大量に肥料を与えすぎると肥料焼けを起こして根を傷めてしまうことがあります。また余分な肥料は茂りすぎの原因となり花が咲きにくくなるため適量の肥料を土に混ぜ込んで与えるようにしましょう。
おすすめの肥料はリン酸を多く含んだ化学肥料や油かすです。緩効性の肥料を与えることで肥料焼けを起こしにくく長期間に渡って効果が持続しますよ。与える時には根のはっている範囲の際で囲むように溝を掘り肥料を土に混ぜ込むと効果が高いと言われています。
④うどんこ病やカミキリムシの幼虫などに注意する
ヤマボウシは基本的には病気や害虫の発生が少ない植物です。しかし、不適切な場所で栽培しているとうどんこ病やカミキリムシの幼虫などが発生する場合があります。うどんこ病は葉っぱに白い粉っぽい斑点が現れる病気です。カビが原因の病気で風通しが悪い環境や湿度が高くなる梅雨に多い病気です。酷くなると葉っぱが枯れてしまい光合成ができず花を咲かせるエネルギーが作れなくなってしまいます。
また、カミキリムシの幼虫は根本の幹から内部へと食い荒らし最悪の場合ヤマボウシの木を枯らしてしまうことがあります。枯らさない場合でもエネルギーや水の輸送に大きな影響を与えるため開花しなくなる原因にもなります。幹の根本に小さな穴が開いている場合はカミキリムシの幼虫が侵入している可能性があります。こまめに観察して早期に侵入に気づくことがポイントです。そのような穴を見つけた場合はカミキリムシによく効く薬剤などを穴に噴射して殺虫しましょう。また冬眠中は薬剤が効きにくいため数回に分けて噴射することをおすすめします。
ヤマボウシの花が何年も咲かない場合は?
ヤマボウシを何年も育てていても花が咲かないと悩んでいる方はいらっしゃいませんか?ヤマボウシを長い間育てているのにもかかわらず花を咲かせない場合には今回の記事で解説したポイントと照らし合わせてみると良いかもしれません。
基本的には若くて咲かないだけな可能性が高い
ヤマボウシの花が咲かないほとんどの原因は木がまだ若く花を咲かせるほど成熟していないというものが多いです。ヤマボウシ自体成熟するまで比較的長い年月がかかる樹木であるのに加えて、植えつけて数年の場合や植えつける場所を変えた時、大きな剪定の後などは一時的に株が若返ったり環境に適応するために花が咲かない、花の数が極端に少なくなる場合があります。そのため、植えつけてみてから数年同じ環境で栽培してみると徐々に花を咲かせるようになる場合がありますよ。
2年以上咲かない場合は植える場所を変えたりして対応する
もしも2年以上花が咲かない場合は何か理由があると考えられます。植えつける場所を変える、剪定の方法を再確認する、肥料の与え方を変えてみるなどの工夫をこの記事を参考にして行うことで花を咲かせるようになる場合があります。ガーデニングは試行錯誤することが成功への近道です。様々な管理を試してみて、ヤマボウシの花を咲かせてみてくださいね。
まとめ
今回はヤマボウシの花が咲かない理由やヤマボウシの花を咲かせるための育て方について解説いたしました。ヤマボウシの花を咲かせるには元気にヤマボウシを育てることがポイントということが分かりましたね。ヤマボウシを育てているものの花が咲かない、ヤマボウシを上手に育てたいという方の参考になれば幸いです。
この記事のポイントは、
- ヤマボウシは風通しと日当たりが良い環境や肥料の含まれた土を好む
- ヤマボウシの花が咲かない理由として木が若い、花芽を切り落としている、日当たりが悪いなどが挙げられる
- 不要な枝や茂りすぎた枝を剪定することで日当たりや風通しを良くすると良い
- ヤマボウシはうどんこ病やカミキリムシなどの病気や害虫に注意する必要がある
です。
ヤマボウシの花を咲かせるためのポイントや花が咲かない原因について知ることができましたか?ぜひこの記事を今年からのヤマボウシの栽培に役立ててみてくださいね。分からないことや質問がある時には東京寿園にあるほかのヤマボウシに関する記事をよんでみるのもおすすめです。
最後になりましたがここまで読んでいただきありがとうございました。東京寿園では庭木だけでなく鉢花や観葉植物、切り花などガーデニングや園芸についての記事を多く掲載されています。植物の育て方が分からない、おすすめの植物を知りたいなどといった質問や疑問に対応する回答が記された記事が沢山掲載されているため、ぜひほかの記事も読んでみてくださいね。