サンスベリアを葉挿しで効率的に増やす方法とその他の増やし方

サンスベリアの葉を切って土に挿したものの、1週間経っても2週間経っても、まったく変化がない。腐ってしまったのか、それとも生きているのか分からず、つい掘り返したくなる——サンスベリアの葉挿しで、いちばん多い悩みがこれです。
先に結論をお伝えします。サンスベリアの葉挿しは、発根までに1〜2ヶ月、地上に子株が出るまでに半年〜1年かかるのが普通です。1〜2週間で変化がないのは、失敗ではなく「まだ何も起きていないだけ」です。
そして、葉挿しの成否は挿した後の管理ではなく、切る前の「葉選び・時期・上下の向き」でほぼ決まります。東京寿園では自社農園でサンスベリアを生産し、店頭でもお客様の葉挿しのご相談を数多くお受けしてきました。その現場で「これをやっていた人は失敗している」という共通点がはっきり見えています。本記事では、その実感値をそのまま数値と手順に落とし込んでお伝えします。
本記事では以下の順で解説します。
- そもそもサンスベリアの葉挿しとは?
- 葉挿しに向く葉・向かない葉の見分け方
- 適した時期と、必要な道具
- 失敗しない葉挿しのやり方【5ステップ】
- 根が出るまでの日数と、発根しないときの原因と対処法
- 葉挿し以外の増やし方(水挿し・株分け)と、その後の育て方
そもそもサンスベリアの葉挿しとは?株分け・挿し木との違い

結論:葉挿しとは、サンスベリアの葉を5〜10cmに切って土に挿し、その切り口から根と子株を出させる増やし方です。枝を使う挿し木、根ごと分ける株分けと違い、葉が1枚あれば始められるのが最大の特徴。まずは元気な葉を1枚だけ切って試すのがおすすめです。
葉挿しとは、葉を切って土に挿すだけの増やし方
葉挿しとは、サンスベリアの葉を土に挿すことで株を増やす方法です。サンスベリアの葉を5〜10cm幅にカットし、切り口が乾くまで直射日光を避けて日陰で3〜4日乾燥させます。乾燥後に土へ2〜3cmほど挿し、明るい日陰で管理することで発根します。
植物を増やす方法には葉挿し・挿し木・株分けなどがありますが、サンスベリアは葉挿しで簡単に株を増やせます。3つの違いを整理すると次のとおりです。
多肉植物ならではの増やし方の1種
挿し木や株分けは他の植物でも行いやすいですが、葉挿しは多肉植物ならではの方法です。多肉植物は葉の中に水分と養分を蓄えているため、葉だけを切り離しても、そこから根を生やして自立できます。サンスベリアの分厚い葉は、いわば「携帯用の弁当箱」を持っている状態。だからこそ、土に挿すだけで1〜2ヶ月を持ちこたえられるのです。
徐々に根や新芽が出てくるという、少しずつの変化を日々感じ取れることも魅力の一つです。
道具がほとんど要らず、初心者でも失敗しにくい
葉挿しは道具もほとんど必要なく、元気な葉が1枚あれば行える方法です。実施時期には気をつけなくてはなりませんが、正しい時期に行えれば成功する可能性も高いです。また、人による作業の差もほとんど出ないため、初心者でも安心して行えます。
さらに大きいのは、失敗しても親株はほぼ無傷だという点です。株分けは親株を掘り上げて切り離すため、失敗すると親株ごと弱らせるリスクがあります。葉挿しは葉を1枚もらうだけなので、うまくいかなくても親株は元気なまま。「まず試してみる」のに向いた増やし方です。
東京寿園の視点|初めての方には、いきなり葉を全部切らず、まず1枚だけを3等分して試すことをおすすめしています。上下の向き・乾燥日数・水やりの間隔という3つの感覚を1サイクル体験してから本数を増やしたほうが、結果的に増える数は多くなります。
サンスベリアの育て方|失敗しないポイントや長生きさせるコツを紹介 葉挿しの前提となる、水やり・置き場所・越冬など日常管理の基本が分かります。 記事を読む ▶
サンスベリアの葉挿しは「どの葉を選ぶか」で8割決まる

結論:指で押してハリがあり、根元まで硬い葉を選べば、葉挿しはほぼ成功します。逆に、押すとへこむ・断面から汁が出る・黒く変色している葉は、どれだけ丁寧に挿しても発根しません。切る前に必ず葉を1本ずつ指で確かめてから作業を始めてください。
葉挿しに向く葉・向かない葉の見分け方
葉挿しの成功は、ほぼカットする前の葉の状態次第で決まります。以下の基準で、切る前に1枚ずつ確かめてください。
少し腐っていたり、しわしわなサンスベリアの葉は使える?
サンスベリアが少し腐ってしまっていたり、しわしわになっていると、その葉そのものを元どおりに復活させることは難しいと思っておいたほうが良いです。しわしわ・ぶよぶよになった部分の細胞はすでに壊れており、水を与えても張りは戻りません。
ただし、1枚の葉が全部ダメになっているケースはむしろ稀です。根元だけが傷んでいて先端側は硬い、というパターンが大半なので、傷んだ部分を切り落とし、残った健全な部分で葉挿しを行いましょう。子株が育てば、たとえ親株が枯れてしまってもサンスベリアが無くなることはありません。
サンスベリアがしわしわになるのは何が原因?復活方法まで徹底解説 葉挿しに回す前に、親株そのものを立て直せるかどうかの判断基準が分かります。 記事を読む ▶
根腐れを起こしたサンスベリアは、葉挿しで救い出せる
サンスベリアが根腐れを起こしていると、株そのものを元の姿に戻すことは基本的に難しいと思っておいたほうが良いです。根が機能していない以上、水も養分も吸えないためです。
ただし、根腐れは根元から上へ進行するため、地上部の葉の上半分はまだ生きていることがよくあります。株全体を諦める前に、鉢から抜いて葉を1枚ずつ触ってみてください。硬さの残っている部分が見つかれば、そこを切り出して葉挿しに回せます。子株が育てば親株が枯れてしまってもサンスベリアが無くなることはありません。
観葉植物農家
長岡 孝樹
「根腐れさせてしまったので処分します」と持ち込まれた株を、店頭でその場で触らせてもらうことがよくあります。根元から5cmほどはドロドロでも、先端側は驚くほど硬いまま残っていることが本当に多いんです。捨てる前に一度、葉を上から下まで指でなぞってみてください。硬い区間さえ見つかれば、そこから十分やり直せます。
サンスベリアの葉挿しに適した時期は5〜8月|気温20〜25℃が目安

結論:葉挿しの適期は5月〜8月、気温でいうと20〜25℃です。カレンダーではなく気温で判断するのが確実で、最低気温が15℃を下回る時期は着手しないのが鉄則。9月以降に思い立った場合は、無理に切らず翌年の5月まで待つほうが成功率は高くなります。
ベストは5月〜8月|寒い時期は腐る可能性がある
サンスベリアのベストな葉挿しの時期は、5月〜8月の暖かい時期です。寒い時期に行ってしまうと、サンスベリア自身の生育が緩やかになっており失敗しやすいため、増やし方としておすすめできません。
特に狙い目は5月下旬〜6月の梅雨入り前です。近年の日本の夏は7〜8月に35℃を超える日が続き、室内でも葉が消耗します。生育期の入口である初夏に済ませておくと、真夏までに発根の初期段階まで進められます。
【理由】暖かい地域を原産とするため
サンスベリアの原産地は熱帯地方・亜熱帯地方で、アフリカの乾燥地や南アジアの乾燥地です。そのため、耐暑性があり、耐寒性がないという特徴があります。この性質があるため、5月〜8月が成長期となり葉挿しも成功しやすくなります。
葉挿しで根が出るという現象は、植物にとってはかなりのエネルギーを使う作業です。生育が止まっている時期に切り離しても、根を出す体力そのものが動いていないため、切り口はふさがらず、そこから雑菌が入って腐敗するという結末になりやすいのです。
気温15℃を下回る時期は着手しない
月ではなく実際の気温で判断するのが確実です。目安は次のとおりです。
- 20〜25℃…最も発根しやすい適温帯
- 15℃以下…成長が鈍り、切り口がふさがらない。着手しない
- 10℃以下…完全な休眠。葉挿しは確実に失敗する
同じ「5月」でも、北海道と九州では室温がまるで違います。カレンダーではなく部屋の最低気温が15℃を安定して超えているかを基準にしてください。エアコンの効いた室内であれば、多少時期が前後しても問題ありません。
観葉植物農家
長岡 孝樹
秋に葉挿しをして失敗した、というご相談は毎年11月ごろに集中します。9〜10月はまだ暖かく感じるのですが、発根に1〜2ヶ月かかるので、切った時点ではなく「2ヶ月後の気温」で判断しないといけないんです。9月に思い立ったら、その葉には手をつけず翌年5月まで待つ。これがいちばん確実です。
サンスベリアの葉挿しに必要なもの4つ

結論:必要なのは元気な葉・清潔なハサミ・赤玉土(小粒)・浅めの容器の4つだけです。発根剤も専用の土も要りません。ただし肥料入りの培養土だけは避けてください。切り口から腐敗する最大の原因になります。
よく伸びたサンスベリア(土に挿せる大きさならOK)
土に挿せる大きさのサンスベリアの葉を採取しましょう。葉から根が生えてきたら上下を間違えないように土へ植えるため、植えることも想定した葉を用意することで成功率も高まります。目安として1片が5〜10cmあれば十分です。
短く切りすぎると蓄えている水分量が足りず、発根までの1〜2ヶ月を持ちこたえられません。逆に長すぎると自立せず倒れてしまうので、5〜10cmが扱いやすい範囲です。
清潔なハサミ
清潔なハサミを使用することで、カットした場所から菌が入り株自体が枯れてしまうリスクが低くなります。また、切り口から腐ることも防ぐことができます。
園芸ばさみでもキッチンばさみでも構いませんが、使う直前に消毒用アルコールで刃を拭くだけで結果が変わります。特に、すでに腐った葉を切った後のハサミをそのまま使うのは避けてください。健全な葉に菌を運んでしまいます。
赤玉土小粒もしくは川砂
清潔で肥料分を含まない赤玉土小粒もしくは川砂を使用しましょう。これらは水はけも良いため、湿って腐るリスクも軽減します。
「観葉植物の土」と書かれた市販の培養土は、葉挿しには向きません。肥料分が含まれているうえに保水性が高く、根のない葉にとっては腐敗のもとになるためです。土は葉を支えて湿度を保つためだけのもの、と割り切ってください。
サンスベリアの葉が挿せる鉢・容器
葉から根が生えてきたら土に植えますが、植える深さはおおよそ2〜3cmです。そのため、まずは3cmほどの厚みの土を入れられる容器を用意しましょう。その後、根付けばそれ以上の深さの植木鉢が必要になりますので、適宜準備が必要です。
深い鉢に少量の土を入れるより、浅くて底穴のある容器のほうが乾きやすく、腐敗のリスクが下がります。プラスチックの育苗トレイや、底に穴を開けた食品トレーでも代用できます。
東京寿園の視点|ホームセンターで「発根促進剤」を勧められることがありますが、サンスベリアの葉挿しに発根剤は不要というのが当園の見解です。発根しない原因のほとんどは薬剤の有無ではなく、上下の向き・乾燥不足・低温の3つ。まずはこの3点を押さえてください。
失敗しないサンスベリアの葉挿しのやり方【5ステップ】

結論:手順は「切る→印を付ける→3〜4日乾かす→2〜3cm挿す→明るい日陰で待つ」の5ステップです。初心者がつまずくのは3ステップ目の乾燥で、ここを省くと切り口から腐ります。切ったその日に土へ挿さないことだけ守れば、あとは待つだけです。
実際の葉挿しはどのような手順で行うと順調に増やせるのでしょうか。以下の順で説明しますが、これらすべてを5月〜8月の間に行うのがベストですので、把握しておきましょう。正しいやり方をしないと根腐れを起こしてしまうことがあります。
サンスベリアの葉挿し 全体の流れ
葉を根元から切り、5〜10cmに切り分ける。1枚から3〜4片が取れます。
上下が分かるように印を付ける。ここを間違えると絶対に発根しません。
切り口を日陰で3〜4日乾かす。断面が白いかさぶた状になれば準備完了です。
乾いた赤玉土に2〜3cm挿す。挿した直後は水を与えません。
明るい日陰で管理し、3日〜1週間後に初回の水やり。あとは1〜2ヶ月待ちます。
①葉挿しにできるようにサンスベリアの葉を切り分ける
まず株から一枚の葉を根元からハサミでカットします。その後、その一枚の葉を3〜4等分にカットします。1片あたり5〜10cmが目安です。
切るときは一気に押し切るのがコツです。ノコギリのように往復させると断面が潰れ、そこから傷みやすくなります。断面がきれいなほど、乾燥後のかさぶたも整います。
②【最重要】葉の上下を見分ける印を付ける
ここが葉挿しで最も失敗しやすいポイントです。サンスベリアの葉には水と養分を通す方向(極性)があり、上下を逆にして挿すと、どれだけ待っても根は出ません。
切り分けてしまうと、見た目ではどちらが根元側か判別できなくなります。切る前に必ず印を付けてください。方法は2つあります。
上下を絶対に間違えない2つの方法
マスキングテープ法。葉を切り分ける前に、葉の「先端寄り」に横向きのテープを貼っておく。切り分けたあとも各片のテープ側が上だと分かります。
斜めカット法(おすすめ)。上側の切り口を斜めに、下側(土に挿す側)を水平に切る。テープが剥がれても形で永久に判別でき、斜め面は水も溜まりにくくなります。
もし上下を逆に挿してしまったら。1ヶ月経っても何の変化もない場合は、逆挿しを疑ってください。掘り上げて確認し、逆だった場合は下側になる切り口を1cmほど切り戻して、再び3〜4日乾かしてから正しい向きで挿し直します。葉が硬さを保っていれば、やり直しは十分可能です。
観葉植物農家
長岡 孝樹
「半年待っても何も出ません」というご相談を受けて掘り上げてもらうと、かなりの確率で上下が逆でした。ご本人は覚えているつもりでも、3〜4片に切って乾かしている間に、机の上で向きが混ざってしまうんですね。私は必ず斜めカットにしています。テープと違って、絶対に剥がれませんから。
③切り口を3〜4日しっかり乾燥させる
切ったサンスベリアの葉は、すぐには土に挿しません。直射日光を避けた風通しの良い日陰に、新聞紙などの上へ並べて3〜4日置いてください。
断面が白〜クリーム色に乾き、指で触ってもベタつかない「かさぶた」の状態になれば準備完了です。切ったその日に土へ挿すと、湿った断面から雑菌が入り、高確率で腐ります。葉挿しで最も多い失敗が、この工程の省略です。
④新しい鉢に土を入れ、葉を2〜3cm挿す
カットした葉を挿すための土をあらかじめ用意しておきましょう。赤玉土のような清潔で肥料分を含まず、しっかり乾燥した水はけの良い土が好ましいです。
用意した土に、乾燥させたサンスベリアの葉の下側を2〜3cm(葉の1/3ほど)隠れるように挿します。挿した直後は水を与えません。3日〜1週間ほど経過してから、鉢の底から水を吸収させます。鉢が浸かるくらいの大きさのバケツや大きめの受け皿に水を張り、ゆっくり鉢ごと水に浸していきます。
⑤明るい日陰で管理し、水やりをする
土の表面まで湿ってきたら水から引き上げ、直射日光は避けた風通しの良い明るい日陰で様子を見ます。以降の水やりは土がしっかり乾いてからさらに2〜3日空けるくらいの、乾かし気味の管理が正解です。
早ければ1ヶ月ほどで発根してきますが、2ヶ月かかることも普通です。動かず、掘り返さず待ちましょう。
東京寿園の視点|葉挿しの水やりは、「足りないかな」と思うくらいでちょうどいいと考えています。根がない葉にとって、土の湿り気は水分補給源であると同時に腐敗のリスクそのもの。葉が持っている水分で1〜2ヶ月は生き延びられるので、水は「湿度を切らさない」程度で十分です。
効率的に葉挿しをするV字カット法【動画】
さらに効率的な葉挿しのやり方として、切り口の面積を増やして発根点を稼ぐ「V字カット法」があります。東京寿園の公式Instagramで実演していますので、ぜひチェックしてみてください。
下側をV字に切ることで断面積が増え、根が出るポイントが多くなる
V字の谷が土に食い込むため、葉が倒れず自立しやすくなる
切り口の形が水平面と違うので、上下の判別マークとしても機能する
サンスベリアの葉挿しで根が出るまでの日数と経過の目安

結論:発根までは早くて1ヶ月、平均1〜2ヶ月。地上に子株の芽が出るまでは半年〜1年かかります。1〜2週間で何も起きないのは正常です。「2ヶ月経っても変化なし」がはじめて疑うべきラインだと覚えておいてください。
1人前の株に成長するには最低でも1年かかりますが、その初歩となる発根までの日数はどのくらいなのでしょうか。時間軸ごとに整理します。
1ヶ月の経過では、あまり大きな変化はない
葉挿しのやり方を紹介した手順では、根が出るまでの日数は1ヶ月ほどと記載しました。ただしこれは「白い根が見え始める」という最初の一歩であり、本格的に土へ根を張るのはもう少し時間が経過してからです。
この時期、地上部は完全に無反応です。色が変わることも、伸びることもありません。変化がないのは、失敗ではなく仕様です。
根がしっかり生えてくるのは3ヶ月〜4ヶ月後
根がしっかりと生えるのは3〜4ヶ月後です。この段階になると、葉を軽く押しても土をつかんで動かなくなります。根がしっかりと生えてくると新しい芽も出てくるので、新しい鉢に用土を入れて植え替えてあげましょう。
新芽(子株)が地上に顔を出すのは半年〜1年後
葉挿しでいちばん時間がかかるのが、この工程です。根が出てから、地上に緑の新芽が立ち上がるまでにさらに数ヶ月かかります。冬を挟む場合は成長が止まるため、1年近く見ておくのが現実的です。
そのため、ある程度時間をかけて育てる覚悟が必要でしょう。手っ取り早く大きく育てたいのであれば、葉挿しより株分けのほうがおすすめです。
観葉植物農家
長岡 孝樹
農園では葉挿しの鉢に「切った日付」を書いたラベルを必ず挿しています。人の記憶は驚くほどあてにならなくて、3週間しか経っていないのに「もう2ヶ月経った気がする」と感じてしまうんです。日付さえ残しておけば、焦って掘り返す事故がなくなります。ぜひやってみてください。
サンスベリアの新芽を出すには?日頃のお手入れやコツまで徹底解説 葉挿し後になかなか新芽が出ないときに見直したい、光・温度・肥料の条件が分かります。 記事を読む ▶
サンスベリアの葉挿しが発根しない・腐るときの原因と対処法

結論:発根しない原因は①上下逆 ②乾燥不足 ③低温 ④水のやりすぎのほぼ4つに集約されます。ただし2ヶ月以内なら、そもそも「まだ時期が来ていない」だけの可能性が高い。まず掘り返さずに生死を確かめるところから始めてください。
発根しないときにまず疑う4つの原因
2ヶ月以上経っても何の変化もない場合は、以下の4つを順に確認してください。
【独自】掘り返さずに生死を判定する3つのサイン
発根しているか確かめたくて掘り返すと、伸び始めた細い根が切れて振り出しに戻ります。土から抜かずに生死を判断できる3つのサインを、東京寿園の現場基準としてまとめました。
掘り返さない生死判定 3サイン
硬さ|指の腹で葉の中ほどを軽く押す。弾力があって押し返してくれば生きています。指が沈んで戻らなければ、内部の腐敗が進行しています。
土際の色|土から出ている境目のあたりを見る。緑または薄い茶色ならセーフ。黒〜こげ茶に染まり、その部分が濡れて見えるなら腐敗のサインです。
ぐらつき|指1本で葉の上部をそっと横に倒す。土をつかんで抵抗があれば発根済み。スカスカと空回りするなら未発根ですが、1と2がクリアなら待てば出ます。
1と2がクリアなら、3がスカスカでも触らないでください。硬くて色が正常なら、その葉は生きています。あとは時間の問題です。
観葉植物農家
長岡 孝樹
この3つの判定は、私が農園で毎日やっていることそのものです。週に1回、触るのは3秒だけ。硬さと土際の色を見て、問題なければ何もしない。葉挿しでいちばん難しいのは技術ではなく「何もしないでいること」なので、確認する行為を短く決めておくと、余計な手出しを防げます。
葉挿ししたサンスベリアは日光に当てていい?
結論から言うと、発根するまでは直射日光に当ててはいけません。レースのカーテン越しか、明るい日陰が正解です。
理由は、根がない葉にとって光合成より水分を失わないことのほうが優先だからです。直射日光に当てると葉の温度が上がって蒸散が進み、蓄えていた水分が発根を待たずに尽きてしまいます。しなびて薄くなるのは、この状態です。
根が張って新芽が立ち上がってきたら、1〜2週間かけて少しずつ明るい場所へ慣らしていきます。いきなり窓辺に出すと葉焼けするので、段階的に移動させてください。
斑入り品種で斑が消えたのは「失敗」ではない
ローレンティのような黄色い覆輪が入った斑入り品種を葉挿しすると、出てきた子株が全緑になることがあります。これは失敗ではなく、斑入り品種の性質です。
斑は葉の縁の組織だけが持つ性質のため、葉を切って再生させると先祖返りして、元の緑一色に戻ることが多いのです。斑を残したい場合は、葉挿しではなく株分けを選んでください。地下茎でつながった子株は親と同じ斑を受け継ぎます。
東京寿園の視点|店頭では「ローレンティを葉挿しで増やしたい」というご相談を必ず一度お止めしています。斑を残したいなら株分け一択だからです。葉挿しは「数を増やす手段」、株分けは「同じ姿を残す手段」と、目的で使い分けてください。
模様が消える原因は葉挿しによる先祖返りだけではありません。日光の当て方と植え替えの頻度も関係しています。詳しくは動画で解説しています。
葉挿しで増やすと先祖返りが起きる。斑を100%残したいなら株分け一択
光が足りないと模様がぼやける。東〜南向きの窓際、屋外なら半日陰が最適
根詰まりでも模様は薄れる。1〜2年に1度の植え替えが美しさを保つ秘訣
「葉挿しをしたら模様が消えた」というご相談のうち、実は半分くらいは葉挿しのせいではなく、日照不足か根詰まりです。葉挿しの子株だけでなく、親株のほうまで薄くなっていたら、それは置き場所と植え替えのサイン。まず親株の状態を見比べてみてください。
サンスベリアを葉挿しで増やすメリット・デメリット

結論:葉挿しの強みは「1枚から複数増やせる」「親株を傷めない」の2点、弱点は「斑が消える」「1年かかる」の2点です。数を増やしたいなら葉挿し、同じ姿を早く残したいなら株分け。目的で選ぶのが失敗しないコツです。
ここではサンスベリアを葉挿しにするメリット・デメリットを紹介します。これにより、葉挿しで株を増やすのか、他の方法で増やしたほうが良いのか判別できます。
【メリット】弱った観葉植物を復活させて増やすことができる
観葉植物を育てるうえで、弱らせてしまったり枯れてしまうこともあります。そのようなときには葉挿しを行うことで、株を次の世代へつなげることができます。親株が弱っていたとしても、葉から株へと成長させることができれば子株となるため、サンスベリアが無くなることはありません。
【メリット】簡単で、たくさん増やすことができる
葉挿しの方法は、葉を根元から切り、切り口を乾かしてから土に挿し、根が出るのを待つだけですので、簡単な方法と言えるでしょう。1枚の葉から3〜4片が取れるため、増やしたい数だけ葉を切り試してみましょう。
【メリット】ダイソーなどの100均で安い苗から気軽に始められる
サンスベリアはダイソーやキャンドゥなどの100円ショップでもよく販売されています。園芸店で大きな鉢を買うと数千円することもありますが、100均なら100円〜300円程度で入手可能です。
また、手のひらサイズの小さな苗で葉挿しに挑戦してみたいという人にも、100均のサンスベリアはおすすめです。失敗しても金銭的な痛手が小さいため、上下の向きや乾燥日数を体で覚えるための練習用としても向いています。
【デメリット】斑入りの品種は模様が消える可能性がある
斑入りの品種の場合、葉挿しを行うことで先祖返りをして模様が消える可能性があります。模様を特に気にしない方であれば問題ないのですが、模様を楽しむのも観葉植物を育てる醍醐味です。模様を残したい方には葉挿しをおすすめできません。その場合は株分けを選んでください。
【デメリット】1人前の株に育つまでに時間がかかる
子株が出るまでには少なくとも半年ほどかかり、冬を挟めば1年ほどかかります。そのため、ある程度時間をかけて育てる覚悟が必要でしょう。手っ取り早く大きく育てたいのであれば、葉挿しより株分けのほうがおすすめになります。
東京寿園の視点|「増やしたい」というお客様には、葉挿しと株分けを同時に走らせることをおすすめしています。株分けで確実な1株を確保しつつ、切り落とした葉を葉挿しに回せば、どちらかが失敗してもサンスベリアは残ります。手間はほとんど変わりません。
葉挿し以外でサンスベリアを増やす方法【水挿し・株分け】

結論:増やし方は葉挿し・水挿し・株分けの3つ。目的で選べば迷いません。数を増やすなら葉挿し、発根を目で確認したいなら水挿し、斑を残して早く一人前にしたいなら株分けです。まずは自分の目的を決めてから手を動かしてください。
目的別|葉挿し・水挿し・株分けの選び方
3つの増やし方を、目的・スピード・斑の残り方で並べると次のとおりです。
「水挿し」と「土への葉挿し」、どちらを選ぶか迷う方のために、それぞれの魅力と注意点を1分にまとめた動画もご用意しています。
水挿しは根が出るのが見えて楽しい。インテリアとしてもおしゃれに飾れる
土への葉挿しは強い根が生え、その後の成長がスムーズに進む
どちらを選んでも、始める前に切り口を乾燥させる工程は必須
乾燥日数について補足します。水挿しなら1〜2日、土に挿すなら3〜4日が当園の基準です。土は水と違って雑菌の量が桁違いに多いので、そのぶんしっかりかさぶたを作ってから挿してください。迷ったら長めに乾かすほうが安全です。
水挿し(水栽培)でも根を生やして増やすことができる
結論としては、水挿しと呼ばれる、葉っぱを水につける方法でも根は生えます。根が生えるだけでなく、水中で根を伸ばし、より大きく根が成長します。ハイドロカルチャーや水栽培で株を増やすことを水挿しと呼びます。
やり方は葉挿しとほぼ同じで、切って乾かした葉を、切り口が1〜2cm浸かる程度の浅い水に立てるだけです。水挿し最大の利点は、根が出たかどうかを掘り返さずに目で確認できること。「変化がなくて不安」という人には、こちらのほうが精神的に楽です。
ただし水は毎日交換してください。濁った水に浸けたままにすると、切り口から確実に腐ります。
水挿し後は水耕栽培で育てるのがおすすめ
葉挿しと似ていて、水挿しの植え替え時期は葉挿しと同じ、5月下旬〜8月下旬までが適期です。最近の日本の夏は気温がかなり高くなります。できれば生育期初期の5月下旬から6月、梅雨前に行うのがおすすめです。
水挿しで発根したら、そのまま水耕栽培で育てるのがおすすめです。理由は、水挿しをして発根したサンスベリアは水耕栽培に順応しており、植え替えてもダメージを受けて枯れるリスクが通常より少なくなっているためです。水中で伸びた根は土中の根と構造が違うため、無理に土へ移すと根が機能せず、そこからやり直しになることがあります。
サンスベリアの水耕栽培|メリットと失敗しない育て方のコツ 水挿しで発根したあと、そのまま水で育てるときの容器選びと水替えの頻度が分かります。 記事を読む ▶
サンスベリアの子株を株分けして増やす方法
サンスベリアは子株が生えやすく、それによって繁殖できる点も大きな魅力です。ここでは株分けによるサンスベリアの増やし方を解説していきます。
子株(こかぶ)とは?
サンスベリアを育てていると、土の表面から小さな芽がひょっこりと顔を出すことがあります。これが「子株」と呼ばれるサンスベリアの赤ちゃんです。子株は親株と地下でつながっており、栄養をもらって育ちます。子株を株分けすることでサンスベリアを増やすことができます。斑を残したまま繁殖させたい場合には、この方法が最適です。
冬の時期を避け、すぐに植え替えをせず乾燥させる
株分けは必ず冬ではなく、植物が元気な5月から8月の暖かい時期に行います。冬の寒い時期に行うと回復できずに枯れてしまうリスクが高まります。また、親株から切り離した直後に水や土へ植え付けるのは避けてください。切り口から雑菌が入らないよう、半日ほど日陰で乾燥させて「かさぶた」を作ってから植え付けるのが成功のコツです。乾燥が不十分だと、そこから腐敗する原因になりますので、しっかり乾かしましょう。
株分けによる具体的な増やし方と植え替えの手順
まずは親株を鉢から優しく抜き出し、根についた土を軽く落として地下茎(親と子をつなぐ太い根)を探します。つながっている部分を清潔なハサミで切り離してください。切り口をしっかり乾燥させた後、新しい土や水耕栽培用の容器にセットします。
子株はまだ根が未熟なため、最初は水耕栽培で根の成長を見守るのもおすすめです。植え付け後は、直射日光に当てすぎないよう注意して管理してください。
サンスベリアの株分けの方法とは?メリットから注意点まで徹底解説 斑入り品種の模様を残して増やしたいときの、地下茎の切り分け方が分かります。 記事を読む ▶
ハイドロカルチャーで育てるという選択肢
発根後の子株を、土ではなくハイドロボールなどの人工用土で育てる方法もあります。虫が湧きにくく、水位が目で見えるため水やりの失敗が起きにくいのが利点です。
水挿しで発根させた葉は水環境に慣れているため、ハイドロカルチャーへの移行は特にスムーズです。室内でインテリアとして飾りたい場合にも向いています。
関連記事:【徹底紹介】ハイドロカルチャーでサンスベリアはどのように育てるの?
観葉植物農家
長岡 孝樹
お子さんと一緒に増やすなら、私は水挿しをおすすめしています。土だと1ヶ月間なにも見えないので、子どもは飽きてしまうんです。透明なグラスに挿しておけば、白い根がにょきっと出る瞬間が見える。観察日記にもなりますし、水替えという毎日の役割もできますよ。
葉挿しや株分けした後のサンスベリアの育て方

結論:発根するまでは「明るい日陰・風通し・20℃以上」の3条件を保ち、あとは触らないことが最善の管理です。肥料も不要。新芽が出るまで何もしないのが正解だと決めておくと、余計な手出しで失敗する事故が防げます。
葉挿しや株分けをした直後のサンスベリアは、根がまだ十分に機能していないため、人間でいうと「手術直後」のような非常にデリケートな状態です。元気な株に育てるためには、最初の管理場所と接し方が重要になります。
置き場所は「直射日光を避けた明るい日陰」
最も重要なのが置き場所です。以下の3つの条件が揃った場所に置いてください。
- 直射日光が当たらない場所…強い光は負担になります。レースのカーテン越しや、明るい日陰を選びましょう
- 風通しの良い場所…空気が淀むとカビや腐敗の原因になります。エアコンの風が直接当たらない、空気が循環する場所がベストです
- 暖かい場所…成長を促すため、室温は20℃以上あると理想的です。10℃を下回る窓際などの置き場所は避けてください
水やりの頻度と管理方法
【水耕栽培(水挿し)の場合】
水は毎日交換して清潔さを保ちます。水が濁ったまま放置すると切り口から腐ってしまいます。新鮮な水で酸素を供給してあげましょう。水位は切り口が1〜2cm浸かる程度で、葉全体を沈めないでください。
【土に植えた場合】
植え付け直後はすぐに水やりをせず、2〜3日経ってからたっぷりと水を与えます。その後は土の表面が乾いてからさらに数日空けて水やりをするなど、乾燥気味に管理してください。受け皿に溜まった水は必ず捨てます。根のない葉にとって、常に濡れた土は腐敗のリスクでしかありません。
なお、発根するまで肥料は一切与えないでください。吸収する根がない状態で肥料を与えても効果はなく、土の中の濃度が上がって切り口を傷めるだけです。
根が出るまで「触らない・抜かない」
発根の状態が気になって、つい植物を持ち上げたり土を掘り返したりしたくなりますが、これはNGです。せっかく伸び始めた細い根が切れてしまい、成長がリセットされてしまいます。
新芽が出てくるまでは「変化がないのが順調な証拠」と考えて、じっくり見守る姿勢が大切です。どうしても確認したい場合は、前述の「掘り返さずに生死を判定する3つのサイン」で済ませてください。
東京寿園の視点|葉挿し後の管理で当園が守っているのは、「確認は週1回・3秒まで」というルールです。毎日見ると必ず何かしたくなり、水をやりすぎるか掘り返すかのどちらかに転びます。回数を決めておくことが、いちばん確実な成功のコツです。
観葉植物農家
長岡 孝樹
葉挿しの失敗相談でいちばん多い原因は、実は「熱心さ」なんです。きちんと世話をしようとして水をやりすぎ、心配で掘り返し、日光に当てようとして葉焼けさせる。サンスベリアの葉挿しに関しては、忘れているくらいの人のほうがうまくいきます。日付ラベルを挿したら、あとは棚の奥に置いてしまってください。
サンスベリアを葉挿しで効率的に増やす方法とその他の増やし方のまとめ
本記事では、サンスベリアの葉挿しについて解説しました。要点を振り返ります。
✔ 葉挿しの成否は「切る前の葉選び」で8割決まる。押してハリのある葉だけを使う
✔ 適期は5月〜8月、気温20〜25℃。15℃を下回る時期は着手しない
✔ 切ったら3〜4日乾かしてから、2〜3cmの深さに挿す
✔ 発根は1〜2ヶ月、子株が地上に出るのは半年〜1年。変化がないのは正常
✔ 斑入り品種で斑を残したいなら、葉挿しではなく株分けを選ぶ
✔ 上下を逆に挿すと絶対に発根しない。切る前に必ず印を付ける
サンスベリアの葉挿しでいちばん難しいのは、技術ではなく「待つこと」です。切ったその日に印を付け、しっかり乾かして挿したら、あとは日付を書いたラベルを挿して、明るい日陰に置いておく。それだけで、半年後には小さな新芽が土から顔を出してくれます。
東京寿園では自社農園で育てたサンスベリアをお届けしています。増やす楽しみの出発点となる元気な株をお探しの際は、ぜひご覧ください。最後までご覧いただき、ありがとうございました。


V字カットは、農園でも数を増やしたいときに使っている切り方です。V字にすると断面が広がるぶん、乾燥にはより時間をかけてください。水平に切ったときより1日ほど長め、4〜5日を目安にしています。ここを急ぐと、せっかく増やした断面が全部リスクに変わってしまいます。