チューリップの育て方!球根の植え方や初心者も失敗しないコツを解説

チューリップの育て方
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目次

球根を冬の間に植え付け、翌春の開花を楽しみに大切に育てられるチューリップ。小学校の授業の一環としてチューリップを育てる機会もあり、花に縁遠くてもチューリップは知っていると言う方も多いのではないでしょうか。もちろん熱心なファンの方もたくさんいらっしゃるでしょう。 今回は
  • チューリップの基本情報
  • チューリップの球根を選ぶ際の4つのポイント
  • チューリップの植え方で大切な4つのコツ
  • 「鉢植えやプランター」と「地植え」で異なる植え方・育て方
  • 花が終わった後の球根の掘りあげ方と保管法
についてご紹介します。 この記事を読めばチューリップの植え方はもちろん、球根の状態から開花まで、すべての過程においての管理方法や注意点が分かります。他にも発根に役立つちょっとしたコツや、人気の品種9選も公開。チューリップと相性の良い寄せ植え植物10選のご紹介やその選び方まで詳しく解説していますよ。 毎年チューリップを植えている方も、今年はチューリップを植えてみようとチャレンジする方もぜひ参考にしてくださいね。

チューリップはどんなお花なの?

チューリップはどんなお花なの?
春先に一斉に咲き始める色とりどりのチューリップ。冬の間には見かけなかった明るい色合いに、春の訪れを感じて胸がはずみますよね。学校の花壇や個人のお宅でもたくさん植えられているのを見かけます。私たちにとってとてもなじみ深い春のお花であると言えるでしょう。

春になると咲く知らない人はいないお花!

「お花に詳しくないけれどチューリップだけは分かる!」そんな方もいらっしゃるかもしれません。特徴的な姿やその季節ならではの風情に、特別な感情を抱く方も多いお花です。入学などの季節とも重なりますから、チューリップに思い出があるという方も多いかもしれませんね。まさに「知らない人はいないお花」と言っても過言ではないでしょう。

チューリップの基本情報

春の季節を彩ってくれるチューリップについて、基本情報からご紹介します。
科・属名 ユリ科チューリップ属
原産地 中央アジア~北アフリカ
開花時期 3~5月
花の色 赤・白・ピンク・オレンジ・黄・紫・緑・黒など
別名 鬱金香(うこんこう)
和名である「鬱金香(うこんこう)」は、スパイスであるウコンに似た香りがすることに由来しています。チューリップには香りのいい品種があまりありませんでしたが、近年では良い香りに改良された品種も販売されていますよ。かわいらしい姿と良い香りで、私たちをより楽しませてくれているのですね。

チューリップの花言葉

つづいてチューリップの花言葉についてご紹介します。17世紀のオランダではチューリップが流行し、「花は王冠、葉は剣、球根は黄金、つぼみは純潔を表している」と考えられていました。愛する人へ気持ちを伝えるために贈る花として大切にされてきたのですね。チューリップの花言葉はいくつか存在していますが、代表的な花言葉は以下の2つです。
  • 愛の告白
  • 美しい瞳
春を代表する花であるチューリップの花言葉は、愛情やピュアな心を伝えるロマンチックなものだったのです。1つずつ詳しく解説します。

愛の告白

チューリップの花言葉の1つ目は「愛の告白」。こちらは特に赤色のチューリップの花言葉とされていますよ。愛の告白やプロポーズをするときにもぴったりの花言葉ですね。赤色からは情熱や生命力の強さを感じますので、相手にも真剣な気持ちがきっと伝わるでしょう。

美しい瞳

チューリップの花言葉の2つ目は「美しい瞳」です。やはり愛しい人に気持ちを伝えるときに贈る花としてふさわしい花言葉であると言えますね。 由来ははっきりとしていませんが、特に緑色のチューリップの花言葉だとされています。みずみずしくフレッシュなチューリップと美しい瞳のイメージが重なってできた花言葉なのかもしれませんね。

色や本数によって意味が異なる

チューリップの花言葉は色によって意味が異なります。ピンク色のチューリップは「愛の芽生え」、オレンジ色は「照れ屋」、黄色は「希望のない恋」などを意味しています。自宅で育てる際や贈り物をするときは、花言葉をチェックするとシチュエーションに合ったチューリップが選べますよ。 また贈り物をする際のチューリップの本数によっても込められた意味が違ってきます。
  • 1本…「あなたが私の運命の人」
  • 3本…「愛している」
  • 8本…「思いやりに感謝」
  • 16本…「不安な愛」
  • 17本…「絶望の愛」
  • 50本…「永遠」

同じチューリップでも、本数によってまったく正反対の意味を持つことに驚きますね。何も知らないで相手に贈ってしまうと、大変失礼なことをしてしまうかもしれません。チューリップを贈るときは、花言葉と本数どちらもチェックしておきたいですね。

関連記事:チューリップの花言葉は?ピンクなど色別に怖い意味はあるのか解説

チューリップを育てる場合に必要な準備

チューリップを育てる場合に必要な準備
ここからはチューリップを育てる場合に必要な準備についてご紹介していきます。基本的なことですが、知ると知らないとでは大違い。根が伸びやすくなり、イキイキとしたチューリップに育てることができますよ。そのためのコツを大公開です。

チューリップは球根から育てるのが一般的!

チューリップを苗の状態で販売している店舗も少ないですが存在しています。しかしチューリップは苗ではなく球根から育てるのが一般的ですね。そのため健康的で良質な球根を選びたいもの。球根選びのポイントは以下の通りです。
  • ずっしりとした重さがあるもの
  • ツヤやハリがあり傷ついていないもの
  • カビや斑点などがついてないもの
  • 指で軽く押したときにへこまない固さがあるもの
植える品種によって球根の大きさや形はさまざまですが、これらのポイントをおさえて購入すると、元気なチューリップを育てられる可能性が高まりますよ。

球根は植える前に薄皮を剥いておくこと

チューリップの球根は玉ねぎのような形をしています。先端の尖ったところから芽が出て、下のおしりの部分からは根が出てきます。もしこのおしりの部分に茶色い薄皮がついているならば、そっと優しくむいてあげましょう。これが根が出やすくなるポイントです。球根自体に傷を付けないよう注意してくださいね。 品種によっては薄皮がはがれにくいケースもありますので、もし薄皮がむけなかったら無理やりはがしたりはせず、そのまま植えてあげましょう。

チューリップの球根の植え方

チューリップの球根の植え方
つづいてはチューリップの球根の植え方についてです。球根の植え方については「鉢植えやプランターの場合」と「地植えの場合」で、方法が異なってきますよ。あなたがチャレンジする方を参考にしてくださいね。

鉢植えやプランターの場合

チューリップの球根を鉢植えやプランターに植える場合は、市販の草花用の用土がおすすめです。近年チューリップ専用の用土も販売されていますので、そちらを利用しても手軽に最適な環境が作れますね。鉢・プランターの深さは20㎝程度あるものが最適です。
  1. 容器に鉢底ネットを敷き、鉢底が見えなくなるくらいの鉢底石を入れる。
  2. 容器のフチから約10㎝下まで土を入れ、尖った方を上にして球根の向きをそろえながら植える。
  3. 球根の尖った部分が隠れる程度、または容器のフチ2~3㎝下まで土を追加していく。
  4. 鉢底から透明の水が流れてくるまでたっぷりと水やりをする。

鉢やプランターに植える場合は、やや浅めに植え付けることがポイントです。浅めに植えることで、根がしっかりと張っていくスペースを確保できるからですね。密集して球根を植える場合は1~2㎝、密集させない場合は5~6㎝程度の間隔を空けるとよいでしょう。

関連記事:チューリップの鉢植え栽培方法を紹介!花後の管理から曲がる理由まで

花壇に地植えをする場合

チューリップの球根を花壇などに地植えをする場合は、球根を植える2週間ほど前から土の環境を整えていきましょう。チューリップは弱アルカリ性を好む性質がありますが、日本の土壌は弱酸性になっているケースが多いからです。チューリップが元気に育つようまずは土づくりからですよ。
  1. 花壇の土1㎡(深さ約20㎝)に対し、苦土石灰200gを混ぜて1週間寝かせる。
  2. 1週間たったらさらに1㎡あたり腐葉土を5㎏、緩効性肥料を用法用量を守った量を混ぜて1週間寝かせる。
  3. さらに1週間たったら、球根5個分の深さまでよく耕し、土を酸素と触れ合わせる。
  4. 球根の高さ3個分(5~10㎝)の深さに球根を植える。球根同士の間隔は10㎝程度が目安。
  5. 球根を植えたら土をかぶせ、たっぷりと水やりをする。
花壇などに地植えする場合は、ある程度しっかり深めに植えることがポイント。浅く植えると根が生長したときに、球根が土の表面に押し出されてきてしまうことがありますよ。またどの辺りに植えたか分かるようにネームプレートを設置しておくと安心です。庭1面にたくさん咲くチューリップが楽しめるといいですね。

球根を植える時の注意点

球根を植えるときにはいくつかの注意点があります。チューリップは球根を植えてから花が咲くまで長い期間お世話をする植物。せっかくなら思い描いた通りに美しく咲いてほしいものですね。チューリップをより美しく見せるためのコツですので、実際に球根を植える前にチェックしてくださいね。

球根の植える向きをそろえる

球根を植えるときの注意点1つ目は「向きをそろえて植える」ことです。チューリップの球根を真上から見ると、ふくらんでいる面と平らな面があるのが分かります。チューリップの1番大きな葉は、球根の平らな面から出てくるようになっています。そのため面の向きをそろえて植えると、葉の向きもきれいにそろって伸びていきますよ。 面の向きをきっちりとそろえればスタイリッシュで完成されたイメージに、わざとずらせば自然のお花畑のようなイメージにも演出できますよ。

球根を植える個数によって鉢のサイズを変えること

球根を植えるときの注意点2つ目は「球根を植える個数によって鉢のサイズを変える」ことです。実際に球根を植える前に、容器にいくつ球根を植えるか数を決めていきます。密植すると花が咲いたときにボリュームが出て大変美しいものですね。 しかし、あまり近づけて植えると翌年は開花しにくくなってしまうのです。球根同士の距離を離した方が、翌年の開花のためのエネルギーを貯めやすくなるからですね。環境によって差はありますが、球根の数の目安は以下の通りです。
4号鉢 5号鉢 8号鉢 60~65㎝プランター
密植する 5~6個 7〜8個 20個 20~25個
密植させない 1個 3個 8個 10個
開花は今回の1回限りでと割り切って植えるのならば、密植させて植えるのも1つの方法です。同じ球根で何回か花を楽しみたいならば、スペースにゆとりをもって植えるのがいいでしょう。

チューリップの育て方のポイント①:栽培場所

チューリップの育て方のポイント①:栽培場所
チューリップの植え方や注意点などをご紹介してきました。つづいては元気なチューリップの育て方のポイント1つ目「栽培場所」について解説してきます。

チューリップは直射日光を避けた日当たりの良い場所がおすすめ

チューリップは芽が出てからは基本的には直射日光を避けた明るい日当たりのいい場所がおすすめです。また球根が腐らないよう風通しのよい場所に置くように心がけます。寒さには強いですが暑さには弱いため、直射日光には当たらないよう注意してくださいね。芽が出るまでは日陰で管理しても大丈夫です。どうしても日当たりのいい場所に置けない場合でも、なるべく明るい日陰を選んであげましょう。球根を植えるのに適した時期は10月~11月ですよ。

植え付けをして1〜2ヶ月は寒さにあてると良い

チューリップが花芽を出す条件に、適度な寒さと日光、水分があります。植え付けをして1~2ヶ月はしっかりと寒さに当てるといいでしょう。しかし霜が降りるほど冷え込んだときは、ビニール袋などでくるんで保温をしてあげます。

チューリップが好む「寒さ」とは?

チューリップは一定期間寒さに当たることで花芽が刺激を受けます。チューリップにとって「1番適した寒さ」とは5℃~9℃の間の気温を指しています。先ほども申し上げた通り、霜や雪でこれ以上寒くなる場合は、ビニール袋などで包むかあまり寒くない場所に移動させます。このように天候によって冷気の当たりにくい場所へ移動したりするケースもあるため、初心者の方は鉢植えやプランターでの栽培がおすすめです。

チューリップの育て方のポイント②:水やり

チューリップの育て方のポイント②:水やり
元気なチューリップの育て方のポイント2つ目は「水やり」です。水やりは花を育てる際にしっかりと知識を持っていなくてはならない重要なポイントですね。「プランターや鉢植えの場合」と「地植えの場合」で水やり方法が異なりますので、それぞれ詳しくご紹介します。

プランター・鉢植えの場合の水やり

プランター・鉢植えの場合の水やりは、土が乾いているのを確認したら与えます。土が乾燥した時間が長く続くと球根が枯れてしまい花が咲きません。土に植えると球根の姿が見えなくなり、ついつい忘れがちになりますが、しっかりと水やりをするのを忘れないよう注意してくださいね

地植えの場合の水やり

地植えの場合は、過度な水やりをすると球根が腐る可能性があります。土中の水分が自然と上がってくるため、特に定期的な水やりは不要です。冬場何日も雨が降らず、土がカラカラに乾いてしまっている時は水やりをしてあげましょう。

関連記事:チューリップの正しい水やりとは?栽培方法別の水やりから注意すべきポイントまで

チューリップの育て方のポイント③ 土

チューリップの育て方のポイント③ 土
元気なチューリップの育て方のポイント3つ目は「土」です。土の環境が整っていると活力にあふれたチューリップの花を咲かせることができますよ。1度球根を植えてしまうと土の入れ替えはできないため、事前にチェックしておくことが大切です。

水はけが良く有機質にとんだ土がおすすめ

チューリップには水はけがよく有機質にとんだ土がおすすめです。地植えの場合でも水はけと日当たりのいい場所を選んで植えるほど。また先ほども申し上げた通り、腐葉土などを混ぜ込んでフカフカの柔らかな土に仕上げてから球根を植え付けるようにしましょう。

基本的に市販の土でOK!

鉢植えやプランターで育てる場合でも、基本的には市販の土を使用すればOKです。もし排水性が足りないと感じた場合は、砂やパーライトを足して調整してみましょう。古い土を使いまわすと病気の元になったり、害虫、害虫の卵が潜んでいる可能性もあります。できる限り新しい用土を用意するのがいいですよ。

最近ではチューリップ専用の土も販売している

最近ではチューリップの植え付けや球根用など、専用の用土も販売されています。排水性や保水性などがチューリップに合わせた内容でブレンドされているため、土壌づくりが簡単に済ませられます。一般的な草花用の用土と比べると少々割高ですが、とても手軽なので初心者の方にもおすすめですよ。

チューリップの育て方のポイント④:肥料

チューリップの育て方のポイント④:肥料
元気なチューリップの育て方のポイント4つ目は「肥料」です。「肥料を与えた方が元気になるかな?」となんとなく感じていても、いざ園芸店に行くとどの肥料を選べばいいのか分からず、そのままになってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 健やかなチューリップを育てるためにも、肥料についての知識を深めていきましょう。

基本的に肥料なしでも花は咲く

チューリップは基本的には肥料無しでも花が咲きます。十分に大きくなった良質な球根の中には、すでに葉や花芽が形成されています。そのため良い球根を選べれば、肥料がなくても開花はします。しかしより生育旺盛にしたい場合はタイミングと容量を守って肥料を与えるとよいでしょう。

球根を植える際に、元肥として緩効性肥料を与える

チューリップに肥料を与えるタイミングの1回目は、球根を植える際に、元肥として緩効性肥料を与えます。鉢植え・プランターに植える場合でも地植えの場合でも、どちらも事前に混ぜ込んでおけばその効果が期待できます。固形の緩効性肥料でしたら、サッと混ぜ込むだけでよいのでとても手軽ですよ。 市販の草花用の用土を使用する場合は、すでにバランスよく土が配合されていますので肥料は不要です。しかし土を自分でブレンドしたり地植えで植えたりする場合は、肥料を入れておく方がよいでしょう。

追肥の場合は液肥を10日に1回、水やりの代わりに与えるとよい

チューリップに肥料を与えるタイミングの2回目は、追肥です。花芽が出てから花が咲くまでの間に、液肥を10日に1回、水やりの代わりに与えるとよいでしょう。肥料をあまりあげすぎると球根が腐る原因になったり、肥料焼けを起こしたりします。液肥の商品説明書に書かれている用法用量をしっかり守って与えるようにしてくださいね。

関連記事:チューリップに肥料は必要?与えるタイミングやおすすめの肥料まで

【増やし方】花が咲き終わっても翌年も咲かせることができる!

【増やし方】花が咲き終わっても翌年も咲かせることができる!
チューリップの育て方のポイントを4つに分けて解説してきました。ここからはチューリップの花が咲き終わっても、翌年も花を咲かせる方法についてご紹介します。翌年もきれいな花を咲かせてくれたなら喜びも倍増しそうですね。

花がら摘みをして、地上の葉っぱが枯れたら球根を掘り上げて保存しておくこと

まずチューリップの花が枯れたら、花がらを摘んでおきます。花が咲き終わったら葉はそのままで、花だけすべて手で摘み取りましょう。花をそのままにすると落ちて病気の元になったり、種を作ろうとして余計な栄養を使ったりしてしまうためです。ハサミを使い回すと他の株にウイルスがうつる可能性もあるため、手で摘み取るのがおすすめ。 摘み取る場所はどこでも大丈夫ですが、あまりに上の方でカットしてしまうとその後の見た目が悪くなってしまうかもしれませんので、気になる方は茎の下の方で摘み取るのがいいでしょう。地上部分の葉っぱが枯れたら球根を掘り上げて保存しておきます。 花を早めに摘み取れば、花瓶に移して室内で楽しむこともできますよ。背が高いチューリップでしたら、高さのある花瓶にざっくりと活けるだけでとてもおしゃれな雰囲気に仕上がります。

地植えで生命力の強い球根は植えたままでも咲くかも

地植えで生命力の強い品種の球根は、植えたままでも翌年も咲く可能性があります。むしろ原種系のチューリップであれば、植えたままにしていた方が球根がよく増えて咲く可能性が高まりますよ。原種系チューリップは厳しい環境で自生してきたため、環境さえ整っていればあまり手入れをしなくても数年間は咲き続けてくれます。原種系チューリップとして人気のある品種は以下のような名前がつけられています。
  • ライラックワンダー
  • チンカ
  • アニカ
  • リジー
  • ヘニカ
改良を重ねられてきたチューリップは華やかでゴージャスな印象の花が多いですが、草丈が低く素朴でかわいらしい雰囲気の原種チューリップもおすすめです。

チューリップが枯れて1〜2ヶ月後に掘り起こす

チューリップの花が終わり花がらを摘み取った後も、葉が緑色の間は水やりは続けましょう。葉だけの状態でちょっぴり寂しい気もしますが、この間に光合成を行うことで球根に養分を貯め込んでいます。大体1〜2ヶ月すると葉が枯れて茶色や黄色に変わってきますので、そのときが球根を掘り上げるベストタイミングです。

掘り上げた球根の保存方法

チューリップは分球によって増えていきます。掘り上げた球根を見ると大きいものと小さいものに分かれていますね。小さい球根も保存するのでしょうか?掘り上げから保存まで手順をおって見ていきましょう。

①球根を掘り上げ、天日干し

球根の掘り上げは地域によって異なりますが、大体5月中旬から6月下旬ごろにかけて。緑色の葉が茶色や黄色に変色したら、スコップなどで優しく掘り上げます。掘り上げた球根はいくつかの工程を経て天日干しにしていきますよ。

②球根の茎葉と根を取り除く

掘り上げた球根についている茎葉は、根本からカットします。球根のおしり部分の根も取り除いておくようにしましょう。

③小さい球根を分球する

球根が複数のサイズに分かれている場合は、手で優しく割りましょう。小さい小球は翌年花を咲かせるパワーがないため、保存するのは大きいサイズの親球だけになります。

④球根は日陰で保存

土などがついている場合は、優しく手で払う程度でOK。このとき水洗いしてしまうと球根が腐る原因にもなるため、水洗いは避けましょう。風通しのよい涼しい日陰で、ネットなどに入れて吊るして保存します。

関連記事:チューリップの球根の掘り上げ方を紹介!時期や球根が小さい理由まで

チューリップにつきやすい虫やかかりやすい病気

チューリップにつきやすい虫やかかりやすい病気
チューリップの花の後の球根の扱い方についてご紹介してきました。つづいてはチューリップにつきやすい虫やかかりやすい病気についてです。チューリップは基本的には丈夫で管理の簡単な花です。しかし特定の時期や天候が続くと、かかりやすくなってしまう病気もあるようです。しっかりと対策をみていきましょう。

つきやすい虫について

チューリップにつきやすい害虫はアブラムシです。とくに芽を伸ばし始めたころに発生しやすく、モザイク病を誘引することから注意が必要ですよ。葉に濃淡のあるまだら模様が現れた後ちぢれ始め、株全体の生育に悪影響を及ぼします。 アブラムシを発見した場合は、大繁殖してしまう前に殺虫剤を使用してしっかり駆除しておきましょう。殺虫剤などをあまり使用したくない場合は、テープを貼り付けて少しずつ取っていく方法もありますよ。

かかりやすい病気について

雨が降り続くと多発してしまう病気に「褐色斑点病(灰色かび病)」があります。葉や花弁に白い斑点ができ始め、斑点が寄り集まって拡大していく病気です。葉がどんどん枯れて球根が大きく育たない1番の原因になってしまいます。花弁などが葉の上に落ちると病原菌が増殖して大きな斑点ができてしまうため、落ちた花弁などは丁寧に拾い集めて処分することが大切ですよ。 病気になった株は、残念ながら治すことができません。他の株に悪影響が及ぶ可能性もあるため、早めに球根ごと取り除いて処分しましょう。

チューリップは鉢植えで寄せ植えをするときれいに花が咲く

チューリップは鉢植えで寄せ植えをするときれいに花が咲く
チューリップは鉢植えで寄せ植えをすると、きれいに花が咲いている様子を見ることができます。花が咲く時期を合わせれば、それはそれは美しい春の競演を楽しめますよ。

そもそも、寄せ植えって何?

寄せ植えとは多種多様なお花やグリーンを1つの容器に植え合わせることです。ナチュラルで華やかな雰囲気を楽しめる植え方の1つですよ。植物の大きさの違いを利用して動きを出したり、色のコントラストやグラデーションを美しく演出するなど、幅広い楽しみ方が存在しています。

関連記事:チューリップの寄せ植えのやり方!おしゃれな組み合わせや植え方まで

寄せ植えでチューリップの相性の良いお花

そんな人気の寄せ植えで、チューリップと相性の良いお花を紹介します。チューリップの品種によっては高さに違いがありますが、チューリップを中央に置き周囲に草丈の低いお花やグリーンを組み合わせると、立体感のある寄せ植えを作ることができますよ。寄せ植えにするお花やグリーンを選ぶ際に、以下の5つのポイントをおさえた植物を選ぶとチューリップをより美しく魅せる寄せ植えが作れます。
  • チューリップより低い植物(チューリップを引き立たせるため)
  • あまり根を広げない植物(球根の根が張るのを邪魔しないため)
  • 球根と球根の間でうまく広がってくれる植物(すき間を埋めるため)
  • 繁殖力が強すぎない植物(土ごとの入れ替えを防ぐため)
  • チューリップと同時期に咲く、もしくは開花が長い植物(美しさを長く楽しめる)
ハーブなども香りを楽しめますが、繁殖力が強すぎて次の花壇を作るときに土ごと替える必要が出てきてしまうため、あまりおすすめできません。他にも相性の良いお花やグリーンがたくさんありますので、あなたのお好みの植物を選んでみてくださいね。

パンジー(ビオラ)

パンジー(ビオラ)は冬から春にかけて長い期間花を咲かせてくれます。濃い色合いから淡い色合いまでたくさんのカラーバリエーションがありますので、チューリップとの色合わせを楽しむことが可能ですよ。根をあまり広げずに育ち、管理方法も簡単ですので初心者の方にもぴったりです。草丈は15㎝程度です。

アリッサム

とても小さく可憐な花をたくさん咲かせる多年草です。横に広がっていく育ち方をするため、グランドカバーや寄せ植えに人気のお花ですよ。まるでブーケのようにこんもりと生い茂る姿がかわいらしく、比較的安価で購入できるため初心者の方にもおすすめの品種です。白・ピンク・紫・オレンジなどカラーバリエーションも豊富ですので、チューリップとの色合わせも楽しめますね。

ワスレナグサ

青色の花が涼しげなワスレナグサ。ワスレナグサも5~10㎜ほどの小さな花が次々に咲くかわいらしい品種です。開花時期は3月~6月となっており、チューリップとの競演が楽しめますね。花の色は青色が一般的ですが、ピンク・白・黄・紫など多彩な花色があります。

ムスカリ

ビビットな青紫色が花壇にアクセントをつけるムスカリ。草丈は15㎝ほどでブドウのような花を咲かせるのが特徴的です。丈夫で育てやすいため初心者の方でも挑戦できるお花ですよ。最近では青紫色以外にも白・ピンクなどさまざまな色が出回るようになってきたので、チューリップとの組み合わせを考えるのも楽しそうですね。

ハナカンザシ

カサカサとした紙のような質感が特徴のハナカンザシ。3月~5月に次々と花を咲かせ、とても長い期間花がもつのがうれしいお花です。草丈は10~20㎝ほどで株がコンパクトにまとまるため、チューリップとの相性もバツグンですよ。淡く優しい色と形で、寄せ植えにする植物を選びません。寄せ植えがどこか寂しい感じがするときや物足りないときは、ハナカンザシを入れると全体が美しくまとまります

ヘデラ

ヘデラはアイビーのことです。地を這うようにツルを伸ばす植物で、1年中美しいグリーンを楽しめることから人気のあるリーフプランツですね。非常に丈夫な植物で管理もとても簡単なため、チューリップとの寄せ植えにもよく利用されています。球根と球根のすき間を上手にこんもりとカバーしてくれ、ナチュラルな雰囲気もおしゃれです。ハート形や斑入りなどさまざまな種類があるため、お好みにあわせて選べるのもうれしいですね。

ノースポール

ノースポールは中心が黄色で花弁が白色と、マーガレットによく似たお花。さわやかな色合いが春のうきうきとした気持ちに彩りを添えてくれます。花の大きさは3~5㎝程度のかわいらしい小さなサイズです。草丈は20㎝前後でギザギザとしたのこぎりのような形の葉もおもしろいものですよ。12月~5月ごろまでととても長い期間花を咲かせてくれるため、チューリップの開花前後で楽しむことができますね。

園芸品種のクローバー

園芸品種のクローバーはシンプルな緑色だけでなく、赤紫色や赤茶色、葉をふちどるコントラストがバリエーション豊富なリーフプランツです。単品で植えるのも美しいですが、寄せ植えでは良いアクセントになってチューリップをより美しく引き立ててくれますよ。丈夫で育てやすく、四葉のクローバーが発生しやすい品種もあるため、眺める楽しみも増えそうですね。

アネモネ

ぴんとまっすぐに伸びた茎の上に、のびのびとした大きな花を咲かせるアネモネ。こちらも春を代表する鮮やかなお花の1つです。アネモネの開花時期は2月~5月と長く、チューリップと同時に楽しむことも可能です。花色は赤・ピンク・白・青・紫など豊富なため、チューリップとの色の合わせ方をお好みで選べますね。草丈は15~20㎝程度で、初心者でも育てやすい丈夫なお花です。

シロタエギク

シルバーリーフとして大変ポピュラーなシロタエギク。白銀色で産毛が生えた葉は主張せず、寄せ植えのリーフプランツとしてさまざまな場面で利用されています。病害虫がほとんど発生しない強い植物のため、初心者の方にもおすすめの品種ですよ。耐寒性が高いため、チューリップの芽がまだ出ないうちから育てることも可能です。雪をかぶったように見える姿から、クリスマスシーズンの寄せ植えにも使われることが多いリーフプランツです。

【豆知識①】チューリップは花瓶などで水栽培(水耕栽培)ができる

【豆知識①】チューリップは花瓶などで水栽培(水耕栽培)ができる
「チューリップを育ててみたいけれど、道具をそろえるのは面倒だな。」なんて思っているあなたに、豆知識1つ目として、室内で栽培できる水栽培(水耕栽培)をご紹介します。球根を安定させられる空き容器があればOKなので、土栽培に比べて用意するものも少なく大変手軽です。土を触るのが苦手な方にもおすすめですよ。水耕栽培を始めるのに適した時期は10月~11月ごろがいいでしょう。

チューリップを水栽培するのに必要な準備

チューリップを水耕栽培するのに必要なものは以下の通りです。
  • チューリップの球根
  • 封筒や紙袋
  • 栽培容器
最初に球根を入手します。球根は良質なものを選びましょう。選び方についてはこの記事の冒頭「球根選びのポイント」をご参照ください。球根を入手したら、封筒や紙袋に入れ、封をして2ヶ月間冷蔵庫の中の霜が当たらない部分に寝かせておきます。チューリップは寒さに当たることで花芽を形成します。冬も暖かな室内で栽培する場合は、冷蔵庫に入れることでチューリップに十分な寒さを体験させるのですね。これを「春化処理」と呼びます。2ヶ月経ったら暖かな室内に出して栽培していきますよ。 最近の冷蔵庫の野菜室は野菜を新鮮に保つために高湿度であることが多いようです。チューリップの球根の春化処理には乾燥した環境の方が適しているため、野菜室以外の冷蔵室で保管するようにしましょう。

水栽培の方法

つづいてチューリップの水栽培の手順についてご紹介していきます。
  1. 球根の皮を優しくむく。
  2. 球根のおしりの部分が水に触れるよう、栽培容器にセットする。根が出るまでは暗く寒い場所で管理する。
  3. 芽が出たら直射日光の当たらない明るい場所に置き替える。

栽培容器の水位は、常に根の先端が水に触れる程度の高さにします。根全体が水に浸かってしまうと呼吸ができず、根腐れを起こす可能性があるので注意しましょう。芽が出てからは継ぎ足しではなく毎日新しい水と取り替えます。その際に栽培容器がヌルヌルしてきたらきれいに洗って清潔をキープしてくださいね。1ヶ月ほどで花が咲き始めますよ。手順や手入れは以上ですので、意外と簡単ですね。土栽培では見ることができない球根や根の成長過程なども、水栽培でしたらじっくりと観察できます。ぜひあなたもチャレンジしてみてくださいね。

関連記事:チューリップの水耕栽培のやり方!時期や容器の選び方まで徹底解説

【豆知識②】人気なチューリップの種類

【豆知識②】人気なチューリップの種類
豆知識2つ目はチューリップの中でも人気のある種類のご紹介です。チューリップはオランダで盛んに品種改良が行われたことから、今では非常にたくさんのチューリップが楽しめます。原種だけでも2,150品種ほど存在し、世界では6,500種以上あると言われているので驚きですね。今回は中でも人気の高い9品種をご紹介します。

リトルビューティー

リトルビューティーはその名の通り草丈が25㎝ほどとやや小ぶりなチューリップです。濃いピンク色の花びらに中央が青紫色となり、そのコントラストが美しい品種ですよ。良い香りがするタイプで、開花は4月~5月ごろです。ビオラなどとの寄せ植えにもぴったりのナチュラルな雰囲気のお花です。

チューリップ・アンジェリケ

アンジェリケは八重咲の花が華やかな大人気の品種です。ロマンチックなピンク色と花びらが折り重なるようにして咲く姿はバラのような高貴さも感じさせます。草丈は30~45㎝ほどで、チューリップの中ではやや短め。開花時期は4月後半~5月と春の終わりに楽しめる品種です。

チューリップ・バレリーナ

バレリーナは鮮やかなビタミンカラーが魅力のユリ咲き品種です。すらっと伸びた花びらはスリムで、先端はシャープに尖っています。華やかなオレンジ色は、春を楽しむ私たちの心をさらにハッピーにしてくれそうな元気な印象があります。同時にバレリーナがすらりと足を上げてポーズを取っているような、エレガントさも感じられます。草丈は35~45㎝、花が咲くのは4月中旬ごろですよ。

チューリップ・ブラックヒーロー

ブラックヒーローはその名の通り黒紫色の八重咲き品種です。大人っぽい色合いをしていますが、形はボリュームがあり、まるで貴婦人のドレスのようなイメージがありますね。草丈は40~50㎝程度、4月中旬~5月上旬に花を咲かせます。黒紫色のブラックヒーローは、お庭の印象を引き締めるよいアクセントになってくれるでしょう。

チューリップ・モンテカルロ

モンテカルロは八重咲きのころんとした形がかわいい定番品種。鮮やかな黄色い花色は、うきうきとした気分や希望を感じさせてくれますよ。さわやかな甘い香りがほのかに香り、姿だけでなく香りでも私たちを楽しませてくれます。草丈はチューリップの中でも低めの12~25㎝ほど。花が咲くのは4月中旬ごろなので、さまざまなお花と寄せ植えしても楽しめそうです。

キャンディーアップルデライト

キャンディーアップルディライトは、赤色の花びらのフチが白くふちどられている品種です。一重咲きのオーソドックスな咲き方と、まるで頬を染めた乙女のようなピュアな色合いで、より可憐なイメージを受けますよ。草丈は40~50㎝、花が咲くのは3月下旬~4月上旬ごろです。

アプリコットビューティー

アプリコットビューティーは、淡いアプリコット色からピンク色へ花色が変化していくのが最大の特徴です。草丈は30㎝ほどと低めで、パンジーやビオラなどの草丈の低いお花との寄せ植えにもぴったり。花の咲き方は一重咲きとシンプルで、優しい色合いにより魅了されます。草丈は30~40㎝、花が咲く時期は3月後半~4月中旬ごろです。

ファンシーフリル

ファンシーフリルはフリンジ咲きの品種。細かく波打つ花びらはまるでレースやフリルのように見えます。花全体は華やかなピンク色ですが、下の部分がうっすらと白色にぼかされており、ふんわりとした優しい印象に包まれています。草丈は40~50㎝、花の咲く時期は4月下旬ごろとなっています。

アイスチューリップ

アイスチューリップとは特別な品種を指定しているのではなく、一般的なチューリップの球根を冷蔵施設で一定期間管理し、その後自然の環境へ戻す処理をされたチューリップの球根を指しています。人工的な寒さにあたってから自然の環境に戻されているため「もう春が来たのかな?」と勘違いをして冬に花を咲かせますよ。気温が低い季節に咲くため、花が長持ちしやすいという特徴がありますよ。アイスチューリップと一般的なチューリップを植えるとチューリップのリレー栽培が楽しめます。

チューリップの育て方!球根の植え方や初心者も失敗しないコツを解説のまとめ

今回はチューリップの育て方について詳しく解説してきました。元気なチューリップを育てるためには「栽培場所・水やり・土・肥料」の4つのポイントをおさえることが重要でしたね。また球根を寒さに当てたり、薄皮をむいてから植え付けるなど、ちょっとしたコツもご紹介しました。 本記事のポイントは
  • 球根はツヤやハリがあってカビなどがついておらず、ずっしりと重く固いものが良質である。
  • 球根は植える前に優しく薄皮をむくと根が出やすい。むけないものはそのまま植えてOK。
  • 鉢植えやプランターの場合は、深さ20㎝程度の容器に用土を入れ、やや浅めに植える。土が乾いたら水やりをする。
  • 地植えの場合は、事前に肥料などで土壌環境を整え、深めに植える。土中から水分があがるためよほど乾燥しているとき以外、定期的な水やりは不要。
  • 球根の向きをそろえると、葉の生える方向がそろうので美しく植えることができる。
  • 基本的にチューリップは肥料がなくても咲くが、球根を植える際に元肥、花芽が出て花が咲くまでの間に液肥を10日に1回あげてもよい。
  • 翌年も花を咲かせるために、花が終わったら花がらを手で摘み取り、葉が緑色の間は水やりをする。葉が枯れたら掘り上げて乾燥した場所で管理する。
  • チューリップは寄せ植えや水耕栽培でも楽しめる。
チューリップは非常にたくさんの種類が楽しめる植物です。そしてポイントをおさえれば高い確率で花を咲かせることができるため、多くの方に愛されていることも分かりました。あなたも育て方のポイントをおさえて、春の陽光にきらめくチューリップをぜひ育ててみてくださいね。 最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、ぜひご覧ください。