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秋になると金木犀の甘い香りが漂ってくる季節ですね、全国各地でよく見かける秋の香りと風景です。実は金木犀が北海道で咲かないとご存じでしょうか。ガーデニング好き、読書好きの方、そして北海道の方は特に北海道にある金木犀を見てみたい、または甘い香りを感じてみたいと仰る方がとても多いんです。 そこでこの記事では
- なぜ北海道では金木犀が咲かないの?
- 金木犀(キンモクセイ)ってどんな植物?
- 北海道で金木犀が見れる場所はどこ?
- 金木犀の育て方
なぜ北海道では金木犀が咲かないの?
はじめに、なぜ北海道では金木犀が咲かないのでしょうか。金木犀が咲かない理由と金木犀の北限についてご紹介します。寒冷な地域では金木犀は育たない
金木犀は日本三大香木のひとつで、中国原産の木犀科の小高木です。チンチョウゲやクチナシと同じく香りのよい樹木として知られ、人気の高い街路樹や庭木で流通しています。また管理がしやすく、様々な場所へ植樹されています。 しかし耐寒性が低いため北海道などの寒冷地では越冬できません。加えて金木犀の開花や健康な生育に日照時間の長さが関係しています。つまり冬にくもり空が多く、日照時間の短い北海道では、金木犀が育ちにくく、開花が難しいといわれています。金木犀が日本で育つ最北限はどこ?
寒さに弱い金木犀は一体どこで育つのか最北限が知りたいですよね。神社や仏閣、公園や個人宅など、様々な場所で植樹されており、中には10mの大木にまで成長したものもあります。温暖な地域の西日本や九州、沖縄では広く分布しており、関東や東北では比較的暖かい地域で育つとされています。 しかしながら現在温暖化の影響で暖冬が進んだため、以前は東北以南が金木犀の北限と言われていましたが、最近では青森県まで栽培実績があるようです。金木犀が育ちやすい環境を作ることができれば、北海道でも見ることができそうです。金木犀(キンモクセイ)ってどんな植物?画像付きで解説!
香りや花はよく知っているけれど、実際に金木犀とはどんな植物なのでしょうか。画像付きで、何科などの分類や開花時期、主な生息地についてまとめました。- 金木犀は何科?
- 金木犀が咲く時期はいつから?
- 金木犀の花の匂いや香りを例えるとどんな匂い?何に似てる?
- 金木犀の生息地や自生している場所は?
- 金木犀が咲くと縁起が悪いって本当?
金木犀は何科?
金木犀はいったい何科なのでしょうか。金木犀は、中国原産のシソ目モクセイ科モクセイ属の常緑広葉樹の小高木です。樹高は4m~18mくらいまで成長します。葉はつやのある楕円形で、花は2cmほどの小さな花が密集して開花します。幹肌は白っぽくごつごつとしており、幹がまっすぐ伸びていく性質を持っています。硬い材木としても知られており、枝の表面をこするとほんのり甘い香りがします。 ところでどうして金木犀という名前なのかご存じでしょうか? 金木犀という名前は、樹皮がサイの足の形に似ていることからつけられました。まっすぐで太さがあり、白いところが似ていますね。江戸時代に中国から渡来し、オレンジ色の小さな花からは甘く良い香りがします。金木犀が咲く時期はいつから?
金木犀はいつから咲くかというと、早くて9月下旬~10月上旬までが見頃となっています。夏の台風が落ち着き、トンボが飛ぶようになったらなんだか甘い香りがする、そんな画像が記憶によみがえります。 秋は庭木や街路樹として人気の金木犀は、開花時期になると一気にオレンジ色の花と濃い緑色の葉のコントラストが見事です。同じモクセイ科の樹木に銀木犀があり、こちらは落ち着いた白い花を咲かせます。強い香りではありませんが、金木犀と同じくお茶やお酒の香りづけになるなど様々な楽しみ方がされています。金木犀の花の匂いや香りを例えるとどんな匂い?何に似てる?
ところで、金木犀の香りをやさしい香り、甘い香り、懐かしい匂いなど例えられることがあります。具体的にどんな匂いなのか調べてみました。 一番多かったのが、フルーツのような甘さに似てるというお答え。例えば柑橘や桃、乳製品のさっぱりとした甘さに似ています。これは金木犀の主な香り成分が、γ-デカラクトンという甘い桃やベリー、乳製品に含まれている成分と同じためです。金木犀の香りを嗅ぐと甘くておいしそうな香りに似てるでしょう。金木犀の生息地や自生している場所は?
金木犀の生息地や自生している場所は、日本の中で温暖な沖縄県や九州エリアでよく見られています。自生している金木犀とみられるものは、実は見た目が似てる違う品種の樹木だといわれています。野山に自生していない理由は、人工的に台木、挿し木で増やしたから。実は日本にある金木犀は雄株だけで、雌株がありません。たくさん花が咲いても果実がならないため実生で増えないんです。 金木犀の生育しやすい条件が、平均気温が一年通して高く日照時間の長い環境ですから、条件が合えば東北でも栽培できるでしょう。金木犀が咲くと縁起が悪いって本当?
金木犀が咲くと縁起が悪いという話を聞きますが、実は風水的には縁起が良いんです。縁起が悪いといわれるようになったのは、3つ理由が考えられます。 まず剪定の加減が難しいこと、香りが強いため苦手な人には向いていないこと、花言葉が「誘惑」「陶酔」など少し怖い言葉があることが挙げられます。金木犀の剪定はしないと樹高が高くなりすぎて管理が難しくなり、強剪定しすぎると花が咲かなくなります。香りで酔う人もいるため植える場所に注意が必要ですね。 実際に縁起が悪いと聞いたことがありませんから、おそらく管理面からそういわれるようになったのかもしれません。銀木犀とは?
金木犀と同じく知られているのが白い小花が咲く銀木犀です。モクセイ科モクセイ属の常緑性小高木で、樹高は3m~10mまで成長します。開花時期は9月~10月、金木犀よりも少し遅く咲き始めます。耐寒性耐暑性ともに普通のため金木犀よりも育てやすいでしょう。金木犀は銀木犀の突然変異といわれ、歴史は銀木犀の方が古いといわれています。 オレンジ色の花、甘い匂い、つるつるした葉の金木犀に比べて、銀木犀は白い色の花、やや控えめな匂い、ギザギザした葉っぱが特徴です。開花時期は、金木犀に比べて少し遅れて咲き始め、一気に咲かず少しずつ咲いていきます。北海道で金木犀が見れる場所はどこ?
北海道では見かけない金木犀を、実は見られる場所があります。札幌市で金木犀が見られる場所をご紹介します。札幌市 百合が原公園の室内 彼岸花も見れる
札幌市北区にある百合が原公園内、百合が原緑のセンターに併設されている温室で金木犀を見す。有料施設の室内温室は、大人1名につき入場料130円かかります。各種手帳をお持ちの方は入園時にご提示ください。休館日は月曜日、徒歩やバス、電車、車での来園が可能です。 広い園内では園内を一周するリリートレインがあって、一周約12分かけてのんびりと回ります。季節ごとにムスカリやシャクヤク、ルピナスなど様々な花が鑑賞できて楽しめます。 金木犀のある広々とした大きな温室の奥へ進むと、4本の金木犀と1本の銀木犀が栽培されており、北海道の気候では栽培しにくい彼岸花も見られます。秋には開花と香りを楽しめるでしょう。百合が原緑のセンター温室 入館料 :大人(高校生以上)130円、中学生は、学生手帳の提示が必要 開園時間:8:45~17:15 休館日 :月曜(月曜が祝日の場合は 次の平日) 住所 :北海道札幌市北区百合が原公園210 電話番号:011-772-3511 アクセス:JR学園都市線「百合が原駅」で下車約20分、バス地下鉄南北線麻生駅発百合が原公園前にて下車
秋が一番の見ごろ
百合が原公園内の金木犀と銀木犀の見ごろは、やはり秋です。9月末頃から開花し、10月上旬には秋一番の見ごろを迎えるでしょう。小花の様子はもちろん、甘い香りが室内いっぱいに広がり、彼岸花と合わせて秋を五感で楽しめる人気スポット。 秋のお彼岸シーズンである9月下旬は赤やクリーム色、薄いオレンジ色の彼岸花が、金木犀や銀木犀と温室で咲きそろいます。ぜひ北海道の秋を楽しみましょう。有料施設の開館時間は8:45~17:15、月曜日が休館日です。ぜひ足を運んでみたいですね。東北でも志波彦神社(宮城県)で金木犀は見ることができる
北海道以外で特に金木犀が美しいスポットがあります。宮城県塩竃市にある志波彦神社の拝殿前に大きな金木犀が植えられています。志波彦神社の御祭神は志波彦大神で、農耕守護や殖産、国土開発の神として伝えられています。 毎年7月は日本三大船祭の塩竃みなと祭がにぎにぎしく行われ、縁日や花火など大変盛り上がります。秋に金木犀を見に行く際は、本殿へ参拝してからぜひご覧ください。300台ほどの無料駐車場が利用可能です。 名神大社のひとつとして格式高い神社で、秋の満開時期になると朱黒漆塗りのお社、塩釜港や松島との眺めが見事です。甘い香りに包まれた境内散策は、参拝したあとルールを守って楽しみましょう。金木犀の育て方
北海道でも温室なら金木犀の栽培が可能だと分かったところで、基本的な育て方を解説します。育て方のポイントを押さえていれば簡単に育てることが可能ですよ。 用土や肥料、水やりのほか、苗木を選ぶポイントなどをまとめました。ぜひ参考になさってください。- 水はけの良い土を用意する
- 鉢植えで育てる時は小さい苗木を選ぶ
- 栄養価の高い肥料を用意し定期的に追肥をする
- 土の乾燥に気をつけながら水やりをする
- 大きく育ったら植え替えをする
水はけの良い土を用意する
金木犀は栄養が豊富で水はけの良い土を好みます。地植えの場合、やや湿り気のある状態がいいですね。腐葉土や堆肥を混ぜ込みましょう。腐葉土が入ると保水性が高まり、水はけが若干悪くなりますから、砂質、粘土質が3割ほど入っているのがおすすめ。 鉢植えの場合、水はけを良くするため鉢底へ鉢底石を敷きつめ、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜてください。もし配合に迷ったら、市販の園芸用培養土を用意して植え付けます。 もし栽培して2年目以降、培養土の水持ちが悪い、水はけが悪いと感じたら適切な用土を足すことで改善可能です。水持ちが悪い場合は堆肥や腐葉土、水はけが悪い場合は赤玉土や鹿沼土を足すといいでしょう。鉢植えで育てる時は小さい苗木を選ぶ
金木犀の剪定のし過ぎ、しなさ過ぎは株が弱る原因にもなります。そのため北海道において鉢植えで育てる際は、樹高1m以内の小さい苗木を選びましょう。夏季は室外で、冬季は屋内へ移動して日当たりの良い窓際がおすすめです。 地植えして大きく育つ予定なら1.5m以上でもOK。地植え、鉢植えともに花が咲くのは植え付けして2~3年後のため、すぐ花を楽しみたいのなら花芽のついている苗木を選んでください。栄養価の高い肥料を用意し定期的に追肥をする
肥沃な土地が好きな金木犀は、栄養価の高い肥料を定期的に追肥する必要があります。地植え、鉢植えとともに同じようなタイミングで与えてみましょう。 金木犀の肥料は、リン酸とカリウムの割合が多い緩効性化成肥料か有機肥料がおすすめ。開花と根張りを助け、良い健康状態を保ちます。窒素が控えめな花木用の肥料は地植え、鉢植えともにいいでしょう。 注意が必要なのは、骨粉入り油かすなどの有機質肥料です。独特な匂いがありますから、室内栽培する鉢植えには向きません。 植え付ける前に元肥として長期間効果が続く固形の緩効性肥料を与えてください。植え付け後、2月~3月に寒肥、新芽の出る4月~5月に追肥しましょう。寒肥は有機肥料、無機肥料があり、有機肥料の匂いを気にしなくてよいならおすすめです。開花前の8月~9月に与えると花がたくさん咲きます。土の乾燥に気をつけながら水やりをする
北海道以外の栽培でも同じように土の乾燥にはじゅうぶん気を付けて水やりしましょう。金木犀は乾燥が苦手な樹木。地植えの場合水やりはほとんど不要ですが、植え付け後しばらくは土が乾いたら水を与えます。 鉢植えの場合カラカラにならないよう定期的な水やり必須で、土の表面が乾いてきたら鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりしましょう。冬は生育がほとんど見られませんから、1か月に1回、もしくは2カ月に1回などやや控えめに水やりしてください。大きく育ったら植え替えをする
地植えした金木犀は植え替えによる根のダメージで、水や養分を吸い上げる力が弱ってしまいがち。基本的に植え替えしないでそのまま育ててください。 反対に鉢植えの場合、北海道以外の地域でも苗木が大きく育ったら植え替えしてください。鉢植えだとどうしても根鉢が回りやすく、根詰まりを起こしやすいため2年~3年に1度、植え替え作業が必要です。 目安は植え付け後2年~3年後の3月~4月。金木犀は根が傷みやすいため、慎重に掘り起こし植え替えます。その際変色したり黒ずんだりしている根があれば、切り落とし、植え付けと同じ手順で植え付けます。まとめ
最後まで読み進めてみていかがでしたでしょうか。北海道では金木犀が育ちにくいため見かけることの少ない樹木です。北海道の札幌市にある百合が原公園の温室で見かけることが可能です。いつからが開花時期なのかというと、秋の9月~10月が見頃になっており、東北では塩竃市の志波彦神社の金木犀がとりわけ美しく人気のスポットとなっています。ぜひ秋の行楽に出かけてみてはいかがでしょう。 この記事のポイントは- 寒冷な地域では金木犀は育たない
- 金木犀はモクセイ科モクセイ属の小高木
- 日当たりの良い肥沃な土地を好み、沖縄や九州など温暖な気候を好む
- 似た樹木に白い小花を咲かせる銀木犀がある
- 北海道札幌市北区の百合が原公園の温室で金木犀がみられる
- 百合が原公園の温室では銀木犀と彼岸花も見ることが可能
- 開花時期は9月下旬~10月上旬
- 宮城県塩釜市の志波彦神社の大金木犀も見事
- 基本的な育て方①:水はけの良い土を好む
- 基本的な育て方②:鉢植えで栽培するなら小さな苗木を選ぶ
- 基本的な育て方③:定期的な栄養価の高い肥料を与える
- 基本的な育て方④:土の乾燥に気を付けながら水やりする
- 基本的な育て方⑤:大きくなったら植え替えする