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100均でよく見かける丈夫な観葉植物の中でもパキラは葉の形や幹のシルエットが美しく人気があります。しかし、水のやりすぎで枯れてしまった、どの頻度で水やりしてよいか分からないなど悩みは尽きません。 そこで、水やりの仕方や季節に合わせたコツをまとめました。
- パキラの水やりのポイント
- 葉水のやり方
- 根腐れの原因と対処法
- ハイドロカルチャーでの水やり
パキラの水やりでよくあるQ&Aも解説していますので、困ったときの参考になさってくださいね。
関連記事:パキラの育て方|枯らさないお手入れ方法や栽培方法のコツを紹介
観葉植物パキラの特徴
パキラは、中南米を原産とする常緑樹です。葉は大きな楕円状でツヤがあり、幹を複数本編みしたり、丸みのある形にしたりと様々な楽しみ方ができます。高温で乾燥した気候に育ち、大きいものは高さが20メートルにもなる高木ですので、室内でも最大約2メートルと、存在感のある観葉植物に育ちます。そのため、鉢植えでもあたたかい場所で乾燥気味に育てていきます。パキラは乾燥に強い
比較的乾燥に強く、明るい日陰でも育つ植物です。ただし、もともと原産地が熱帯地域で湿潤を好む植物なので、あまり乾燥させすぎてはいけません。病害虫や枯れることもありますので、要注意。パキラを鉢植えごとレースカーテン越しの柔らかい日差しが当たる窓際などに置き、春夏秋冬に合わせた水やりが長く楽しむ秘訣になるでしょう。原産地 | 中南米 |
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耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 弱い、真冬の気温が地温5℃以上なら屋外での越冬も可能 |
耐陰性 | 強い |
耐乾性 | 強い |
【水やり】はパキラを育てるうえでとても重要
乾燥に強く丈夫なパキラですが、季節に合った水やりがとても大切です。基本的に土の表面が乾いたら水をたっぷりとあげることと、霧吹きで葉に水を吹きかけることを覚えておくとよいでしょう。水やりを間違うと、根腐れや病気の原因にもなり得ます。ポイントをいくつか挙げてゆきますので、季節に合わせて水やりを変えてくださいね。パキラの水やりのポイント
先ほどもお伝えしたように、「パキラの水やりは、鉢の表面の土がしっかり乾いた」タイミングで、「鉢の底から水が流れて出てくるくらい」の量を与えます。春から秋は生育期なので水をたくさん欲しがり、冬は生育がゆるやかな休眠期なので水をあまり吸わなくなります。シーズンごとのタイミングを知ることで、水やりの頻度もコツが掴めてきますよ。ここからは、季節ごとの水やりの頻度をご紹介します。①頻度や分量:季節や時期で違う!
季節や気温によって水やりを変えることによってパキラはすくすく成長します。春(4月~6月):土が乾いてから。1週間に1回でもOK
4月~6月のパキラは、休眠期から生育期へ徐々に切りかわる時期。冬よりもたくさんの水を必要としますので、土も乾きやすくなってきます。しかし寒暖の差がまだまだありますから、毎日与える必要はありません。 1週間に1回を目安に、土の表面が乾いたら、たっぷりと水やりをしていきましょう。夏(7月~9月):梅雨の時期は過湿に注意
7月~9月にかけて梅雨による高温多湿が続きます。土からも水蒸気が上がり、蒸れやすい季節ですね。鉢の土が乾いたら水やりをするのが基本ですが、やりすぎに要注意。初心者は水をやりすぎて枯れさせてしまうことがあるので、朝や夕方の涼しい時間帯にパキラへ水やりをしましょう。 頻度のイメージとしては、「1週間に1~3回水やりをする」、と覚えておきましょう。秋(10月~11月):夏から間隔をあけながら行う
10月~11月は徐々に生育期から休眠期へ移行して生育がゆっくりになります。そのため、水やりも少しずつ間隔を空けていきましょう。 土の表面が触ってさらさらと乾いてから1、2日おいて、水やりをするのがちょうどよいタイミング。寒さに当たると弱りますので、屋外にあるパキラは室内へ移して下さいね。冬(12月~3月):2週間に1回、もしくは1か月に1回
生育が落ち着き、株が眠っていると言ってもよい冬は、2週間に1回、もしくは1か月に1回がほどよい水やりのタイミング。水温は15〜20度ほどの生ぬるいと感じる温度で水やりしましょう。②水やりの方法:葉水は効果的
次は「葉水」のやり方についてご紹介しますね。やり方はとても簡単。スプレーや霧吹きを使って、葉っぱの表面や裏に水を吹きかけてください。 イメージは、シュッシュッと表面が軽く湿るくらい。合わせて、葉っぱの表面にたまりやすいホコリや汚れをやわらかい布で吹くと、美しい姿を維持できます。それではどんな時に葉水が効果的なのでしょう。葉の乾燥を防ぐことができる
きちんと水やりをしているのに、葉っぱがしおれている場合があります。原因はエアコンの風などが当たって、乾燥が進むからです。土は湿っているのに水やりをしてしまうと、根腐れを起こしてしまいますので、葉水で乾燥を防ぎましょう。病害虫から葉を守る役割もある
パキラがなりやすい病害虫に、ハダニやアブラムシ、すす病などがあります。薬剤もありますが、水を勢いよく吹きかけたり、濡らした布や紙でふき取ったりして虫を落とすことも効果的ですよ。すす病などは害虫の排泄物を栄養に広がるので、葉水で葉を守ることが大切ですね。③ハイドロカルチャーの水やり:満水にはしない
土の代わりにハイドロカルチャーで育てる方法もあります。見た目がオシャレ、病害虫にかかりにくいなどメリットが多く、初心者さんにはありがたいですね。ハイドロカルチャーの場合、底に穴の開いていない容器を使いますのでふちまでたっぷりと与えてはいけません。もともと乾燥に強い植物なので、容器に水分が残っているのなら水やりは必要ないのです。 容器の中の水が完全になくなったら、容器の高さの1/5~1/4まで水をあげればOKですよ。④水やりの代わりに液体肥料で大きいパキラを目指せる
ハイドロカルチャーで育てる時、肥料から養分を吸収します。肥料には、粒タイプの固形肥料や液体肥料があり、水やりの代わりに液体肥料を使って大きく育てることもできますよ。必ず観葉植物用の液体肥料を水に薄めて使ってくださいね。 よく育つ5〜9月頃は、1〜2週間に1回液体肥料を水に加えるのを忘れないようにしてください。イオン交換樹脂剤は水質浄化と肥料両方の役割があり、3~4か月効果が続きます。パキラに元気がないのは【根腐れ】の可能性あり
初心者さんでよくあるのが「なんだか元気がない」、「葉が黄色くなってきた」などお世話しているけれど原因がわからないことではないでしょうか。もしかしたら「根腐れ」が原因かもしれませんよ。そもそも根腐れってなんですか?
根腐れとは、水や肥料の与えすぎ、土の通気性の悪さが原因で、先端から根が腐ってしまう状態です。腐った根は水や養分を吸い上げにくくなります。水や養分を吸い上げる力が弱くなると株全体が衰弱してしまい、葉が茶色くなったり幹がやわらかくなったりして、最終的には葉っぱも幹も枯れてしまいます。パキラが根腐れする原因は主に3つ
根腐れする主な原因は大きく分けて3つあります。お持ちのパキラの状態はどれがあてはまりますか?①水の与えすぎ
枯らさないようにと気を付けるあまり、水を与えすぎていませんか。水やりをすると、鉢中の古い空気を水が押し出してくれます。用土が乾燥してくると新しい空気が入ってきて、パキラの根が新鮮な空気を取りこむことができ、元気に成長してくれますので、乾燥することも大切なのです。鉢の中の土が乾いてから水やりをしないと根が酸欠になってしまいます。先ほどお話したようなタイミングを目安に、土が完全に乾いてから水やりをしてください。②水はけ機能が低下している
パキラは定期的な植え替えが必要な植物です。何年も植え替えをしないと、土が固くなり水はけが悪くなります。水はけが悪いと水分や養分の吸い上げも悪くなってしまいます。③肥料の過剰投与
肥料を多く与えすぎると、土の肥料成分が濃くなってしまい根の機能が弱まることがあります。なにごともやりすぎ厳禁ですね。説明書をよく読んで、適切な頻度と量を守ってください。【段階別】根腐れを起こしたパキラの症状と対処法
それでは次に、根腐れの症状に合わせて対処してみましょう。根腐れがどの程度進んでいるか、見分けてみてください。根腐れ初期:
たっぷりと水やりをして鉢受けに水が出てきた時、異臭がするようであれば根腐れの初期にあたります。すぐに鉢受けに溜まった水を捨てて、日光がよくあたる風通しの良い場所へ移動させ、土を乾燥させましょう。根腐れ中期:
きちんと水をあげているのに葉っぱに元気がなく萎れているのは、中期症状です。葉っぱが茶色く変色していたり、ぐらぐら根元が揺れたりする場合は、根腐れがだいぶ進んでいる状態です。初期の対処で改善しない場合、挿し木をしましょう。 根腐れは、根から幹、幹から枝、葉っぱへと進行していきますので、根腐れしている箇所をはさみで切り落とし、健康な部分を清潔な挿し木用土に植え込みます。切れ味のよいはさみでスパッと切るのがポイントです。発根促進剤があれば、軽く切り口に塗布して挿すのもおススメですよ。はじめにたっぷり水やりをして、そのあとは乾かし気味に根が伸びるのを待ちましょう。根腐れ末期:
末期になるとパキラの幹にしわができて白いカビが発生していたり、触るとゴムのように柔らかくなったりしてきます。このような状態は、根だけでなく幹も枯れています。末期の場合の対処法も中期と同じです。幹に固くて健康な部分があれば大丈夫です。切り口が白くきれいなのは生きている状態なので、新芽が出るよう挿し木をしましょう。根腐れしたパキラに【NGなお世話】
根腐れの状態ごとに対処したあと、気になるのはその後のお世話。かなり株が弱っていますので、お世話の方法にも注意が必要です。①水やり・肥料を与えること
水分や養分を吸収しにくくなっていますので、水をたっぷり与えたり肥料を多く与えたりすることはNGです。②大きな鉢に植え替えること
定期的な植え替えが必要なパキラですが、弱っている時に大きい鉢に植え替えることはかえって逆効果です。根腐れしたパキラの【正しいお世話】
それではどんな対処がよいのでしょう。根腐れしたパキラの正しいお世話を状態別にまとめました。①初期段階:土を十分に乾燥させる
根腐れの初期、鉢受けの水から異臭がする時は鉢受けの水を全て捨て、鉢ごと風通しの良い場所に置いて土を十分に乾燥させましょう。表面が白くさらさらとするのが目安です。もし分かりにくい場合は割りばしや竹串などを土に挿しておき、たまに抜いてみて湿っているか確認するのもよいでしょう。②中期段階:植え替えも効果的
根腐れした部分を切り落とし、同じ大きさの容器に植え替えするのも効果的です。その場合、肥料分の少ない水はけの良い土で乾燥気味に育てるのがいいですから、用土の量は少ない方が適しています。③末期段階:枝葉を剪定して挿し木すると、新芽が出てくる!
幹にしわができたり白いカビが広がっていたりする末期では、健康な部分のみ残して挿し木しましょう。枝葉が多いと消耗も激しいですから、思い切ってパキラを丸坊主にしてみましょう。剪定後は清潔な挿し木用の土に植え込みます。はじめにたっぷりと水やりをして乾燥気味に育ててください。10日~2週間ほどで新芽が出てきますよ。パキラの根腐れは未然に防ぐことができる
ここまでは実際に根腐れした場合についてお話してきましたが、あらかじめ防ぐことがとても大切です。難しいことはありません。次の3点に気を付ければ、元気なパキラを長く楽しむことが出来ますよ。水やりを適切に行う
「鉢の表面の土がしっかり乾いた」タイミングで、「鉢の底から水が流れて出てくるくらい」の量を与えます。4月~6月は1週間に1回、梅雨にあたる7月~9月は1週間に1~3回、10月~11月は土の表面が触ってさらさらと乾いてから1、2日おいて、12月~3月は2週間に1回、もしくは1か月に1回を目安に水やりを適切に行いましょう。適度に日光をパキラに当てる
日陰でも育つパキラですが、長い間室内灯だけで育てると元気がなくなり根腐れしやすくなります。ただ真夏の直射日光に長時間当てると、葉焼けして株を傷めてしまうこともありますので、レースのカーテン越しに日光が差し込むような明るい場所に置いて、パキラが光合成できるようにしましょう。風通しの良い場所にパキラを置く
根腐れ防止には、水やりや日当たりの他に風通しの良さも欠かせません。土が常に湿った状態にならないよう、日当たりと風通しの良さに気を付けてください。耐寒性があまりないので冬は室内に置くのがおススメですが、エアコンの風が直接当たる場所は避けてくださいね。葉の乾燥につながり枯れてしまうかもしれません。葉に乾燥が見られたら、葉水をして水分を与えてあげましょう。【めんどくさがり必見】ハイドロカルチャーで育てる
土で育てるのが大変そう、もっと簡単にお世話したいなど初心者さんや、なるべく面倒ごとをしたくないめんどくさがりさんには、ハイドロカルチャーをおススメします。ハイドロカルチャーとは、土を使わず人工の資材と水で植物を育てる栽培方法のことを指します。準備するものや手間が減りますよ。ハイドロカルチャーは水やり頻度が少ない
ハイドロカルチャーで育てる場合、保水性が高く、底穴がない容器を使うので、水やりの頻度は土の場合よりももっと少なめになります。ハイドロカルチャーを始めるために必要なもの
それではハイドロカルチャーに必要なものをまとめました。主に次の5つが挙げられます。セラミスなどのハイドロカルチャー用の土
セラミスやハイドロボール、ゼリーボール、カラーサンドなど豊富にあります。ハイドロカルチャー用の土として売られている人工資材を準備してください。粘土を焼成した顆粒状粘土であるセラミスなどは、表面に細かい穴がたくさん空いています。空気中の酸素や栄養を補給したり、水分を貯めて根に吸収させる仕組みです。根腐れ防止剤
イオン交換樹脂、焼成ゼオライト、ケイ酸塩白土などが一般的です。土では微生物が植物から出る老廃物を分解してくれますが、ハイドロカルチャーには微生物がいません。また根が水に浸ったままなので、先ほど挙げた根腐れ防止剤が必要です。液体肥料
ハイドロカルチャー専用の液体肥料を使用します。根腐れ防止剤や、使用する用土に肥料が入っている場合は、新たに加える必要はありません。容器
ガラスや陶器、空き缶など、穴の空いていない、好みのものを選びましょう。初めての場合は、水位が確認できる透明の容器をおススメします。水分計
水の量を確認できる園芸ツールです。透明の容器の場合は一目で水の量が確認できるので不要ですが、マグカップなど透明ではない容器に植え付ける場合に必要です。ハイドロカルチャーの水やり:容器の1/4程度で大丈夫
高い保水性があるハイドロカルチャーは、乾燥気味に育てます。容器の中の水が完全になくなったら、容器の高さの1/5~1/4まで水をあげてください。【Q&A】パキラの水やりでよくある質問
ここまでいかがでしたでしょうか。パキラの水やりについて説明してきましたが、よくあるQ&Aをまとめました。ぜひ参考になさってください。Q. 剪定後の丸坊主の水やりはどうしたらいいですか?
A,丸坊主にした剪定後は葉で光合成することができません。肥料を混ぜた水で根っこから十分な養分が吸収されるようにしましょう。土挿しにしたパキラの場合、剪定後はじめにたっぷりと水をあげた後乾燥気味に水を与えてください。水挿しにした場合も同様です。Q. パキラ・ミルキーウェイを育てていますが、水やりの分量は通常のパキラと同じですか?
A,はい、パキラ・ミルキーウェイでも水やりの分量は同じです。白い斑入り品種のパキラ・ミルキーウェイは通常のパキラよりも生育が遅いため、特に寒さと直射日光には気を付けてください。夏場は土の表面が乾いたらたっぷりと、冬は土の表面が乾いて数日してから与えてください。肥料のタイミングも同様です。葉の乾燥が気になる時は、葉水を与えてください。Q. 100均で買ったパキラが調子が悪いです。水やりは徹底していますが、鉢が小さいのでしょうか?
A,100均で販売されているパキラなどの観葉植物は大きさに対して、入れられている鉢のサイズが小さい場合がほとんどです。そのままですと小さいままであるばかりか、トラブルの原因になりますので、一回り大きい鉢へ植え替えするとよいでしょう。パキラの水やりをマスターするとすくすく成長!失敗した時の対処法まで解説のまとめ
さて、ここまでパキラの水やりに関してお話しましたが、いかがでしたか?- パキラの水やりのポイントは土の表面が乾いてからたっぷりと水やりすること
- 葉水は、霧吹きで表面が軽く濡れるくらい、エアコンの風など葉の乾燥防止や病害虫の防止に効果的
- 根腐れの原因は水のやりすぎ、症状をみて風通しや日当たりの良い場所へ置いたり、挿し木したりする
- ハイドロカルチャーでの水やりは、容器の中の水が完全になくなったら、容器の高さの1/5~1/4まで